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第四章 最後の戦い
揺れる
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沙耶はテントの中でひとり毛布に包まって座っていた。そして上部に吊るされた裸電球をぼんやりと見つめている。テントに隙間風が吹き込んでいるのか、それが光の残像を残しながらゆらゆらと揺れている。彼女は力なく首を垂れて毛布の中にため息を吐いた。
ここで生活するようになってからいったいどれくらいの月日が流れただろう。ほんの数日のような気もするし、もう何ヶ月も経過したような気もする。昼夜の区別もないこんな場所にいると時間の感覚がひどく曖昧になってくる。ただ肌に触れる空気の氷水のような冷たさで冬の到来を感じていた。
暁明のノートパソコンを開いた。こんな場所でもネットは通じる。暁明はこれで外にいる浩宇と連絡を取り合っているらしい。沙耶も自由に使用することを許可されていた。
オズ・エンタテイメントのホームページにアクセスした。トップ画面に表示されたのはゴリラロアという男四人組のロックバンド。同社の開催するバンドコンテストで優勝を果たし、デビューが決定したとなっている。
しかし、本来であれば、優勝は沙耶たちのバンド、ダンデリオンのはずだった。が、仕方がない。沙耶も洋平も警察に追跡されないよう携帯電話を破壊していた。オズ・エンタテイメントとは連絡の取りようがなくなっていた。
ゴリラロアの曲を視聴できるようになっていたので音量を小さくして流した。そしてまた毛布に包まって横になる。
テント内の空気をビリビリと震わせるハードロックの重低音。そこに野獣の雄叫びのようなヴォーカルが重なる。そして曲が終わる。しかし、そのときの沙耶の心にはなにも響かず、ただ空虚に通り過ぎていくだけだった。
頭から毛布を被った。暗闇。静寂。底知れぬ不安。
両親、アルン、健吾……。大切な人たちは次々と彼女の前から姿を消していく。水族館で知り合って仲良くなったマイも連絡が取れなくなってしまった。洋平もいつの日か急に姿を消してしまうのだろうか。
――お願い。どこにも行かないで……。
沙耶は目を閉じて祈る。できることなら洋平に抱きしめてもらいたかった。しかし、今のこの状況ではそんな甘えさえも許されないような気がして、毛布の中でひとりブルブルと震えることしかできなかった。
うとうとと眠気が襲ってきた。そのとき、テントの外から洋平の呼ぶ声が聞こえたとうな気がした。が、それは現実の声なのか、それとも夢の中からの声なのか判別がつかなかった。
ここで生活するようになってからいったいどれくらいの月日が流れただろう。ほんの数日のような気もするし、もう何ヶ月も経過したような気もする。昼夜の区別もないこんな場所にいると時間の感覚がひどく曖昧になってくる。ただ肌に触れる空気の氷水のような冷たさで冬の到来を感じていた。
暁明のノートパソコンを開いた。こんな場所でもネットは通じる。暁明はこれで外にいる浩宇と連絡を取り合っているらしい。沙耶も自由に使用することを許可されていた。
オズ・エンタテイメントのホームページにアクセスした。トップ画面に表示されたのはゴリラロアという男四人組のロックバンド。同社の開催するバンドコンテストで優勝を果たし、デビューが決定したとなっている。
しかし、本来であれば、優勝は沙耶たちのバンド、ダンデリオンのはずだった。が、仕方がない。沙耶も洋平も警察に追跡されないよう携帯電話を破壊していた。オズ・エンタテイメントとは連絡の取りようがなくなっていた。
ゴリラロアの曲を視聴できるようになっていたので音量を小さくして流した。そしてまた毛布に包まって横になる。
テント内の空気をビリビリと震わせるハードロックの重低音。そこに野獣の雄叫びのようなヴォーカルが重なる。そして曲が終わる。しかし、そのときの沙耶の心にはなにも響かず、ただ空虚に通り過ぎていくだけだった。
頭から毛布を被った。暗闇。静寂。底知れぬ不安。
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――お願い。どこにも行かないで……。
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