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ミリアとエリス
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「さて、そろそろ行くぞ」
夏樹はミリアとセリアに呼びかける。
「うん……」
ミリアは暗い顔で答える。
「ほらっ、しっかりしろ!!」
夏樹はミリアの両頬に手を添えると、彼女の顔を覗き込む。
「な、夏樹!?」
ミリアは顔を真っ赤にしながら慌てるが、夏樹はそのまま続ける。
「お前はいつも明るくて元気だろ?お前には笑顔が似合ってるよ」
夏樹の言葉に、ミリアはさらに顔を赤くする。
「えへへ、ありがと」
ミリアは嬉しさを隠しきれず笑う。その表情は、まるで向日葵のように輝いていた。
「よしっ!!行こう!!」
夏樹はミリアに微笑みかける。
「うん!!」
ミリアは満面の笑みを浮かべながら答え、夏樹の隣に立つ。
「あの、夏樹……」
エリスがおずおずと話し掛ける。
「ん?」
「いえ、なんでもないです……」
エリスは少し寂しげに俯く。
「エリス、どうかした?」
「うぅん、何でもありません」
エリスは慌てて首を振るが、夏樹は気になった様子だった。
「何かあるなら言って欲しいんだけど……」
「本当に大丈夫ですよ」
「そう?それじゃあ、いいけど……」
夏樹は納得がいかないような表情だったが、これ以上聞いても無駄だと思い、話を切り上げることにした。
「それじゃあ、行くよ」
夏樹は先頭に立ち、歩き出す。後ろからは二人の足音が聞こえる。
「ねぇ、夏樹……」
「ん?」
「これからどこに行くの?」
「そうだね……とりあえず、次の町かな?」
「えっ?」
「えぇ~!?」
夏樹の言葉に、ミリアとセリアは驚く。
「いや、だってさ……俺たちは今、無一文なんだぜ?それに、食料や水だってほとんど無いんだ。このままだと、近いうちに飢え死にするよ……」
夏樹の言葉に、ミリアとセリアは黙り込む。
「でも、夏樹……私達には魔法があるじゃないですか」
「それは、そうなんだけど……」
夏樹は困ったように頭を掻く。
「ねぇ、夏樹……」
夏樹たちの会話を聞いて、ミリアは不安げな表情を浮かべる。
「どうした?」
「もし、私たちの力が使えなくなったら?」
「えっ?」
「例えば、私が炎の矢を出すことができなくなって、夏樹の剣しか武器がなくなったら、夏樹は戦えるの?」
「……」
夏樹は何も言えなかった。
夏樹は、今まで当たり前のように魔法を使ってきた。それが急にできなくなったとしたら、自分は果たして戦うことができるだろうか? 夏樹は想像する。
今までは、どんな状況になっても、何とかなるだろうと思っていた。だが、今は違う。
今の自分にとって、戦うことは生きることと同義である。
もしも、戦う手段がなくなってしまったら……。
その時は、俺に生きる価値はあるのだろうか? 夏樹は自問自答するが、答えは出なかった。
「ごめん、ミリア。変なこと聞いたよね」
ミリアが暗い顔をしていることに気づき、夏樹は慌てて謝る。
「ううん、いいの……」
ミリアは暗い顔で首を振る。
「ミリア……」
夏樹はミリアの手を握る。
「な、夏樹!?」
「俺は、お前と一緒にいる。だから、そんな悲しいことを言わないでくれ……」
夏樹は真剣な眼差しを向ける。その視線に、ミリアも思わずドキッとする。
「……ありがとう」
ミリアは夏樹の顔を見つめながら呟く。
「夏樹ってさ……やっぱり優しいね」
「えっ?」
「ううん、何でもない」
ミリアは首を振った後、微笑む。
「ねぇ、夏樹」
「ん?」
「私、あなたが大好きだよ」
ミリアの言葉に夏樹は微笑み返す。
「俺もだ」
そう言って、夏樹は手を差し出す。
「行こう!!」
「うん!!」
夏樹の言葉に、ミリアは笑顔を浮かべて答える。
「ねぇ、夏樹……」
エリスが夏樹を呼ぶ。振り返ると彼女は優しく微笑んでいた。
「なんだよ?」
「私は、あなたが勇者だと思うわ」
「えっ?」
夏樹は驚き、彼女の言葉の意味を考える。
「俺が?」
「えぇ」
「どうして?」
「だって、あなたは私のヒーローですもの」
「……」
夏樹はその言葉を噛み締める。
確かに、自分は彼女に救われてきた。
夏樹は思う。
自分は、彼女のためなら何だってできると。
例え、どんな困難があっても彼女となら乗り越えられると……。
「ありがとう……」
夏樹は、静かに呟いた。
「何か言った?」
「いや、何も……」
夏樹は首を横に振る。
「ねぇ、夏樹……」
今度は、エリスが夏樹の名を呼んだ。
「ん?」
「私も……あなたのことが好きよ」
「えっ!?」
「もちろん、友達としても好きだけど……」
「……」
夏樹は顔を赤らめる。
「でもね、それだけじゃないよ……」
「……」
「夏樹のこと、一人の男性として見ているの……」
「えっ?」
夏樹は驚く。
「私じゃダメかな?」
エリスは不安げな表情を浮かべていた。
「……」
夏樹は何も言えなかった。
今まで、こんな気持ちになったことは初めてだ。
夏樹は自分の心臓の鼓動が激しくなるのを感じる。
エリスのことが好きだ。
それは間違いない。
だが、俺は彼女を幸せにすることができるだろうか? 夏樹は考える。
今の自分には、エリスを愛する資格があるのだろうか? 俺は、ただ単にエリスと一緒にいたいという自分の欲望を満たすために、彼女と付き合っているだけではないだろうか? それに、俺がいなくなったら、彼女はどうするのだろう。夏樹には、答えが出せなかった。
「……夏樹?」
エリスが心配そうな顔で見つめている。
「あぁ、ごめん……」
夏樹は首を振る。
「大丈夫、俺もお前を愛してる」
夏樹の言葉に、エリスは笑顔を浮かべる。
「よかった……」
夏樹は彼女の笑顔を見て、決意を固める。
「行こう!!」
「うん!!」
夏樹の言葉に、ミリアは笑顔で答える。
夏樹はミリアとセリアに呼びかける。
「うん……」
ミリアは暗い顔で答える。
「ほらっ、しっかりしろ!!」
夏樹はミリアの両頬に手を添えると、彼女の顔を覗き込む。
「な、夏樹!?」
ミリアは顔を真っ赤にしながら慌てるが、夏樹はそのまま続ける。
「お前はいつも明るくて元気だろ?お前には笑顔が似合ってるよ」
夏樹の言葉に、ミリアはさらに顔を赤くする。
「えへへ、ありがと」
ミリアは嬉しさを隠しきれず笑う。その表情は、まるで向日葵のように輝いていた。
「よしっ!!行こう!!」
夏樹はミリアに微笑みかける。
「うん!!」
ミリアは満面の笑みを浮かべながら答え、夏樹の隣に立つ。
「あの、夏樹……」
エリスがおずおずと話し掛ける。
「ん?」
「いえ、なんでもないです……」
エリスは少し寂しげに俯く。
「エリス、どうかした?」
「うぅん、何でもありません」
エリスは慌てて首を振るが、夏樹は気になった様子だった。
「何かあるなら言って欲しいんだけど……」
「本当に大丈夫ですよ」
「そう?それじゃあ、いいけど……」
夏樹は納得がいかないような表情だったが、これ以上聞いても無駄だと思い、話を切り上げることにした。
「それじゃあ、行くよ」
夏樹は先頭に立ち、歩き出す。後ろからは二人の足音が聞こえる。
「ねぇ、夏樹……」
「ん?」
「これからどこに行くの?」
「そうだね……とりあえず、次の町かな?」
「えっ?」
「えぇ~!?」
夏樹の言葉に、ミリアとセリアは驚く。
「いや、だってさ……俺たちは今、無一文なんだぜ?それに、食料や水だってほとんど無いんだ。このままだと、近いうちに飢え死にするよ……」
夏樹の言葉に、ミリアとセリアは黙り込む。
「でも、夏樹……私達には魔法があるじゃないですか」
「それは、そうなんだけど……」
夏樹は困ったように頭を掻く。
「ねぇ、夏樹……」
夏樹たちの会話を聞いて、ミリアは不安げな表情を浮かべる。
「どうした?」
「もし、私たちの力が使えなくなったら?」
「えっ?」
「例えば、私が炎の矢を出すことができなくなって、夏樹の剣しか武器がなくなったら、夏樹は戦えるの?」
「……」
夏樹は何も言えなかった。
夏樹は、今まで当たり前のように魔法を使ってきた。それが急にできなくなったとしたら、自分は果たして戦うことができるだろうか? 夏樹は想像する。
今までは、どんな状況になっても、何とかなるだろうと思っていた。だが、今は違う。
今の自分にとって、戦うことは生きることと同義である。
もしも、戦う手段がなくなってしまったら……。
その時は、俺に生きる価値はあるのだろうか? 夏樹は自問自答するが、答えは出なかった。
「ごめん、ミリア。変なこと聞いたよね」
ミリアが暗い顔をしていることに気づき、夏樹は慌てて謝る。
「ううん、いいの……」
ミリアは暗い顔で首を振る。
「ミリア……」
夏樹はミリアの手を握る。
「な、夏樹!?」
「俺は、お前と一緒にいる。だから、そんな悲しいことを言わないでくれ……」
夏樹は真剣な眼差しを向ける。その視線に、ミリアも思わずドキッとする。
「……ありがとう」
ミリアは夏樹の顔を見つめながら呟く。
「夏樹ってさ……やっぱり優しいね」
「えっ?」
「ううん、何でもない」
ミリアは首を振った後、微笑む。
「ねぇ、夏樹」
「ん?」
「私、あなたが大好きだよ」
ミリアの言葉に夏樹は微笑み返す。
「俺もだ」
そう言って、夏樹は手を差し出す。
「行こう!!」
「うん!!」
夏樹の言葉に、ミリアは笑顔を浮かべて答える。
「ねぇ、夏樹……」
エリスが夏樹を呼ぶ。振り返ると彼女は優しく微笑んでいた。
「なんだよ?」
「私は、あなたが勇者だと思うわ」
「えっ?」
夏樹は驚き、彼女の言葉の意味を考える。
「俺が?」
「えぇ」
「どうして?」
「だって、あなたは私のヒーローですもの」
「……」
夏樹はその言葉を噛み締める。
確かに、自分は彼女に救われてきた。
夏樹は思う。
自分は、彼女のためなら何だってできると。
例え、どんな困難があっても彼女となら乗り越えられると……。
「ありがとう……」
夏樹は、静かに呟いた。
「何か言った?」
「いや、何も……」
夏樹は首を横に振る。
「ねぇ、夏樹……」
今度は、エリスが夏樹の名を呼んだ。
「ん?」
「私も……あなたのことが好きよ」
「えっ!?」
「もちろん、友達としても好きだけど……」
「……」
夏樹は顔を赤らめる。
「でもね、それだけじゃないよ……」
「……」
「夏樹のこと、一人の男性として見ているの……」
「えっ?」
夏樹は驚く。
「私じゃダメかな?」
エリスは不安げな表情を浮かべていた。
「……」
夏樹は何も言えなかった。
今まで、こんな気持ちになったことは初めてだ。
夏樹は自分の心臓の鼓動が激しくなるのを感じる。
エリスのことが好きだ。
それは間違いない。
だが、俺は彼女を幸せにすることができるだろうか? 夏樹は考える。
今の自分には、エリスを愛する資格があるのだろうか? 俺は、ただ単にエリスと一緒にいたいという自分の欲望を満たすために、彼女と付き合っているだけではないだろうか? それに、俺がいなくなったら、彼女はどうするのだろう。夏樹には、答えが出せなかった。
「……夏樹?」
エリスが心配そうな顔で見つめている。
「あぁ、ごめん……」
夏樹は首を振る。
「大丈夫、俺もお前を愛してる」
夏樹の言葉に、エリスは笑顔を浮かべる。
「よかった……」
夏樹は彼女の笑顔を見て、決意を固める。
「行こう!!」
「うん!!」
夏樹の言葉に、ミリアは笑顔で答える。
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