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242話 - 共生
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僕はフェンリルになって目を覚ました……
どうやら意識を失って1か月も経っていたらしい。
体や皆の様子など色々確認したいことがあるんだけれど……
1番気になるのはこのスライム。
『初めまして?ところで、スライムの君は、どちらさま?』
ピョン、ピョン……
ぷるるん。
チラッ。
「……?」
『君は、なんで動いてるの……?』
おかしい……。
ワカメの時もカニの時も僕の魂が抜けた後は抜け殻になってたんだ。
「…………」
「こっちを向いてお話を聞いてくれている感じはするのですが、応答はないのです……。だからクロムさんなのかと……。話せないのかな、と思いまして……」
なるほど……。
確かにじっとこちらの様子を見て居る。
僕の念話も届いているみたいだな。
ただ、それに応答してくる感じはしない。
よし。
『君の事、鑑定させてもらってもいいかな?』
「…………」
元僕の体だからなのかな?
うっすらこの子の気持ちがわかる気がする……
特に嫌がってる雰囲気を感じない。
それに敵対心も微塵もない。
もし敵対心があればそもそも僕が意識を無くしている間に出て行こうとするアクションがあるはずだ。
気ままに動き回っているけれど、家から出て行こうとする感じもしないんだよね。
『いくよ?気持ち悪かったらごめんね?”鑑定”』
-----
★種族:オリジンスライム
名前:
契約:クロム
・LV1 / 200:経験値 0 / 200
・HP:50,000 / 50,000
・MP:500,000 / 500,000
・力:50,000
・防御:50,000
・敏捷:50,000
・器用:50,000
・知能:50,000
・魅力:5,000
・幸運:5,000
【魔法】
・水 ・炎 ・嵐 ・地
・氷・雷・光・無
・神聖 ・暗黒
【スキル】
・治癒・硬化・怪力
・威圧・隠密・命中
・暗殺・暗視・体術
・魔力隠蔽・空間感知
・並列思考・高速思考
・分割思考・物理耐性
【ギフト】
・属性魔法(全)
・水棲・精霊視
・魔力自動回復
・吸収 ※種族限定
・分裂 ※種族限定
・高速再生 ※種族限定
・属性無効
・魂攻撃無効
・即死無効
・痛覚無効
-----
『この子めちゃくちゃ強いけど!?』
ステータス全部5万だぞ!?
もう補助輪完全突破してるじゃん!!
この子レベル1だけどもうレベルの意味全くねぇな。
ってかMPに関しては50万ってやばすぎ!!
それにしても、さすがスライムだ。
凄い平均的なステータスだなぁ。
僕の体を僕が使ってないとこうなるのか……。
「クロムさんでしょ?」
『そうなの~!パパとおなじなの~!』
あ、そうか。
みんなはこの子の鑑定したんだね。
そりゃするよな……。
ってか、もうほぼ僕なんだよ。
属性魔法は全属性使える。
更に全属性無効。
その他スキルも殆ど同じ……。
ってかこの子のこと褒めると自画自賛してるみたいになるな……。
めっちゃ強いとか言っちゃった。
恥ずかし……。
今すぐ記憶から抹消して欲しい。
「……でも、パパよりは弱い」
「そうじゃの。あと、恐らくクロムがクロムでないと得られんかった能力が無くなっておる気がするのじゃ。神の加護関連も無くなっておる。これがまた、クロムが弱体化して、神に見放されてしまったのかという考えを促進させてのぉ……」
そうだね……。
これを僕と比較すると不安になる気持ちはわかるかも……。
加護関連、あとチートスキル。
そして、創造魔法の類が消えている……。
ただ、この子がただの魔物って考えると尋常じゃなく強いぞ……。
ハチより全然上だ。
90階層のボス、ドラゴレより強いかも。
ステータス上だとアンには劣るけど……。
ただスキル関連がえぐいんだ。
ひょっとしたらアンにでも勝っちゃうかもしれない……。
他に気になるところは……あ!
『この子、念話と意思伝達を覚えてないんだ!』
「そうなんです……。私達がいくら話かけても覚えてくれなくて……」
ふむ。
ただ、僕の契約が入っているんだよね……。
ハチに入ってる謎のやつだな。
だからなんらかの繋がりが僕とあるってことだ。
元、僕の体だもんね。
とりあえず僕が起きて1番に反応したのがこの子なんだ。
僕の意思なら伝わるのかな……?
≪僕の意思聞こえる?お話しできそう?同じように僕にお返事してみてくれない?≫
≪……キコエル。ワカッタ≫
やっぱりそうだ!
僕となら意思疎通できそう!
ちょっと会話は拙い気がするけれど時間を掛ければ行けそうだ!
『僕となら意思伝達できるみたい!みんなちょっと待ってて!あ、食事とかとって休んでな?』
「そうじゃの?クロムも無事じゃったことじゃし、皆すこし休むのじゃ」
『うん~!パパ元気だったからおなかすいた~!ひさしぶりにごはんつくるね~!』
「……うん。ぼくもちょっと休みたい」
「わかりました!私も食事をとりながらお話を聞かせてもらいます!」
・
・
・
僕の意思なら伝わることが分かった。
やはりなんらかの繋がりがあるみたい。
ここは僕に任せて皆にはリラックスしてもらうことにした。
クラムは料理を作っているし、クラマはテーブルで寝ちゃった。
おばあちゃんとエステルはリビングのテーブルでイスに腰を掛けてお茶をしている。
僕はちなみに玄関でうつぶせになっている状態だ。
体が大きすぎてこれ以上奥に入れないんだよね。
ハチが出入りする用の大きい魔石作っててよかった。
それを使って僕を家に入れてくれたんだと思う。
家の作りも考えないと、僕は家で生活できなくなるなぁ……
それは置いておいて……。
この子の鑑定を改めてすると、ステータスに意思伝達LV1が増えていた。
クラムと話し出したくらいの感じだな。
よし、簡単な質問を繰り返してみよう。
『君は、誰?』
≪スライム≫
ちょっと質問がボワっとしすぎてるか……。
『じゃあ、僕のことを知ってる?』
≪パパ≫
ん?この子も僕の事パパって呼ぶの……?
『僕は君のパパなの?』
≪ソウ、ヨバレテタ≫
あ、みんなが僕の事パパって呼ぶからか。
『君は僕の家族なの?』
≪……カゾク?≫
家族って認識はない、と……。
あぁ、そうか。
ソフィア様もスライムに家族認識はないって言ってたな。
『じゃあ、仲間とか同族とか、スライムとか……』
≪スライムハマモル。ボクラハオナジ≫
僕らは同じ……。
なるほどね?
スライム同士は仲間とかそういう感じじゃなくて、みんな同一個体として認識してるってことか。
だからこの子は僕としか話せないのかな?
僕は元スライムだから話せるって事かもしれないね。
ふむ……。
どうやってコミュニケーションを取ればいいか難しいな……。
『どこから来たの?』
≪ズットイッショ二イタ≫
『みんなと?1か月ここで暮らしてたんだよね?』
≪チガウ。パパ≫
僕とずっと一緒に?
いや、今初めて会ったと思うんだけど。
体は僕のモノだけどさ……。
≪パパダケヌケタ≫
僕だけ抜けた……?
……え!?
『ひょっとしてずっと同じ体の中にいたって言ってる!?』
≪オオキナチカラ、ミンナイッショニナッタ≫
大きな力……みんな一緒になったって……これ……
たぶんおばあちゃんの洞窟の話だよな?
僕が魔力を発して沢山のスライムに寄生をされて、って話だよね?
「クロムはスライムに寄生をした時に、スライムの魂を乗っ取ったのかのぉ?感覚でわかるものなのかぇ?」
『ん?なんとなくわかるよ?えっと、あの時僕は、沢山のスライムに飲み込まれて……。意識が暗転していって、えっと~。いや、他になんもないな?すぐ目覚めたもん……』
「では、乗っ取ってないのではないのかのぉ?」
ほんとだ……。
乗っ取ったりしてないよ……。
一緒になろうって飲み込まれた感覚って僕が乗っ取ったのとは違うよねっ!?
むしろどっちかというと僕が乗っ取られたくらいの感じだったし!
魂のバトルとかもしてなければ譲り合いもしてないって!
嘘、だろ……。
『じゃあ……、君は、ずっと僕の中で生きてたって事、だよね?』
≪ウン≫
Oh。
僕ってずっとこの子と共生してたのか……。
全く気付かなかった……。
それから30分程、試行錯誤しながら少しずつ色んなことを聞いた。
このスライムはおばあちゃんの泉で一緒になったスライムの集合体。
この子たちは僕に乗っ取られたわけじゃない。
共存を選んだだけ、とのことだった。
スライムは皆そうやって強い個体になっていくらしい。
で、だ。
話していてわかったことがある。
この子は他の魔物と比べるとかなり意思が弱い。
主体性があまりないと言う感じかな。
だから一緒に居ることを今まで全く気付かなかったんだ……。
多分僕の行動にほぼ文句が無かったんだと思う。
まさか共生してたと思わなかった……。
僕がこのスライムボディーから離脱したらスライムボディーは動かなくなるか消えちゃうと思ってたもん……。
「お主らの会話の流れで何となく察したんじゃが……。恐らく、クロムの影響で知恵や意思を持ったんじゃないかのぉ?スライムに明確な意思を持つものなどそもそもおらんぞ?魔力を求めて彷徨っておるだけじゃ」
「えぇ。前の体のクロムさんとクラムちゃんを除いて、言葉を理解するスライムというのも聞いたことがありませんし……」
『それであってる?僕と一緒にいて言葉とか覚えたの?』
≪ウン。コトバ、ハジメテハナシタ≫
まぁそりゃそうだよな。
スライムで生活してる限り話すことなんて必要ないもん。
それに僕と一緒の体で生活してなければ意思伝達とか覚えてなかっただろうな。
そもそも意思を伝達しようとする意思がないんだもん。
それにしても、長い間気付かなくて悪いことしたなぁ。
いきなり僕が体から離脱したから嫌な思いさせてないかなぁ。
『いきなり抜けちゃってごめんね?君がいる事知らなかったよ……』
≪ボクモシラナカッタ。パパガヌケテカラシッタ≫
あ、そっか。
そもそも僕が抜けたことによって自我の認識をしたのか。
『じゃあ、今思い返して、今まで何か嫌な思いしてなかった?』
≪……ナイ。マリョクヨリオイシイモノタベタ。オオキナチカラ、ツイタ≫
お、食事が好きなんだな。
スライムって本来の生態的に食欲の塊って感じだもんね。
お互いWIN-WINならよかったよ。
『それならよかった。今後も僕らと来る?自由に過ごしてもいいよ。美味しいものが沢山ある場所も紹介できるけどどうする?』
もちろん自由に生きてもらっていい。
ただめちゃくちゃ強いし、逆に僕らが連れて行くことにも問題はないな。
スライムなら連れて歩いてても全然問題ない。
ずっと僕と共生してた子をどこかに突き放すことはありえないよ。
≪ソコ、イキタイ。オイシイモノアルトコロ。イク≫
エデン希望だね。
スライムって闘争本能とか皆無だしな。
ずっとその体で過ごしてたからわかってるよ。
僕もそれが1番幸せだと思う。
この子もエデンのみんなを守ってくれるかな?
ちょっとお願いしてみようかな。
また好物とか教えてもらったりしよっと。
エデンのみんなはスライムすごく好きだし最高の場所でしょ。
他にもいっぱいスライム居るしね。
この機会に、おばあちゃんの泉2で育成したスライム達は街に解放してあげようかなぁ。
≪……イヤナコト、アッタ≫
『え!?嫌な事!?何!?』
≪ヨワイカラダ、イラナイ≫
……あ!!
適当な魔物に寄生しようとしてたりしたことか!
あれってもしや……
『君が僕の中で嫌がってたの!?』
≪ウン。タブン。スライムイガイ、ヨワイカラダイヤ。オオカミイラナイ≫
「こやつ目線だとそりゃそうじゃろうのぉ」
あぁ……あれか。
インフェルノウルフに取りつこうとした時だな……。
体に断固拒否されてたもん!
絶対無理!って感じだった。
体が勝手に逃げ出そうとするからクラムに押さえつけてもらったんだよ。
頭と体が完全に分裂してるんじゃないかと思うくらいだった。
まさか別の意思が体の中に居たとは……。
「えぇ。この子すごく強いですもん。元、クロムさんですし。私、負けてしまうのではないでしょうか……」
「うぬ。全属性魔法に全属性無効はクロムとクラムだけで充分じゃ。ちーとじゃ」
「クロムさんは更に新魔法作りますけどね……」
…………。
『ま、まぁそれは置いておいて。君にはほんとに申し訳ないことしたね。戦う為には強い体は必要だよなぁ……』
≪タタカウ、キライ。イキルタメ、マリョクタベル≫
あ、そうだよね。
そうなんだよなぁ。
こういうところがスライムと僕の相性がめっちゃいいんだよ……。
僕がスライムへの本能がいきなり強く働き出したのって、この子の意思が同じ体の中で少しずつ大きくなってきてたことも関係してるのかもしれないなぁ。
僕が離脱したこの子は完全にスライムだもん。
スライム目線だとなんで別の魔物にならないとならんのだって感じだわなぁ。
人間要素なんて全く求めてないだろうしなぁ。
自分よりずっと弱い魔物なんか尚更だよ……。
この子目線だと最悪じゃん……。
『うぅ、ごめんよ……。何か出来ることは僕にもさせてもらうよ……』
≪ナマエホシイ≫
『あ!そうだね!君はクロムじゃないもんな。ちょっと待ってね?』
元、僕の体だから緑色の体してるんだよねぇ。
自分で言うのもなんだけど結構爽やかできれいな色してるんだよなぁ。
緑色から連想されるスライム……。
あ、ちょうどライムと同じような色してるよ?
綺麗で鮮やかな緑色のスライムでライムってこれしかなくない!?
『じゃあ、君の名前はライム!これしかない!君の体と同じ色の果物の名前なんだ!』
≪オイシイ?≫
お、美味しいかどうか!?
僕は柑橘類を色んな食物や果物に絞ったりするの好きだったけどなぁ。
『僕は何にでもかけてたけどね?唐揚げでもお酒でも、お鍋のポン酢に上乗せでもなんでもこいだよ』
≪……?ワカッタ。ソレデイイ≫
「よいのではないでしょうか?私がクロムさんの名前を付けたのも万能って意味なんです。だからその果物がなんにでも合うならクロムさんの名前と同じ意味ですよ、ふふ♪」
お、エステルお墨付きか。
そこは全然意図してなかったけど僕の名前と同じ意味になるんだ。
じゃあ僕の兄弟みたいで最高じゃんね!
『……あれ?みんなライムの声聞こえるの?』
「お、そういえばそうじゃの?先程から聞こえておるのじゃ」
「クロムさんのおかげで意思伝達を覚えたからじゃないですか?」
あ、きっかけになったんだね。
意思伝達覚えちゃえばみんなと話せるのか。
よかった。
きっと話すことに慣れて行けばもっと話し方もうまくなっていくはずだ。
ライムもこれから楽しめるとうれしいなぁ。
『ごはんできたよ~!ひさしぶりだからいっぱいつくったぁ~!たべよー!』
どうやら意識を失って1か月も経っていたらしい。
体や皆の様子など色々確認したいことがあるんだけれど……
1番気になるのはこのスライム。
『初めまして?ところで、スライムの君は、どちらさま?』
ピョン、ピョン……
ぷるるん。
チラッ。
「……?」
『君は、なんで動いてるの……?』
おかしい……。
ワカメの時もカニの時も僕の魂が抜けた後は抜け殻になってたんだ。
「…………」
「こっちを向いてお話を聞いてくれている感じはするのですが、応答はないのです……。だからクロムさんなのかと……。話せないのかな、と思いまして……」
なるほど……。
確かにじっとこちらの様子を見て居る。
僕の念話も届いているみたいだな。
ただ、それに応答してくる感じはしない。
よし。
『君の事、鑑定させてもらってもいいかな?』
「…………」
元僕の体だからなのかな?
うっすらこの子の気持ちがわかる気がする……
特に嫌がってる雰囲気を感じない。
それに敵対心も微塵もない。
もし敵対心があればそもそも僕が意識を無くしている間に出て行こうとするアクションがあるはずだ。
気ままに動き回っているけれど、家から出て行こうとする感じもしないんだよね。
『いくよ?気持ち悪かったらごめんね?”鑑定”』
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★種族:オリジンスライム
名前:
契約:クロム
・LV1 / 200:経験値 0 / 200
・HP:50,000 / 50,000
・MP:500,000 / 500,000
・力:50,000
・防御:50,000
・敏捷:50,000
・器用:50,000
・知能:50,000
・魅力:5,000
・幸運:5,000
【魔法】
・水 ・炎 ・嵐 ・地
・氷・雷・光・無
・神聖 ・暗黒
【スキル】
・治癒・硬化・怪力
・威圧・隠密・命中
・暗殺・暗視・体術
・魔力隠蔽・空間感知
・並列思考・高速思考
・分割思考・物理耐性
【ギフト】
・属性魔法(全)
・水棲・精霊視
・魔力自動回復
・吸収 ※種族限定
・分裂 ※種族限定
・高速再生 ※種族限定
・属性無効
・魂攻撃無効
・即死無効
・痛覚無効
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『この子めちゃくちゃ強いけど!?』
ステータス全部5万だぞ!?
もう補助輪完全突破してるじゃん!!
この子レベル1だけどもうレベルの意味全くねぇな。
ってかMPに関しては50万ってやばすぎ!!
それにしても、さすがスライムだ。
凄い平均的なステータスだなぁ。
僕の体を僕が使ってないとこうなるのか……。
「クロムさんでしょ?」
『そうなの~!パパとおなじなの~!』
あ、そうか。
みんなはこの子の鑑定したんだね。
そりゃするよな……。
ってか、もうほぼ僕なんだよ。
属性魔法は全属性使える。
更に全属性無効。
その他スキルも殆ど同じ……。
ってかこの子のこと褒めると自画自賛してるみたいになるな……。
めっちゃ強いとか言っちゃった。
恥ずかし……。
今すぐ記憶から抹消して欲しい。
「……でも、パパよりは弱い」
「そうじゃの。あと、恐らくクロムがクロムでないと得られんかった能力が無くなっておる気がするのじゃ。神の加護関連も無くなっておる。これがまた、クロムが弱体化して、神に見放されてしまったのかという考えを促進させてのぉ……」
そうだね……。
これを僕と比較すると不安になる気持ちはわかるかも……。
加護関連、あとチートスキル。
そして、創造魔法の類が消えている……。
ただ、この子がただの魔物って考えると尋常じゃなく強いぞ……。
ハチより全然上だ。
90階層のボス、ドラゴレより強いかも。
ステータス上だとアンには劣るけど……。
ただスキル関連がえぐいんだ。
ひょっとしたらアンにでも勝っちゃうかもしれない……。
他に気になるところは……あ!
『この子、念話と意思伝達を覚えてないんだ!』
「そうなんです……。私達がいくら話かけても覚えてくれなくて……」
ふむ。
ただ、僕の契約が入っているんだよね……。
ハチに入ってる謎のやつだな。
だからなんらかの繋がりが僕とあるってことだ。
元、僕の体だもんね。
とりあえず僕が起きて1番に反応したのがこの子なんだ。
僕の意思なら伝わるのかな……?
≪僕の意思聞こえる?お話しできそう?同じように僕にお返事してみてくれない?≫
≪……キコエル。ワカッタ≫
やっぱりそうだ!
僕となら意思疎通できそう!
ちょっと会話は拙い気がするけれど時間を掛ければ行けそうだ!
『僕となら意思伝達できるみたい!みんなちょっと待ってて!あ、食事とかとって休んでな?』
「そうじゃの?クロムも無事じゃったことじゃし、皆すこし休むのじゃ」
『うん~!パパ元気だったからおなかすいた~!ひさしぶりにごはんつくるね~!』
「……うん。ぼくもちょっと休みたい」
「わかりました!私も食事をとりながらお話を聞かせてもらいます!」
・
・
・
僕の意思なら伝わることが分かった。
やはりなんらかの繋がりがあるみたい。
ここは僕に任せて皆にはリラックスしてもらうことにした。
クラムは料理を作っているし、クラマはテーブルで寝ちゃった。
おばあちゃんとエステルはリビングのテーブルでイスに腰を掛けてお茶をしている。
僕はちなみに玄関でうつぶせになっている状態だ。
体が大きすぎてこれ以上奥に入れないんだよね。
ハチが出入りする用の大きい魔石作っててよかった。
それを使って僕を家に入れてくれたんだと思う。
家の作りも考えないと、僕は家で生活できなくなるなぁ……
それは置いておいて……。
この子の鑑定を改めてすると、ステータスに意思伝達LV1が増えていた。
クラムと話し出したくらいの感じだな。
よし、簡単な質問を繰り返してみよう。
『君は、誰?』
≪スライム≫
ちょっと質問がボワっとしすぎてるか……。
『じゃあ、僕のことを知ってる?』
≪パパ≫
ん?この子も僕の事パパって呼ぶの……?
『僕は君のパパなの?』
≪ソウ、ヨバレテタ≫
あ、みんなが僕の事パパって呼ぶからか。
『君は僕の家族なの?』
≪……カゾク?≫
家族って認識はない、と……。
あぁ、そうか。
ソフィア様もスライムに家族認識はないって言ってたな。
『じゃあ、仲間とか同族とか、スライムとか……』
≪スライムハマモル。ボクラハオナジ≫
僕らは同じ……。
なるほどね?
スライム同士は仲間とかそういう感じじゃなくて、みんな同一個体として認識してるってことか。
だからこの子は僕としか話せないのかな?
僕は元スライムだから話せるって事かもしれないね。
ふむ……。
どうやってコミュニケーションを取ればいいか難しいな……。
『どこから来たの?』
≪ズットイッショ二イタ≫
『みんなと?1か月ここで暮らしてたんだよね?』
≪チガウ。パパ≫
僕とずっと一緒に?
いや、今初めて会ったと思うんだけど。
体は僕のモノだけどさ……。
≪パパダケヌケタ≫
僕だけ抜けた……?
……え!?
『ひょっとしてずっと同じ体の中にいたって言ってる!?』
≪オオキナチカラ、ミンナイッショニナッタ≫
大きな力……みんな一緒になったって……これ……
たぶんおばあちゃんの洞窟の話だよな?
僕が魔力を発して沢山のスライムに寄生をされて、って話だよね?
「クロムはスライムに寄生をした時に、スライムの魂を乗っ取ったのかのぉ?感覚でわかるものなのかぇ?」
『ん?なんとなくわかるよ?えっと、あの時僕は、沢山のスライムに飲み込まれて……。意識が暗転していって、えっと~。いや、他になんもないな?すぐ目覚めたもん……』
「では、乗っ取ってないのではないのかのぉ?」
ほんとだ……。
乗っ取ったりしてないよ……。
一緒になろうって飲み込まれた感覚って僕が乗っ取ったのとは違うよねっ!?
むしろどっちかというと僕が乗っ取られたくらいの感じだったし!
魂のバトルとかもしてなければ譲り合いもしてないって!
嘘、だろ……。
『じゃあ……、君は、ずっと僕の中で生きてたって事、だよね?』
≪ウン≫
Oh。
僕ってずっとこの子と共生してたのか……。
全く気付かなかった……。
それから30分程、試行錯誤しながら少しずつ色んなことを聞いた。
このスライムはおばあちゃんの泉で一緒になったスライムの集合体。
この子たちは僕に乗っ取られたわけじゃない。
共存を選んだだけ、とのことだった。
スライムは皆そうやって強い個体になっていくらしい。
で、だ。
話していてわかったことがある。
この子は他の魔物と比べるとかなり意思が弱い。
主体性があまりないと言う感じかな。
だから一緒に居ることを今まで全く気付かなかったんだ……。
多分僕の行動にほぼ文句が無かったんだと思う。
まさか共生してたと思わなかった……。
僕がこのスライムボディーから離脱したらスライムボディーは動かなくなるか消えちゃうと思ってたもん……。
「お主らの会話の流れで何となく察したんじゃが……。恐らく、クロムの影響で知恵や意思を持ったんじゃないかのぉ?スライムに明確な意思を持つものなどそもそもおらんぞ?魔力を求めて彷徨っておるだけじゃ」
「えぇ。前の体のクロムさんとクラムちゃんを除いて、言葉を理解するスライムというのも聞いたことがありませんし……」
『それであってる?僕と一緒にいて言葉とか覚えたの?』
≪ウン。コトバ、ハジメテハナシタ≫
まぁそりゃそうだよな。
スライムで生活してる限り話すことなんて必要ないもん。
それに僕と一緒の体で生活してなければ意思伝達とか覚えてなかっただろうな。
そもそも意思を伝達しようとする意思がないんだもん。
それにしても、長い間気付かなくて悪いことしたなぁ。
いきなり僕が体から離脱したから嫌な思いさせてないかなぁ。
『いきなり抜けちゃってごめんね?君がいる事知らなかったよ……』
≪ボクモシラナカッタ。パパガヌケテカラシッタ≫
あ、そっか。
そもそも僕が抜けたことによって自我の認識をしたのか。
『じゃあ、今思い返して、今まで何か嫌な思いしてなかった?』
≪……ナイ。マリョクヨリオイシイモノタベタ。オオキナチカラ、ツイタ≫
お、食事が好きなんだな。
スライムって本来の生態的に食欲の塊って感じだもんね。
お互いWIN-WINならよかったよ。
『それならよかった。今後も僕らと来る?自由に過ごしてもいいよ。美味しいものが沢山ある場所も紹介できるけどどうする?』
もちろん自由に生きてもらっていい。
ただめちゃくちゃ強いし、逆に僕らが連れて行くことにも問題はないな。
スライムなら連れて歩いてても全然問題ない。
ずっと僕と共生してた子をどこかに突き放すことはありえないよ。
≪ソコ、イキタイ。オイシイモノアルトコロ。イク≫
エデン希望だね。
スライムって闘争本能とか皆無だしな。
ずっとその体で過ごしてたからわかってるよ。
僕もそれが1番幸せだと思う。
この子もエデンのみんなを守ってくれるかな?
ちょっとお願いしてみようかな。
また好物とか教えてもらったりしよっと。
エデンのみんなはスライムすごく好きだし最高の場所でしょ。
他にもいっぱいスライム居るしね。
この機会に、おばあちゃんの泉2で育成したスライム達は街に解放してあげようかなぁ。
≪……イヤナコト、アッタ≫
『え!?嫌な事!?何!?』
≪ヨワイカラダ、イラナイ≫
……あ!!
適当な魔物に寄生しようとしてたりしたことか!
あれってもしや……
『君が僕の中で嫌がってたの!?』
≪ウン。タブン。スライムイガイ、ヨワイカラダイヤ。オオカミイラナイ≫
「こやつ目線だとそりゃそうじゃろうのぉ」
あぁ……あれか。
インフェルノウルフに取りつこうとした時だな……。
体に断固拒否されてたもん!
絶対無理!って感じだった。
体が勝手に逃げ出そうとするからクラムに押さえつけてもらったんだよ。
頭と体が完全に分裂してるんじゃないかと思うくらいだった。
まさか別の意思が体の中に居たとは……。
「えぇ。この子すごく強いですもん。元、クロムさんですし。私、負けてしまうのではないでしょうか……」
「うぬ。全属性魔法に全属性無効はクロムとクラムだけで充分じゃ。ちーとじゃ」
「クロムさんは更に新魔法作りますけどね……」
…………。
『ま、まぁそれは置いておいて。君にはほんとに申し訳ないことしたね。戦う為には強い体は必要だよなぁ……』
≪タタカウ、キライ。イキルタメ、マリョクタベル≫
あ、そうだよね。
そうなんだよなぁ。
こういうところがスライムと僕の相性がめっちゃいいんだよ……。
僕がスライムへの本能がいきなり強く働き出したのって、この子の意思が同じ体の中で少しずつ大きくなってきてたことも関係してるのかもしれないなぁ。
僕が離脱したこの子は完全にスライムだもん。
スライム目線だとなんで別の魔物にならないとならんのだって感じだわなぁ。
人間要素なんて全く求めてないだろうしなぁ。
自分よりずっと弱い魔物なんか尚更だよ……。
この子目線だと最悪じゃん……。
『うぅ、ごめんよ……。何か出来ることは僕にもさせてもらうよ……』
≪ナマエホシイ≫
『あ!そうだね!君はクロムじゃないもんな。ちょっと待ってね?』
元、僕の体だから緑色の体してるんだよねぇ。
自分で言うのもなんだけど結構爽やかできれいな色してるんだよなぁ。
緑色から連想されるスライム……。
あ、ちょうどライムと同じような色してるよ?
綺麗で鮮やかな緑色のスライムでライムってこれしかなくない!?
『じゃあ、君の名前はライム!これしかない!君の体と同じ色の果物の名前なんだ!』
≪オイシイ?≫
お、美味しいかどうか!?
僕は柑橘類を色んな食物や果物に絞ったりするの好きだったけどなぁ。
『僕は何にでもかけてたけどね?唐揚げでもお酒でも、お鍋のポン酢に上乗せでもなんでもこいだよ』
≪……?ワカッタ。ソレデイイ≫
「よいのではないでしょうか?私がクロムさんの名前を付けたのも万能って意味なんです。だからその果物がなんにでも合うならクロムさんの名前と同じ意味ですよ、ふふ♪」
お、エステルお墨付きか。
そこは全然意図してなかったけど僕の名前と同じ意味になるんだ。
じゃあ僕の兄弟みたいで最高じゃんね!
『……あれ?みんなライムの声聞こえるの?』
「お、そういえばそうじゃの?先程から聞こえておるのじゃ」
「クロムさんのおかげで意思伝達を覚えたからじゃないですか?」
あ、きっかけになったんだね。
意思伝達覚えちゃえばみんなと話せるのか。
よかった。
きっと話すことに慣れて行けばもっと話し方もうまくなっていくはずだ。
ライムもこれから楽しめるとうれしいなぁ。
『ごはんできたよ~!ひさしぶりだからいっぱいつくったぁ~!たべよー!』
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