75 / 875
第三話 集う力
12
巨大な暴食竜の死体に近寄り、完全に死んだことを確認するリックたち。
全長二十メートル以上のこの巨体。竜というよりは、やはり怪獣である。
(爬虫類・・・・・。どう見ても鰐の怪獣にしか見えないな・・・・)
物語に登場する竜と違い、姿形は巨大な爬虫類にしか見えない。まったく夢がない外見だ。
「さて、こいつの肉をどうやっておろすかな。喜べレイナ、今日の夕飯は焼き肉だぞ」
「焼き肉・・・・。なんと甘美な言葉なのでしょう」
「お前本当にこいつ食うのか?得体がしれないし腹壊すぜ。そこの槍女はどうなってもいいけどよ」
「貴様はやはりうつけ者だな。竜の肉なのだぞ?こんなものを食せる機会などもう一生ないかも知れないのだぞ!ならば食すしかないではないか!」
「レイナ、お前そんなキャラだっけ・・・・・・」
レイナ・ミカズキは槍の使い手である。リックに忠誠を誓い、常に真面目な性格である彼女だが、食べ物のことになると、人が変わる。
トロスクスの街にいた頃は、食費の関係上、彼女が満足できる程の食事を与えなかった。それでも、誰よりも大盛りの食事を与えてはいたが、いつも彼女は満足してはおらず、彼女に甘いリックは、ついつい食べ物を買い与えていたのだ。
しかし帝国に来てからは、食費を気にすることが無くなったため、彼女のリミッターが解除された。
大人何人前かもわからない食事量を、一人で平らげる。それが朝昼晩の三食繰り返されるのだ。足りないのを我慢せずによくなったレイナは、毎日満足いくまで食事をとり、ご満悦である。
そんな日々大食漢のレイナにとって、目の前にある巨大な竜の死体は、ご馳走の山にしか見えないのだ。
「リック様、早速解体致しましょう!!」
「解体はいいんだけど、どうやって解体するきだ?こいつの堅さは身をもって知ってるだろ」
「・・・・・・はっ!?どうすればいいのでしょう、私の槍ではどうにもできません!このままでは貴重な竜の肉を食せない・・・・・!!」
目の前のご馳走に、手が届かないとわかるや、突然死を宣告されたような、絶望的表情となってその場に膝をつく。半泣き状態の彼女を、何とか励まそうと頭を撫でるリック。
犬猿の中であっても、ここまで落ち込むレイナを、流石のクリスもからかえない様子である。寧ろ若干引いていた。
「おぬし等は一体何者なんじゃ?竜と互角以上に渡り合うなど・・・・」
「俺から言わせれば、手榴弾抱えて竜に突撃する里長こそ何者なんだって感じだ・・・・」」
「リック、そろそろこいつらに教えてやったらどうだ。お前の目的のためにもな」
周りにいる集まる里の人々、そしてこの里で、最もリックを信頼しているシャランドラ。彼女たちの視線が全て、リックへと集まる。
竜相手に真っ向から戦いを挑み、宣言通り、見事竜狩りを達成したリックという男。銃のことを理解していたため、里の人々は彼を、里の仲間と同じように扱った。そして互いに信頼を深めたのだ。
通りすがりの旅人だというリックの話を、正直言って、シャランドラも大人たちも信じてはいなかった。里の子供たちは信じていたが・・・・・。
だが、そんなことはどうでもいいことだった。リックは里に害なす存在ではない。皆そう判断し、彼を受け入れた。
しかし今は違う。これだけの力を持つ男が、同じように強力な力を持つ二人の男女を従え、皆の目の前に立っている。詮索をしないつもりでいたが、現状はもう、それを許さないのである。
「なんて言えばいいんだろうな。まだ役職とかもないし・・・・」
「役職ならばあります。私たちがリック様を捜しに行くため、大急ぎで支度を整えていた時です。メシア騎士団長が私たちの前に現れ、リック様に伝えて欲しことがあると言われました」
「俺にか?」
「女王と相談して決めたらしいぜ。よかったなリック」
「ヴァスティナ帝国軍参謀長就任おめでとう御座います。帝国軍は非常時、女王陛下を最高司令官とし、騎士団長を帝国騎士団最高指揮官に、そして帝国軍全軍の最高指揮官はリック様となることが決まったそうです」
「俺のいない間にそんなこと決まったのか」
ヴァスティナ帝国軍参謀長。
里の人々は外の世界と離れているものの、ヴァスティナ帝国の存在は知っている。実際に見たことも、行ったこともなかったが、帝国の話はそれなりに聞いていた。若き女王陛下が善政を敷き、平和で豊かな国家であると聞いている。
自称通りすがりの旅人リックの正体は、ヴァスティナ帝国軍参謀長であるという。帝国にとって重要人物であろう人間が、こんな隠れ里に一人で辿り着いたのだ。到底信じられる話ではない。
「帝国の参謀長ってほんまかいな?」
「そうみたいだ。俺も今知った」
「シャランドラとか言ったよな?このリックって男は凄いんだぜ。大国オーデル王国の侵略から二度も帝国を救った英雄なんだよ。普段はこんなだが、戦いになると狂ったみたいに暴れまわるやばい奴だ」
「俺を薬物中毒者みたいに言うな」
またまた信じられない発言に、とにかく混乱を極める里の人々。目の前の男は、大国として有名であったオーデル王国から、帝国を守りきった英雄であると言うのだ。
ヴァスティナ帝国軍参謀長であり、帝国を救った救国の英雄。それが今、目の前にいる。
「まあ、俺の紹介はこの辺でいいだろ。里長、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「聞きたいことはわかっておる。儂らがこれからどうするのかじゃろ」
暴食竜による死傷者は、奇跡的にでなかった。しかし暴食竜が暴れまわったおかげで、民家や畑は滅茶苦茶に荒らされてしまったのだ。さらに、溶解液まで振り撒いたため、田畑は汚染されてしまっている。
里を再建するには長い時間がかかる。誰の目にも、それは明らかであった。汚染された田畑が、元通りになるという保証もない。
となれば、里にはまたも選択が求められていることになる。
「リックじゃったな。お主、なにを考えておるのじゃ?」
「里長、帝国はあなたたち全員を受け入れます。いくつか協力して頂きたいことはありますが」
リックは元々、この里の人々の力を借り、銃火器を新時代の武器として、大量生産して貰うつもりでいた。
これこそ、リックの最大の目的であり、この里を銃火器生産工場とすることで、帝国の新たなる軍隊創設を目指している。里から技術提供を受け、最終的には帝国国内でも銃の生産ができる体制を作り、帝国軍全体に銃を行き渡らせる構想があるのだ。
無理やり里の人々を帝国へ連行し、国内生産をさせる事も勿論考えた。しかしそれでは、国外の帝国の評判が悪くなり、連行された人々も、積極的に生産には取り組まない。それは避けたかったのだ。
運が良いことに、現状はリックにとって最高の場面である。
里は壊滅的被害を受けてしまった。生きていくために新たな地を探し、そこへ移り住む必要がある。里長も含め、人々もまた、それを理解していた。
つまりそれは、帝国という地を移転先にすることで、無理やり連行などしなくとも、帝国国内に彼らを取り込むことができるのだ。本当に運が良い。
「お主の協力して欲しいことなど言わずともわかる。里の技術であろう」
「話が早くて助かります。俺たちは帝国にあなた方の新たなる土地を用意します。その代わり、帝国軍のために銃火器の生産開発をして頂きたい」
「やはりな・・・・」
「と言っても、女王陛下ならばあなた方が条件を断っても、あなた方のために土地を用意するでしょう」
「なんじゃと?帝国の女王は噂通りの善人なのか?」
「はい。・・・・・とても優しく立派で、俺の尊敬する方です。この条件は俺の独断ですから、我らが女王陛下は一切関係ありません。ですが女王陛下ならば、里を失い困っているあなた方を見捨てるようなことは、決してありません」
里長や人々に女王の話をするリックは、先程までと違い、熱があるのを感じ取れる。
当然だ。リックにとって女王陛下とは、この世界で生きる意味、そのものなのだから。
「・・・・わかった。儂らはこの里を捨て、帝国へと移り住む。皆もそれで良いな?」
里長の決断に反対する者はいない。里を捨てなければならない状況、里長への信頼、リックによって提示された新たな地、これだけ理由が揃えば、反対することはできなかった。
今現在、これ以上の最善な選択は、思い浮かばないのだ。里の人々のことを想い、生きていくための里長の選択は、間違いなどではない。
長年生まれ育った里を捨てるなど、まさに苦渋の選択だ。だが、苦渋の選択であろうと、選択しなければならない。
皆それがわかっているからこそ、誰も里長の選択を責めることはない。
「リック。一つ聞かせて欲しことがあるんや」
「なんだ?」
「この先、リックは何を目指すんや?銃を使って何をするつもりなんや」
聞かなくてもわかることだ。銃は武器である。ならば、戦争の道具として使うのは当然だ。
シャランドラもそれは理解している。だが・・・・・。
「戦争だ。それも大陸全土を巻き込んだ最大の戦い。銃は帝国がその戦いで勝利するための力だ」
「大陸全土やて?本気で言ってるんか」
「俺は冗談が苦手だ」
彼女はリックの瞳をじっと見つめる。リックは視線を逸らさず、同じように彼女を見つめ返した。
二人の間に沈黙が流れる。彼女はリックから、何かを感じ取ろうとしているのだ。自分の求める何かを。
「なら、うちはリックに付いて行くで。里の皆が条件呑まなくっても、うちはお前に全部捧げる」
「本気か?」
「本気やで。なんせうちは、この大陸が好きやけど大っ嫌いでもあるんや」
「矛盾してるな」
「矛盾してるやろ。自分で言ってて笑えるで」
全長二十メートル以上のこの巨体。竜というよりは、やはり怪獣である。
(爬虫類・・・・・。どう見ても鰐の怪獣にしか見えないな・・・・)
物語に登場する竜と違い、姿形は巨大な爬虫類にしか見えない。まったく夢がない外見だ。
「さて、こいつの肉をどうやっておろすかな。喜べレイナ、今日の夕飯は焼き肉だぞ」
「焼き肉・・・・。なんと甘美な言葉なのでしょう」
「お前本当にこいつ食うのか?得体がしれないし腹壊すぜ。そこの槍女はどうなってもいいけどよ」
「貴様はやはりうつけ者だな。竜の肉なのだぞ?こんなものを食せる機会などもう一生ないかも知れないのだぞ!ならば食すしかないではないか!」
「レイナ、お前そんなキャラだっけ・・・・・・」
レイナ・ミカズキは槍の使い手である。リックに忠誠を誓い、常に真面目な性格である彼女だが、食べ物のことになると、人が変わる。
トロスクスの街にいた頃は、食費の関係上、彼女が満足できる程の食事を与えなかった。それでも、誰よりも大盛りの食事を与えてはいたが、いつも彼女は満足してはおらず、彼女に甘いリックは、ついつい食べ物を買い与えていたのだ。
しかし帝国に来てからは、食費を気にすることが無くなったため、彼女のリミッターが解除された。
大人何人前かもわからない食事量を、一人で平らげる。それが朝昼晩の三食繰り返されるのだ。足りないのを我慢せずによくなったレイナは、毎日満足いくまで食事をとり、ご満悦である。
そんな日々大食漢のレイナにとって、目の前にある巨大な竜の死体は、ご馳走の山にしか見えないのだ。
「リック様、早速解体致しましょう!!」
「解体はいいんだけど、どうやって解体するきだ?こいつの堅さは身をもって知ってるだろ」
「・・・・・・はっ!?どうすればいいのでしょう、私の槍ではどうにもできません!このままでは貴重な竜の肉を食せない・・・・・!!」
目の前のご馳走に、手が届かないとわかるや、突然死を宣告されたような、絶望的表情となってその場に膝をつく。半泣き状態の彼女を、何とか励まそうと頭を撫でるリック。
犬猿の中であっても、ここまで落ち込むレイナを、流石のクリスもからかえない様子である。寧ろ若干引いていた。
「おぬし等は一体何者なんじゃ?竜と互角以上に渡り合うなど・・・・」
「俺から言わせれば、手榴弾抱えて竜に突撃する里長こそ何者なんだって感じだ・・・・」」
「リック、そろそろこいつらに教えてやったらどうだ。お前の目的のためにもな」
周りにいる集まる里の人々、そしてこの里で、最もリックを信頼しているシャランドラ。彼女たちの視線が全て、リックへと集まる。
竜相手に真っ向から戦いを挑み、宣言通り、見事竜狩りを達成したリックという男。銃のことを理解していたため、里の人々は彼を、里の仲間と同じように扱った。そして互いに信頼を深めたのだ。
通りすがりの旅人だというリックの話を、正直言って、シャランドラも大人たちも信じてはいなかった。里の子供たちは信じていたが・・・・・。
だが、そんなことはどうでもいいことだった。リックは里に害なす存在ではない。皆そう判断し、彼を受け入れた。
しかし今は違う。これだけの力を持つ男が、同じように強力な力を持つ二人の男女を従え、皆の目の前に立っている。詮索をしないつもりでいたが、現状はもう、それを許さないのである。
「なんて言えばいいんだろうな。まだ役職とかもないし・・・・」
「役職ならばあります。私たちがリック様を捜しに行くため、大急ぎで支度を整えていた時です。メシア騎士団長が私たちの前に現れ、リック様に伝えて欲しことがあると言われました」
「俺にか?」
「女王と相談して決めたらしいぜ。よかったなリック」
「ヴァスティナ帝国軍参謀長就任おめでとう御座います。帝国軍は非常時、女王陛下を最高司令官とし、騎士団長を帝国騎士団最高指揮官に、そして帝国軍全軍の最高指揮官はリック様となることが決まったそうです」
「俺のいない間にそんなこと決まったのか」
ヴァスティナ帝国軍参謀長。
里の人々は外の世界と離れているものの、ヴァスティナ帝国の存在は知っている。実際に見たことも、行ったこともなかったが、帝国の話はそれなりに聞いていた。若き女王陛下が善政を敷き、平和で豊かな国家であると聞いている。
自称通りすがりの旅人リックの正体は、ヴァスティナ帝国軍参謀長であるという。帝国にとって重要人物であろう人間が、こんな隠れ里に一人で辿り着いたのだ。到底信じられる話ではない。
「帝国の参謀長ってほんまかいな?」
「そうみたいだ。俺も今知った」
「シャランドラとか言ったよな?このリックって男は凄いんだぜ。大国オーデル王国の侵略から二度も帝国を救った英雄なんだよ。普段はこんなだが、戦いになると狂ったみたいに暴れまわるやばい奴だ」
「俺を薬物中毒者みたいに言うな」
またまた信じられない発言に、とにかく混乱を極める里の人々。目の前の男は、大国として有名であったオーデル王国から、帝国を守りきった英雄であると言うのだ。
ヴァスティナ帝国軍参謀長であり、帝国を救った救国の英雄。それが今、目の前にいる。
「まあ、俺の紹介はこの辺でいいだろ。里長、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「聞きたいことはわかっておる。儂らがこれからどうするのかじゃろ」
暴食竜による死傷者は、奇跡的にでなかった。しかし暴食竜が暴れまわったおかげで、民家や畑は滅茶苦茶に荒らされてしまったのだ。さらに、溶解液まで振り撒いたため、田畑は汚染されてしまっている。
里を再建するには長い時間がかかる。誰の目にも、それは明らかであった。汚染された田畑が、元通りになるという保証もない。
となれば、里にはまたも選択が求められていることになる。
「リックじゃったな。お主、なにを考えておるのじゃ?」
「里長、帝国はあなたたち全員を受け入れます。いくつか協力して頂きたいことはありますが」
リックは元々、この里の人々の力を借り、銃火器を新時代の武器として、大量生産して貰うつもりでいた。
これこそ、リックの最大の目的であり、この里を銃火器生産工場とすることで、帝国の新たなる軍隊創設を目指している。里から技術提供を受け、最終的には帝国国内でも銃の生産ができる体制を作り、帝国軍全体に銃を行き渡らせる構想があるのだ。
無理やり里の人々を帝国へ連行し、国内生産をさせる事も勿論考えた。しかしそれでは、国外の帝国の評判が悪くなり、連行された人々も、積極的に生産には取り組まない。それは避けたかったのだ。
運が良いことに、現状はリックにとって最高の場面である。
里は壊滅的被害を受けてしまった。生きていくために新たな地を探し、そこへ移り住む必要がある。里長も含め、人々もまた、それを理解していた。
つまりそれは、帝国という地を移転先にすることで、無理やり連行などしなくとも、帝国国内に彼らを取り込むことができるのだ。本当に運が良い。
「お主の協力して欲しいことなど言わずともわかる。里の技術であろう」
「話が早くて助かります。俺たちは帝国にあなた方の新たなる土地を用意します。その代わり、帝国軍のために銃火器の生産開発をして頂きたい」
「やはりな・・・・」
「と言っても、女王陛下ならばあなた方が条件を断っても、あなた方のために土地を用意するでしょう」
「なんじゃと?帝国の女王は噂通りの善人なのか?」
「はい。・・・・・とても優しく立派で、俺の尊敬する方です。この条件は俺の独断ですから、我らが女王陛下は一切関係ありません。ですが女王陛下ならば、里を失い困っているあなた方を見捨てるようなことは、決してありません」
里長や人々に女王の話をするリックは、先程までと違い、熱があるのを感じ取れる。
当然だ。リックにとって女王陛下とは、この世界で生きる意味、そのものなのだから。
「・・・・わかった。儂らはこの里を捨て、帝国へと移り住む。皆もそれで良いな?」
里長の決断に反対する者はいない。里を捨てなければならない状況、里長への信頼、リックによって提示された新たな地、これだけ理由が揃えば、反対することはできなかった。
今現在、これ以上の最善な選択は、思い浮かばないのだ。里の人々のことを想い、生きていくための里長の選択は、間違いなどではない。
長年生まれ育った里を捨てるなど、まさに苦渋の選択だ。だが、苦渋の選択であろうと、選択しなければならない。
皆それがわかっているからこそ、誰も里長の選択を責めることはない。
「リック。一つ聞かせて欲しことがあるんや」
「なんだ?」
「この先、リックは何を目指すんや?銃を使って何をするつもりなんや」
聞かなくてもわかることだ。銃は武器である。ならば、戦争の道具として使うのは当然だ。
シャランドラもそれは理解している。だが・・・・・。
「戦争だ。それも大陸全土を巻き込んだ最大の戦い。銃は帝国がその戦いで勝利するための力だ」
「大陸全土やて?本気で言ってるんか」
「俺は冗談が苦手だ」
彼女はリックの瞳をじっと見つめる。リックは視線を逸らさず、同じように彼女を見つめ返した。
二人の間に沈黙が流れる。彼女はリックから、何かを感じ取ろうとしているのだ。自分の求める何かを。
「なら、うちはリックに付いて行くで。里の皆が条件呑まなくっても、うちはお前に全部捧げる」
「本気か?」
「本気やで。なんせうちは、この大陸が好きやけど大っ嫌いでもあるんや」
「矛盾してるな」
「矛盾してるやろ。自分で言ってて笑えるで」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。