10 / 10
蘇りし復讐者
終章
しおりを挟む遠く離れた廃村の一角──ラムセルはそこにある石椅子に座り、頬杖をついて朝陽が昇る様子を見ながら休憩を取っていた。
何故かいつもこの景色を見ると清々しい気分になる。
その隣でクラスラーは、ラムセルの顔を覗き込むと、安心したかのように微笑んだ。
「やけに嬉しそうでございますな」
「そうか?」
「ええ。言葉にしなくとも、顔を見れば分かります」
「…まぁ、わりと後味悪くねぇ別れだったからな。あのギャバンっておやっさんは、たしかにルクラティアの言ってた通りだったな」
「ハイ。やや粗暴ではありましたが、情に厚い、大変良い御方です」
「やや? んなわけねぇだろ。ありゃあ、か・な・りだ」
「ご本人の前では言わない方がいいですぞ。殴られてしまいます」
「ハハハ、だな……なぁクラスラー」
「何でしょう?」
「あいつらが生きている内に、全て終わると思うか?」
「さぁ、それはどうでしょう? それは、これからのワタクシ達の頑張り次第、とだけ申し上げておきます」
もっともなクラスラーの返答にラムセルは苦笑した。
「……バカな事聞いちまったぜ」
ラムセルは再び朝陽を見つめた。
……………………………………………
あの日、ラムセルと取り引きした時を思い出す──
代わりに復讐を果たしてやる。そう聞いた時のルクラティアはとても驚いていた。
だが、しばらく悩むと無理矢理口角を上げて頷き、弱々しくラムセルの腕を掴んだ。
「俺の身体を使え……その魔族どもを、全て殺してくれ………」
「成立だな」
「待て! それともう一つ、約束しろ…ッ」
「……何だ?」
彼の腕を掴んだまま、ルクラティアが上半身を奮い起し、より強い眼差しをラムセルに向けた。
そして、彼は約束を告げる。
「この地に住む人々を、アイツらの魔の手から護ってやってくれ」
……………………………………………
脳裏に焼き付いたルクラティアの遺言。
ルクラティアが何故あの時、敵である存在の自分にそう頼んだのか──理由は未だに分からない。だが同時に、悪くなかった。
「………安心しな。約束は守ってやるよ」
ラムセルはシャルマットでの出来事を思い返し、再びその約束を小声で堅く誓う。
「いかがいたしましたか?」
「いや、何でもねぇ。さて──張り切って、魔族どもをぶちのめすとするか」
「御意。ご主人様の仰せのままに」
朽ちた建物から魔族の気配を感じる。
ラムセルは立ち上がり、周囲に目を向けた。
向こうもラムセルの気配を読んだらしく、続々と姿を現し、すでに臨戦態勢を取っている。
「上等じゃねぇか。そんじゃ、おっ始めるとするかッ!!」
ラムセルの双眸が紅く染まり、大胆不敵な笑みを魔族達に振り撒くと狙い定めた一体に飛びかかる。
彼の復讐の旅に、安息は皆無。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる