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78話 - 空間魔法
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やっとこの異世界生活での目標が決まった。
とてもすがすがしい気分だ。
結局は当初の予定通り冒険者活動を頑張る事になるのだが、
目指す先が決まるとモチベーションも大きく変わる。
今後はとりあえずこのギルドを通じて冒険者ランクを上げたり貯金をしたりしていきたい。
それにしてもこのオグルというギルマスは僕たちにかなり協力的だ。
不審に思い理由を聞いてみたところ……
「ん?まぁ……最初は得体のしれないもんがいると思ったから絡んだんだが……。話しているうちに昔の俺をみてるようでな。まっすぐ育ってほしかったってのもある。まぁそれを除いてもお前らに敵対するメリットがねぇよ。ほおっておいても依頼こなしてくれんのに。このあたりは魔物もそんないねぇし交易も発展してねぇから冒険者もあまりいなくてよ。わざわざ何もねぇこんな大陸のはじっこまでこねぇわなぁ。平和なのはいい事だが結構貧乏なんだよここは。ランク上げるならついでにこのギルドの発展にも協力してくれると助かる」
とのことだ。なにか過去にあったんだろうか。
でも特に大けがをしているようには見えないしまだそこまで老いてもいない。
充分戦えるのに引退を決意する決め手になるようなことがあったのだろう。
まぁ僕たちに協力してくれるならこのギルドが活性化する協力をすることはやぶさかではない。
世の中ギブ&テイクだ。
昨日エステルと相談し、今後の活動の為にもこのギルマスには少しだけ僕たちの能力を話そうということに決まった。まぁクラムはもちろん寝ていた。
具体的に言えばアイテムボックスのことだ。
この世界にはこの技能を持っている人はいないと神がいっていた。
ただこの技能を公開しないと魔物の素材を持ってくるのにすごい手間がかかってしまう。
『ってことで僕たちは異空間にアイテムを収納できるわけなんだが』
「なんだそれ?どういうことだ?」
『もうランクあげるなら隠さず素材を売ってもいいかと思ってるんだけど……』
「いや、そうだな……どれくらいあるんだよ」
『なにが売れるのかわからないからなぁ……』
「ちょっと解体場あけるからそこで出してみてくれ」
ギルマスにつれられ解体場までやってきた。
このギルドはかなり過疎っていて特に作業が詰まっているわけでもなく、
ギルマスが割と自由に行動できるみたいだ。
「ここでいいぞ」
一気にだすか……
やっとアイテムボックスの肥やしを整理できるな……
魔物の素材……ほい (ドサドサドサドサ)
「……異空間収納ってすげぇな。今まで溜め込んでたのか。それにしても保存状態わりぃなぁ……もっと丁寧にやれや……。んー。それに全部は買い取れねぇよ……手持ちの資金がこんなにねぇわ。とりあえず一旦仕分けすっから手伝えよ」
そんなこといわれてもうちに解体のノウハウ持ってる子なんかいないんだもん……
今まで適当にアイテムボックスにつっこんでいたのでギルマスと一緒に整理した。
買い取れそうなものは
・オーガの角 × 42 ・・・ 金貨1枚
・狼の牙 × 127・・・ 銅貨5枚 ~ 銀貨1枚
・デュアルファングボアの牙 × 58 ・・・ 銀貨35枚
・デュアルファングボアの肉 × 数百キロ ・・・ 銅貨30枚
・オークの肉 × 数百キロ ・・・ 銅貨50枚
・オークキングの肉 × 50キロ程 ・・・ 銀貨3枚
(1本、1キロ単位)
あとは素材がダメになってしまっていたり剥ぎとり方が悪いので買い取れないとのことだ。
破棄しといてくれるって。
「オークがこんなにあるなら睾丸はどうした?肉ばっかじゃねぇか。火炎狼も発火器官とかあったろ?そこが高いんだが……。狼は牙はあんま値はつかねぇからなぁ。」
「睾丸はちょっと……あまりさわりたくなかったので……」
そうだそうだ!そんなもんない!
なんで〇玉わざわざ剥ぎとって保管しとかないとならんのだ。
あとどこがどの部位とかわかんないし内臓系も一律捨ててた。
「そういうことやるのが冒険者なんだがな……。まぁそんな便利能力あるなら今度からはこっちでやるから丸ごともってこいよ。で、お前ら魔の森で特訓してたんだったか?それにしてはデカい魔物いないのな。もっととんでもねぇかと思ったわ。あんま中央の方にはいかなかったのか?」
『あぁ、迷うからな。あんま奥地まではいかなかったんだよ』
中心部の方に強いやつがいたのか……。なるほど……。
通りで大したことないと思った。
「まぁそれでもこのあたりじゃお目にかかれない素材ばかりだ。それにこれでも今全部買い取るのは無理だな。ここにそんな資金ねぇからな。これから本部と掛け合って回してもらうわ」
いきなり持ってきてもそりゃそうか………
取りあえずいきなり持ってきたので半端はギルドの取り分にしてくれと伝え
狼の牙(細かくて邪魔)とボアの牙8本、オーガの角2本を買い取ってもらってキリのいい本数を残すことにした。ギルド的にもこれが今は限度とのことだ。
肉は売らない。食べる。
金貨5枚と銀貨20枚。520万円だ……やば……。
「で、だ。お前らこれからランクがっつりあげてくならもう職員には強いことは言っとくぞ。買取も普通に出せるようにしておく。能力のことは社外秘ってことはしっかり伝えておくさ。なんかデカい依頼とか受付で対応できんことも俺に回せって言っておく。それでいいか?」
『あぁ、それで大丈夫だ。助かる』
「ありがとうございます」
≪ありがと~?≫
これは助かるな。この世界の人は魔物の資材とかどうしてんだ?
必要な部分だけ切り取って持って帰るのかな……
「で、今回のこの買取に関してはギルドの依頼は関係ねぇから評価にはのせらんねぇ。この素材が必要な依頼もでてないからな。まさかこのギルドにこんな素材入ってくるとだれも思ってねぇから。ただ、戦力に関しての評価が伸び悩んだり困ったりはすることねぇと思うからこれは別にどうでもいいだろ」
『構わないぞ。素材の整理と資金が潤沢になっただけで助かった』
「で、これは提案なんだが、お前ら明日から行商の護衛行って来いよ」
護衛……?
「行商人を魔物や盗賊から護衛する依頼だな。今朝ちょうど依頼の申し込みがあったから取っておいた。どうせお前らはランク上げることになるとおもってな。これ達成できて帰ってきたらDランクに上げてやる。Dランク昇格には護衛実績が要るもんでな。実は上位ランクの試験官と戦闘テストもいるんだが……もう俺と模擬戦したからいいわ。てか俺の一存で決められるBランクまで戦闘試験はずっといらん」
「私は大丈夫ですよ?」
≪クラムも~≫
え、いいけど宿は……?
-------
(ガタゴト…)
「のどかですねぇ……」
町から1日荷馬車で離れたところからは草原が広がっていた。
今僕たちは荷馬車で2日かかる隣町へポートル商会の護衛中。
宿はもうそのまま部屋を取っておいてもらった。
昨日の朝出発、一日のんびり移動して、夕方ごろ適当に野宿して今日の朝また出発。
そして今。
昨日の夜は行商人さんから干し肉と黒パンを分けてもらった。
初めての冒険者食にうっきうきだったがまずかった。
しょっぺえ……食えないよこんなもん……
多分塩分補給や保存のためにこの塩分量が必要なんだろう。
イカの塩辛くらいしょっぱい………
≪これまずい~!クラムがお肉やく~!≫
『我慢してクラム!僕らがつくったらバレちゃうから!』
クラムが怒っていた。
クラムは割と食に厳しい子に育ってしまった。
エステルが商人さんにお肉を分けてあげて焼いてもらった。
一緒に食べてテントを張った。
商人さんはテントの作りに興味津々だった。
それほとんどクラムがつくったんだけどね。
こちらではマントを適当にかぶって寝ることが一般的らしい。
寝袋すらあまり持たないそう。
荷物は出来る限り減らす思考みたいだ。
まぁアイテムバッグとかないとそうなるよね……。
見張りは僕がやりエステルとクラムには寝てもらった。
ポートル商会はあの港町でとれる海産物や塩を隣町に運んでいくんだって。
その代わり麦やトウモロコシのようなの穀物類を仕入れて帰ってくるそうだ。
麦とトウモロコシゲットだぜ。
穀物ゲットはとてもうれしい。
これからは重要な食糧などは率先して保管していきたいと思う。
とりあえず農業がしたいのだ。
そういえば獣人の町にきてから町の様子などに特に触れていなかった。
ポートルの町は石で基盤がつくられ木の壁が張られた簡素な家ばかりだ。
地面に石が埋め込んである石畳の道で港町特有のさびれた感じがある。
潮のせいかな?
泊っている宿は上に藁を編んだマットレスの様なものが引いてある木でできた簡素なベッドに机と燭台。荷物を入れる籠のみのシンプルな部屋の作りになっている。
エステルの家にあった藁に大胆にシーツ乗せただけのベットの方がふかふかで気持ちよさそうだった。
トイレはあれ。ボットンするやつ。穴掘って木の淵があるだけ。
なぜ今まで僕がここに触れてこなかったかというと……
僕スライムだから!!つかわないから!!
スライムの体は排泄などは行わなくてもいい。
すべて消化されてしまうのだろうか?今まで催したことがない。
あと適当にその辺の床で寝ている。
起きたらエステルのベットの中にクラム共々入れられているのだが。
ということで理想の引きこもり生活に向かっていろいろ計画を立てていきたいのだが……
人間的な住宅の使用感とかがわからんのです……
この商人さんはとても優しくて警戒さえしてくれれば荷台にのっていてもいいと言ってくれている。
なので今は馬車の荷台に3人で座っている。
きっとこの荷台の乗り心地も悪いんだろう。
エステルは野生っ子なので気にしていないが。
でもそれもわからんのです。人の体じゃないんで……
で、まずは農業しよっかなと。
僕ご飯くらいしか実感できることないの……
家作っていってもいいけどね。
僕家作れないから大工さん探して家作ってもらおうかな?
アイテムボックス広げて家そのまま入れとくのもありか?
魔道具とかも見に行ってみようか。どんなのなんだろ?
完全究極引きこもり生活には実は何が必要なのか僕もよくわかっていない。
目標を立てたものボワっとしている。
だって生活してみないと何が必要かなんてわからないから……
だから引きこもりの予行演習をしようと決めた。
家建てて土地つくって農業して……土地はもう僕の中で決定している。
あそこしかない。絶対ない。
そしてその土地に向かう為の準備を今移動中にしているのだ。
『むむむむむむ』
”ロックオン”……きたッ!今だ!”ファイア” ッ!(ボッ)
…… ミッションコンプリート。
≪お~!パパすごーい!てきたおしたー!≫
何してるのか意味わかんないでしょ?
今空間感知で敵を感知して見えないところから魔法で敵を倒す練習してるの。
座標を感知でロックオンして打ってる感じ。
打つのは別にファイアでもアイスでもストーンでもなんでもいいんだけど……
やっぱファイアが雰囲気出るじゃん。ロックオン……アイス!ってなんか違くない?
僕ら敵を空間感知で捕捉してるからよく考えたらこれできるなって思ったんだよね。
で、なんでこんなことしてるかっていうと……
僕さ、アイテムボックス開いたときに空間に穴開けたんだよ。
ソフィア様はそれは加護の力だし僕らの文明ではどこかわからない異次元空間に穴をつなげることなんかできないっていってたじゃん?認識できないからって。
でも、見たんだよ。実際。空間に穴が開くところ。
じゃあ、認識できればできる?
ここじゃないどこか。じゃなくてさ。
この世界のあそこ。だったらどうなの?
空間転移できない?ね?
それで今まずは座標指定をしっかりできるようになるところからかな?
って空間感知して魔法を打ってるって感じ。
これができるようになったら小さいものをテレポートさせる魔法の練習したい。
で、これやってたら空間魔法のレベル上がったの!
今までほんと何していいかわからなかったのに!
瞬間移動じゃなくて空間転移になるかな?
空間転移できるようになったら僕好きなところに家作って活動できるじゃんか!
でもねぇ……
「せっかく護衛やとったのに全然魔物出てこねぇなぁ……まぁええんだけんど……」
いいえ、会長さん。僕が見えない所から狙撃しているのです。
あんまり敵出なさすぎるのも問題なのかなぁ……
いい塩梅って難しいな……
「クロムさん……ちょっと控えていただいた方が……」
やっぱり?こう見えても超がんばってんだけんどね……
あ、訛りがうつった。
とてもすがすがしい気分だ。
結局は当初の予定通り冒険者活動を頑張る事になるのだが、
目指す先が決まるとモチベーションも大きく変わる。
今後はとりあえずこのギルドを通じて冒険者ランクを上げたり貯金をしたりしていきたい。
それにしてもこのオグルというギルマスは僕たちにかなり協力的だ。
不審に思い理由を聞いてみたところ……
「ん?まぁ……最初は得体のしれないもんがいると思ったから絡んだんだが……。話しているうちに昔の俺をみてるようでな。まっすぐ育ってほしかったってのもある。まぁそれを除いてもお前らに敵対するメリットがねぇよ。ほおっておいても依頼こなしてくれんのに。このあたりは魔物もそんないねぇし交易も発展してねぇから冒険者もあまりいなくてよ。わざわざ何もねぇこんな大陸のはじっこまでこねぇわなぁ。平和なのはいい事だが結構貧乏なんだよここは。ランク上げるならついでにこのギルドの発展にも協力してくれると助かる」
とのことだ。なにか過去にあったんだろうか。
でも特に大けがをしているようには見えないしまだそこまで老いてもいない。
充分戦えるのに引退を決意する決め手になるようなことがあったのだろう。
まぁ僕たちに協力してくれるならこのギルドが活性化する協力をすることはやぶさかではない。
世の中ギブ&テイクだ。
昨日エステルと相談し、今後の活動の為にもこのギルマスには少しだけ僕たちの能力を話そうということに決まった。まぁクラムはもちろん寝ていた。
具体的に言えばアイテムボックスのことだ。
この世界にはこの技能を持っている人はいないと神がいっていた。
ただこの技能を公開しないと魔物の素材を持ってくるのにすごい手間がかかってしまう。
『ってことで僕たちは異空間にアイテムを収納できるわけなんだが』
「なんだそれ?どういうことだ?」
『もうランクあげるなら隠さず素材を売ってもいいかと思ってるんだけど……』
「いや、そうだな……どれくらいあるんだよ」
『なにが売れるのかわからないからなぁ……』
「ちょっと解体場あけるからそこで出してみてくれ」
ギルマスにつれられ解体場までやってきた。
このギルドはかなり過疎っていて特に作業が詰まっているわけでもなく、
ギルマスが割と自由に行動できるみたいだ。
「ここでいいぞ」
一気にだすか……
やっとアイテムボックスの肥やしを整理できるな……
魔物の素材……ほい (ドサドサドサドサ)
「……異空間収納ってすげぇな。今まで溜め込んでたのか。それにしても保存状態わりぃなぁ……もっと丁寧にやれや……。んー。それに全部は買い取れねぇよ……手持ちの資金がこんなにねぇわ。とりあえず一旦仕分けすっから手伝えよ」
そんなこといわれてもうちに解体のノウハウ持ってる子なんかいないんだもん……
今まで適当にアイテムボックスにつっこんでいたのでギルマスと一緒に整理した。
買い取れそうなものは
・オーガの角 × 42 ・・・ 金貨1枚
・狼の牙 × 127・・・ 銅貨5枚 ~ 銀貨1枚
・デュアルファングボアの牙 × 58 ・・・ 銀貨35枚
・デュアルファングボアの肉 × 数百キロ ・・・ 銅貨30枚
・オークの肉 × 数百キロ ・・・ 銅貨50枚
・オークキングの肉 × 50キロ程 ・・・ 銀貨3枚
(1本、1キロ単位)
あとは素材がダメになってしまっていたり剥ぎとり方が悪いので買い取れないとのことだ。
破棄しといてくれるって。
「オークがこんなにあるなら睾丸はどうした?肉ばっかじゃねぇか。火炎狼も発火器官とかあったろ?そこが高いんだが……。狼は牙はあんま値はつかねぇからなぁ。」
「睾丸はちょっと……あまりさわりたくなかったので……」
そうだそうだ!そんなもんない!
なんで〇玉わざわざ剥ぎとって保管しとかないとならんのだ。
あとどこがどの部位とかわかんないし内臓系も一律捨ててた。
「そういうことやるのが冒険者なんだがな……。まぁそんな便利能力あるなら今度からはこっちでやるから丸ごともってこいよ。で、お前ら魔の森で特訓してたんだったか?それにしてはデカい魔物いないのな。もっととんでもねぇかと思ったわ。あんま中央の方にはいかなかったのか?」
『あぁ、迷うからな。あんま奥地まではいかなかったんだよ』
中心部の方に強いやつがいたのか……。なるほど……。
通りで大したことないと思った。
「まぁそれでもこのあたりじゃお目にかかれない素材ばかりだ。それにこれでも今全部買い取るのは無理だな。ここにそんな資金ねぇからな。これから本部と掛け合って回してもらうわ」
いきなり持ってきてもそりゃそうか………
取りあえずいきなり持ってきたので半端はギルドの取り分にしてくれと伝え
狼の牙(細かくて邪魔)とボアの牙8本、オーガの角2本を買い取ってもらってキリのいい本数を残すことにした。ギルド的にもこれが今は限度とのことだ。
肉は売らない。食べる。
金貨5枚と銀貨20枚。520万円だ……やば……。
「で、だ。お前らこれからランクがっつりあげてくならもう職員には強いことは言っとくぞ。買取も普通に出せるようにしておく。能力のことは社外秘ってことはしっかり伝えておくさ。なんかデカい依頼とか受付で対応できんことも俺に回せって言っておく。それでいいか?」
『あぁ、それで大丈夫だ。助かる』
「ありがとうございます」
≪ありがと~?≫
これは助かるな。この世界の人は魔物の資材とかどうしてんだ?
必要な部分だけ切り取って持って帰るのかな……
「で、今回のこの買取に関してはギルドの依頼は関係ねぇから評価にはのせらんねぇ。この素材が必要な依頼もでてないからな。まさかこのギルドにこんな素材入ってくるとだれも思ってねぇから。ただ、戦力に関しての評価が伸び悩んだり困ったりはすることねぇと思うからこれは別にどうでもいいだろ」
『構わないぞ。素材の整理と資金が潤沢になっただけで助かった』
「で、これは提案なんだが、お前ら明日から行商の護衛行って来いよ」
護衛……?
「行商人を魔物や盗賊から護衛する依頼だな。今朝ちょうど依頼の申し込みがあったから取っておいた。どうせお前らはランク上げることになるとおもってな。これ達成できて帰ってきたらDランクに上げてやる。Dランク昇格には護衛実績が要るもんでな。実は上位ランクの試験官と戦闘テストもいるんだが……もう俺と模擬戦したからいいわ。てか俺の一存で決められるBランクまで戦闘試験はずっといらん」
「私は大丈夫ですよ?」
≪クラムも~≫
え、いいけど宿は……?
-------
(ガタゴト…)
「のどかですねぇ……」
町から1日荷馬車で離れたところからは草原が広がっていた。
今僕たちは荷馬車で2日かかる隣町へポートル商会の護衛中。
宿はもうそのまま部屋を取っておいてもらった。
昨日の朝出発、一日のんびり移動して、夕方ごろ適当に野宿して今日の朝また出発。
そして今。
昨日の夜は行商人さんから干し肉と黒パンを分けてもらった。
初めての冒険者食にうっきうきだったがまずかった。
しょっぺえ……食えないよこんなもん……
多分塩分補給や保存のためにこの塩分量が必要なんだろう。
イカの塩辛くらいしょっぱい………
≪これまずい~!クラムがお肉やく~!≫
『我慢してクラム!僕らがつくったらバレちゃうから!』
クラムが怒っていた。
クラムは割と食に厳しい子に育ってしまった。
エステルが商人さんにお肉を分けてあげて焼いてもらった。
一緒に食べてテントを張った。
商人さんはテントの作りに興味津々だった。
それほとんどクラムがつくったんだけどね。
こちらではマントを適当にかぶって寝ることが一般的らしい。
寝袋すらあまり持たないそう。
荷物は出来る限り減らす思考みたいだ。
まぁアイテムバッグとかないとそうなるよね……。
見張りは僕がやりエステルとクラムには寝てもらった。
ポートル商会はあの港町でとれる海産物や塩を隣町に運んでいくんだって。
その代わり麦やトウモロコシのようなの穀物類を仕入れて帰ってくるそうだ。
麦とトウモロコシゲットだぜ。
穀物ゲットはとてもうれしい。
これからは重要な食糧などは率先して保管していきたいと思う。
とりあえず農業がしたいのだ。
そういえば獣人の町にきてから町の様子などに特に触れていなかった。
ポートルの町は石で基盤がつくられ木の壁が張られた簡素な家ばかりだ。
地面に石が埋め込んである石畳の道で港町特有のさびれた感じがある。
潮のせいかな?
泊っている宿は上に藁を編んだマットレスの様なものが引いてある木でできた簡素なベッドに机と燭台。荷物を入れる籠のみのシンプルな部屋の作りになっている。
エステルの家にあった藁に大胆にシーツ乗せただけのベットの方がふかふかで気持ちよさそうだった。
トイレはあれ。ボットンするやつ。穴掘って木の淵があるだけ。
なぜ今まで僕がここに触れてこなかったかというと……
僕スライムだから!!つかわないから!!
スライムの体は排泄などは行わなくてもいい。
すべて消化されてしまうのだろうか?今まで催したことがない。
あと適当にその辺の床で寝ている。
起きたらエステルのベットの中にクラム共々入れられているのだが。
ということで理想の引きこもり生活に向かっていろいろ計画を立てていきたいのだが……
人間的な住宅の使用感とかがわからんのです……
この商人さんはとても優しくて警戒さえしてくれれば荷台にのっていてもいいと言ってくれている。
なので今は馬車の荷台に3人で座っている。
きっとこの荷台の乗り心地も悪いんだろう。
エステルは野生っ子なので気にしていないが。
でもそれもわからんのです。人の体じゃないんで……
で、まずは農業しよっかなと。
僕ご飯くらいしか実感できることないの……
家作っていってもいいけどね。
僕家作れないから大工さん探して家作ってもらおうかな?
アイテムボックス広げて家そのまま入れとくのもありか?
魔道具とかも見に行ってみようか。どんなのなんだろ?
完全究極引きこもり生活には実は何が必要なのか僕もよくわかっていない。
目標を立てたものボワっとしている。
だって生活してみないと何が必要かなんてわからないから……
だから引きこもりの予行演習をしようと決めた。
家建てて土地つくって農業して……土地はもう僕の中で決定している。
あそこしかない。絶対ない。
そしてその土地に向かう為の準備を今移動中にしているのだ。
『むむむむむむ』
”ロックオン”……きたッ!今だ!”ファイア” ッ!(ボッ)
…… ミッションコンプリート。
≪お~!パパすごーい!てきたおしたー!≫
何してるのか意味わかんないでしょ?
今空間感知で敵を感知して見えないところから魔法で敵を倒す練習してるの。
座標を感知でロックオンして打ってる感じ。
打つのは別にファイアでもアイスでもストーンでもなんでもいいんだけど……
やっぱファイアが雰囲気出るじゃん。ロックオン……アイス!ってなんか違くない?
僕ら敵を空間感知で捕捉してるからよく考えたらこれできるなって思ったんだよね。
で、なんでこんなことしてるかっていうと……
僕さ、アイテムボックス開いたときに空間に穴開けたんだよ。
ソフィア様はそれは加護の力だし僕らの文明ではどこかわからない異次元空間に穴をつなげることなんかできないっていってたじゃん?認識できないからって。
でも、見たんだよ。実際。空間に穴が開くところ。
じゃあ、認識できればできる?
ここじゃないどこか。じゃなくてさ。
この世界のあそこ。だったらどうなの?
空間転移できない?ね?
それで今まずは座標指定をしっかりできるようになるところからかな?
って空間感知して魔法を打ってるって感じ。
これができるようになったら小さいものをテレポートさせる魔法の練習したい。
で、これやってたら空間魔法のレベル上がったの!
今までほんと何していいかわからなかったのに!
瞬間移動じゃなくて空間転移になるかな?
空間転移できるようになったら僕好きなところに家作って活動できるじゃんか!
でもねぇ……
「せっかく護衛やとったのに全然魔物出てこねぇなぁ……まぁええんだけんど……」
いいえ、会長さん。僕が見えない所から狙撃しているのです。
あんまり敵出なさすぎるのも問題なのかなぁ……
いい塩梅って難しいな……
「クロムさん……ちょっと控えていただいた方が……」
やっぱり?こう見えても超がんばってんだけんどね……
あ、訛りがうつった。
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そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
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