異世界の恋人

MINT

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ミリアの故郷

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1週間後、夏樹たちは、ミリアの故郷がある村へとたどり着いた。村に着く頃には日が暮れていた。

村に入ると、そこには異様な光景が広がっていた。
「これは……」
夏樹は絶句する。

村は、魔女たちに支配されていた。
「ひどい……」

ミリアは顔を背ける。

村人たちは、まるで奴隷のように扱われている。畑仕事や、家事、さらには夜伽までさせられていたのだ。

村人たちが着ているのはボロ布のような服で、食事も最低限しか与えられていなかった。

「早く助けないと!!」
ミリアは怒りに震えながら叫ぶ。
「待て!!俺たちが行ってもどうにもならない」
夏樹はミリアを止める。

「どうして!?」
ミリアは夏樹に詰め寄る。

「お前が今行ったところで、奴らに捕まるだけだ」
夏樹は冷静に答える。

「だからって、このまま見て見ぬふりはできないよ!!」

「ミリア、落ち着いてください!!」
興奮して叫び続けるミリアを止めたのは、エリスだった。

「エリス……」
「あなたがここで感情的になっても、何も解決しないですよ」

エリスは優しくミリアに声をかけると、彼女はハッとした表情を浮かべ、落ち着きを取り戻す。

「ごめんなさい……」
「謝らなくていいです。それよりも……」
エリスは辺りを見渡す。

「はい……」
ミリアは暗い顔をしながら答える。

「ここも、私たちが暮らしていた場所と同じ運命を辿ることになります」

「えっ!?」
「どういうことですか?」
夏樹とセリアは同時に驚く。

「魔女たちの掟に縛られているんです」
「えっ?それじゃあ、俺が前にいた世界でも?」

夏樹の言葉に、エリスは静かにうなずく。
「はい。私達魔女は、男と関係を持ってはいけないのです。それが、たとえどんな理由があっても……だから、私たちは村を出て、ひっそりと暮らすしかないんですよ……」

「そんな……」
夏樹は絶句する。

「そんな決まりなんて、関係ないよ!!」
ミリアは叫ぶ。

「ミリア……」

「だって、私はずっと前から夏樹のことが好きだったんだもん!!でも、私の両親はそれを許さなかった。それで、家出してきたんだよ……」

「……」
夏樹は何も言わず、ミリアの話を聞く。

「ねぇ、お願い……夏樹、私と一緒に逃げよう!!」

ミリアは夏樹の手を握る。
「……悪いけど、それはできない」

夏樹の言葉に、ミリアはショックを受け、泣きそうになる。

「どうして!?」
「俺は、もう決めたから……」
夏樹は、自分の決意を口にする。
「夏樹?」
エリスは心配そうに声をかける。

「大丈夫だよ、エリス。俺は何があっても、君を守るよ」

夏樹の真剣な眼差しを見て、エリスは微笑む。

「ありがとうございます……。それじゃあ、行きましょう!!」

こうして、夏樹たちは村人たちを救うための旅を続けた。
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