キラー&アヴェンジャー

悠遊

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蘇りし復讐者

終章

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 遠く離れた廃村の一角──ラムセルはそこにある石椅子に座り、頬杖をついて朝陽が昇る様子を見ながら休憩を取っていた。
 何故かいつもこの景色を見ると清々しい気分になる。
 その隣でクラスラーは、ラムセルの顔を覗き込むと、安心したかのように微笑んだ。
「やけに嬉しそうでございますな」
「そうか?」
「ええ。言葉にしなくとも、顔を見れば分かります」
「…まぁ、わりと後味悪くねぇ別れだったからな。あのギャバンっておやっさんは、たしかにルクラティアの言ってた通りだったな」
「ハイ。やや粗暴ではありましたが、情に厚い、大変良い御方です」
「やや? んなわけねぇだろ。ありゃあ、か・な・りだ」
「ご本人の前では言わない方がいいですぞ。殴られてしまいます」
「ハハハ、だな……なぁクラスラー」
「何でしょう?」
「あいつらが生きている内に、全て終わると思うか?」
「さぁ、それはどうでしょう? それは、これからのワタクシ達の頑張り次第、とだけ申し上げておきます」
 もっともなクラスラーの返答にラムセルは苦笑した。
「……バカな事聞いちまったぜ」
 ラムセルは再び朝陽を見つめた。

 ……………………………………………

 あの日、ラムセルと取り引きした時を思い出す──

 代わりに復讐を果たしてやる。そう聞いた時のルクラティアはとても驚いていた。
 だが、しばらく悩むと無理矢理口角を上げて頷き、弱々しくラムセルの腕を掴んだ。
「俺の身体を使え……その魔族どもを、全て殺してくれ………」
「成立だな」
「待て! それともう一つ、約束しろ…ッ」
「……何だ?」
 彼の腕を掴んだまま、ルクラティアが上半身を奮い起し、より強い眼差しをラムセルに向けた。
 そして、彼は約束を告げる。

「この地に住む人々を、アイツらの魔の手から護ってやってくれ」

 ……………………………………………

 脳裏に焼き付いたルクラティアの遺言。
 ルクラティアが何故あの時、敵である存在の自分にそう頼んだのか──理由は未だに分からない。だが同時に、
「………安心しな。約束は守ってやるよ」
 ラムセルはシャルマットでの出来事を思い返し、再びその約束を小声で堅く誓う。
「いかがいたしましたか?」
「いや、何でもねぇ。さて──張り切って、魔族どもをぶちのめすとするか」
「御意。ご主人様の仰せのままに」
 朽ちた建物から魔族の気配を感じる。
 ラムセルは立ち上がり、周囲に目を向けた。
 向こうもラムセルの気配を読んだらしく、続々と姿を現し、すでに臨戦態勢を取っている。
「上等じゃねぇか。そんじゃ、おっ始めるとするかッ!!」
 ラムセルの双眸が紅く染まり、大胆不敵な笑みを魔族達に振り撒くと狙い定めた一体に飛びかかる。

 彼の復讐の旅に、安息は皆無ない
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