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#0 死から、始まり
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中学三年、高校受験を無事終え、その合格発表を見に公開場まで来ていた俺、吉原修平は一覧に目を通す。
受かっててほしいなぁ
正直自信はなかった。
手応えはあったしここまでしっかりと努力を積み重ねてきた。
元々才能という恵みを与えられなかった俺は平凡、凡人を極める事となった。つまり勉強一筋でここまで来たのだ。
1478、1478。
自分の受験番号を必死に探す。
インターネットで見ることも出来たがしっかり一覧を生で、自分の目で確かめたかったのとそんなに遠くはないのでここまで来た。
それが不幸を呼んだのだ。
これを理解したときには既に遅かった。
人が密集し、こぞって番号を探す。自分もその一人なのだが番号が一向に見当たらない。
自分付近の番号はあるがそこに自分のはなかった。
俺、落ちた?
脳がそう理解した瞬間ひゅっ、と心臓が握り潰されるかのような気分。悪寒が走る。体感温度は一、二度ほど下がっただろう。
「あ、落ちた」
ポツリと呟いた。
逸らすことの出来ない現実だった。
自分の番号はない。
同じように落ちた人は悲しむ、ショックを受けるのに対し、受かった人たちは喜びの声を上げる。
もう頭が回らなかった。
何も考えることは出来ずただただその現実を受けて止めるので精一杯だった。
少したった時だった。次第に回転を始める脳は耳からの伝達を敏感にさせた。
何か受験の結果やその事についての声ではなかった。
一番その声を表すとそれは 悲鳴
絶叫とも言うのかもしれない。ただこの事がただ事ではないことはよくわかった。
何が起こっているのかは知らないが心情的にそんな気分ではなかった。
しかし、どんどん近づくそれは真っ直ぐこちらへ向かって来ていた。
「えっ?」
ドスッ
すれ違う人とぶつかった音。その人は酷く慌てているようで当たった事にすら気付かずに瞬く間に遠くまでいってしまった。
そんな謝りもせずに過ぎ去った人に嫌みを思いながらもある異変に気付く。
周りの人は悲鳴、絶叫、奇声に近い声で叫んでいた。
その視線の先は自分だ。
(何?何事なんだ?)
よくわからない状況に声を出そうとした。
しかし、出なかった。出せなかったのだ。
自分の腹部に刺さるナイフのせいで。
それを見て固まる。
あれ?何だこれ?何で俺に?いつ?どこで?
脳みそがパニックを起こした。
痛くはなく血が滲むのをじっ、と見ていた。
そこでやっと体の神経が反応した。
「………………」
出せなくなった声。腹部に激痛が走る。出せなくなった声に続いて呼吸が苦しくなる。
おかしい……俺の…………から、だ。
力が抜け、次第に傾く。
少しの間もなく倒れる。
我に返った人たちが何か言っているがその時の俺にはもう何も聞こえない。
徐々に聞こえなくなる音。ぼやけだす視界。
血が足りずに冷え始める体。
間もなく死が訪れる。
まるでそう体が言っているような気がした。
最後に見たのは近くにいた人たちが協力して助けようとしてくれていた。
(ああ、最後くらい誰か助けるぐらい勇者っぽく振りまきたかった)
勇者に憧れ、夢見る俺はそう思いながら意識を薄くさせていくのだった。
受かっててほしいなぁ
正直自信はなかった。
手応えはあったしここまでしっかりと努力を積み重ねてきた。
元々才能という恵みを与えられなかった俺は平凡、凡人を極める事となった。つまり勉強一筋でここまで来たのだ。
1478、1478。
自分の受験番号を必死に探す。
インターネットで見ることも出来たがしっかり一覧を生で、自分の目で確かめたかったのとそんなに遠くはないのでここまで来た。
それが不幸を呼んだのだ。
これを理解したときには既に遅かった。
人が密集し、こぞって番号を探す。自分もその一人なのだが番号が一向に見当たらない。
自分付近の番号はあるがそこに自分のはなかった。
俺、落ちた?
脳がそう理解した瞬間ひゅっ、と心臓が握り潰されるかのような気分。悪寒が走る。体感温度は一、二度ほど下がっただろう。
「あ、落ちた」
ポツリと呟いた。
逸らすことの出来ない現実だった。
自分の番号はない。
同じように落ちた人は悲しむ、ショックを受けるのに対し、受かった人たちは喜びの声を上げる。
もう頭が回らなかった。
何も考えることは出来ずただただその現実を受けて止めるので精一杯だった。
少したった時だった。次第に回転を始める脳は耳からの伝達を敏感にさせた。
何か受験の結果やその事についての声ではなかった。
一番その声を表すとそれは 悲鳴
絶叫とも言うのかもしれない。ただこの事がただ事ではないことはよくわかった。
何が起こっているのかは知らないが心情的にそんな気分ではなかった。
しかし、どんどん近づくそれは真っ直ぐこちらへ向かって来ていた。
「えっ?」
ドスッ
すれ違う人とぶつかった音。その人は酷く慌てているようで当たった事にすら気付かずに瞬く間に遠くまでいってしまった。
そんな謝りもせずに過ぎ去った人に嫌みを思いながらもある異変に気付く。
周りの人は悲鳴、絶叫、奇声に近い声で叫んでいた。
その視線の先は自分だ。
(何?何事なんだ?)
よくわからない状況に声を出そうとした。
しかし、出なかった。出せなかったのだ。
自分の腹部に刺さるナイフのせいで。
それを見て固まる。
あれ?何だこれ?何で俺に?いつ?どこで?
脳みそがパニックを起こした。
痛くはなく血が滲むのをじっ、と見ていた。
そこでやっと体の神経が反応した。
「………………」
出せなくなった声。腹部に激痛が走る。出せなくなった声に続いて呼吸が苦しくなる。
おかしい……俺の…………から、だ。
力が抜け、次第に傾く。
少しの間もなく倒れる。
我に返った人たちが何か言っているがその時の俺にはもう何も聞こえない。
徐々に聞こえなくなる音。ぼやけだす視界。
血が足りずに冷え始める体。
間もなく死が訪れる。
まるでそう体が言っているような気がした。
最後に見たのは近くにいた人たちが協力して助けようとしてくれていた。
(ああ、最後くらい誰か助けるぐらい勇者っぽく振りまきたかった)
勇者に憧れ、夢見る俺はそう思いながら意識を薄くさせていくのだった。
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