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92話 - 責任
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あ~ねむ。
別に睡眠必要ないんだけど……
余計なことに体力つかったからすごい眠い気がする……
あれからキャンプ地に帰ってエステルとクラムにちみっと内容伝えた後、いい時間だったので片付けして門のそばでみんなが出てくるのを待っている。
「はぁ~あ。眠いですねぇ……」
『クラムも~…』
クラムはだいたい寝てるじゃんか……。
すると、割とすぐ護衛メンバ―と商人さんが門から出てきた。
「おっす~!エステルちゃん野宿したらしーな?」
朝から元気だなアランさんは……
「朝ギルド職員から言伝をもらって驚きましたよ。街は合いませんでしたか?」
「えぇ。少し厄介ごとに巻き込まれまして……」
みんなにもやんわり昨日の事を伝えた。
夜中襲われたとか言ってないよ?
奴隷商の前で起きた話だけね。
「それは……災難だったな……」とノルドさん。
「エステルちゃんかわいいからねぇ……」とサラさん。
「碌な事をしないですねあの子爵は……。ただ一部界隈ではスライムは大変人気がありますから少し気を付けられた方がいいかもしれませんね。それはそれとして……申し訳ない事をしました。あの街によって先に買い手がついている素材を渡してこないといけなかったものですから……」と商人さん。
あぁ。やっぱり。スライムって愛玩動物みたいな感じなんだな。
自分で言うのもなんだけどかわいいもん。
よくスライム倒して初期のレベル上げするゲームあるけど……
実際見てみるとこいつ倒そうと絶対思わないな……無害極めてるよ。
地球にいたら愛玩動物ランキングナンバーワンだと思う。
何でも食べるし大人しいし排泄しないし……可愛い上に手間0なんだよね。
小学生でも飼えると思うよ?
ってしょうもないこと考えてたらアランさんが……
「あぁ、そういやエステルちゃんとは関係ねぇ話だが、昨日領主の邸宅でボヤ騒ぎがあったらしいぞ?貴族街中が早朝から大騒ぎになってたらしいわ。すごい音がしてなんか爆発したらしいぞ。周辺の住民も飛び起きたらしいな。」
「そうだったんですか。大変ですねぇ」
じとー……
エステルからの冷たい目線が……
『なによ……』
『クロムさんですよね?聞いてませんよ?』
『いや!僕じゃないし!……とか言ってもね。そうです。あれからロズウェル……裏稼業のやつつけて子爵宅行ったんだけどエステルから手を引けって言ってるのに反省してなかったんだよね。だからちょっとだけ脅そうと屋敷爆破しといた……』
『ちょっとだけで貴族街中騒ぎになりますかねぇ……』
『ほんとにちょっとだけだもん……でも人には被害だしてないよ!』
ほんとだもん……あの魔法のポテンシャル考えると本当にちょっとだもん………
手加減しなかったらこの街消えてなくなるもん……
『あたらしいまほう~?クラムもできる~?』
『あの魔法はかな~り難しいこと覚えないと使えないかもな~ぁ?』
『そっか~。おべんきょしたらおしえてね~?』
『おべんきょ頑張らないとなぁ~?あはははははは』
クラムさんに教えるとぜーったいマズい系統だ。
全力でごまかそう……
『あとあいつ他にもいろいろやってるらしいしな。これで少し引きこもってくれればいいと思ったんだよ。ただ……あぁいうやつは懲りないだろうけどな。ひとまず僕らには手は出してこないと思うぞ』
たぶんね……
『クロムさんがいいと思ったなら私はそれでいいです。でもクロムさんが危ないことはしないでくださいね?心配ですから……』
『わかった。肝に銘じておくよ。ありがとう』
ノワールって名前の件は伏せておこう。
行動全部秘密で動く!とか後ろめたいことするつもりはないけどね。
自分の身内に後ろめたい事して生きていきたくないし。
ただ関係性は全くないように名前を走らせるほうがいいと思う。
知ってるとボロ出ちゃうだろうし、ただそれだけの為ね。
「さて、では出発しましょうか。とても順調なのであと2日もかからないと思います。このペースなら明日の昼過ぎには王都に到着するでしょうかね?エステルさんには申し訳ないことをしましたし、少し素材を渡して荷馬車が空いたので隙間でよければ仮眠を取りますか?他の皆さんもよろしいです?」
「おう、護衛は俺らで充分だ。少しの間寝てるといいぞ」
「うん、なにかあれば起こすからね?気にしないで」
「守りは任せとけよ!スライムも休め。ってかスライムって寝るのか?」
「あははは。ではお言葉に甘えて、少しだけ仮眠を取らせていただきます」
お言葉に甘えて2、3時間眠らせてもらおう……
はぁ……すごいいいメンバーだし……勉強にもなったし。
本当にあの領主さえ居なかったらすごい平和な旅路だったのになぁ……。
・
・
・
その日も特に何事もなく、本当に全く起こされずに昼過ぎまで寝かせてもらった。
エステルもクラムもぐっすりだった。
あんなことあったら気張っちゃうし疲れるよね……お疲れさまだ。
で、最終日……
今朝8時くらい。あと数時間で王都に到着するそうだ。
なのに……前から変な荷馬車がやってきた。
御者がかなり体を覆いつくす服装をしている小型の馬車だ。
僕らが護衛している商人の荷馬車より小さいくらい。
この荷馬車は中型くらいのサイズだそうだが……
なのに、あの小型の荷馬車に2、30くらいの弱い気配が押し込められているんだ。
『あれは……なんでしょうか……』
『気付いたか?この気配……かなり弱弱しい。魔力も感じるが……これは魔物じゃないな』
これは……十中八九獣人だろう……しかも弱っている人か子供達。
『ちょっと聞いてみますね』
と、エステルが事情を話し商人さんに小声で訪ねた。
「おそらく奴隷商でしょうか。この方面だとクルードの街に奴隷を運んでいるんだと思いますが……」
「中の者はかなり弱っている気配がしていて……」
ちなみにこの世界で魔力が感知できることは特に秘密にする必要はないようだ。
優れた狩人や冒険者にはできるものはいるらしい。
ギルマスも魔力感知持ってたしな。アランさんも持っている。
「あぁ、あまりいい気配感じねぇ……ただ俺には詳しくはよくわからねぇなぁ。気配ごまかす魔道具とかつかってるんじゃないか?」
ほう?そんな魔道具あるのか……。
気配遮断する用のやつ?
魔石に魔法を封じ込めればその効果のある魔石がつくれるって話だったからな。
気配薄くする人間の魔法が多分あるのかな……?
じゃあ尚の事怪しいだけじゃん。
「ダークハイドって闇魔法があるよ。使えるものは少ないけど……その魔石だろうね。でもそういった特殊な魔石には販売許可が必要なはずだよ。普通の店で購入できるもんじゃないさ。あと魔力を強制的に抑えつける首輪とかもあると聞いたことはあるね」
あったな。その道具使ってるとしたらもう完全に黒だろ。
ただ僕らの目がごまかせる程有能ではないんだな。
ちなみにアランさんは魔力感知LV3だ。
「なるほど……。皆さんあまり目を合わせない方がいいと思います。しっ!」
無言で怪しい荷馬車とすれ違った。
しばらくして姿が見えなくなってから商人さんが口を開いた。
「おそらく……、何かしらで強引に捕えた者を送っているんだと思います。この方面は王都から来ているので他の地域とも繋がっているのですよ……。ずっと先には人間との紛争地域などもありますので……。奴隷商には奴隷の健康を管理する義務があるので弱ったまま奴隷を運ぶことはまともな奴隷商なら考えにくいですね。この道を通ったのなら王都で治療をしてからにするでしょう。あと、違法奴隷を防ぐために奴隷商の馬車には専用の刻印がしてあるのですよ。確認しましたがそれもなかったようです。奴隷か……人身売買か……とりあえずあまり関わりにならない方がよろしいと思いますよ」
「ちっ……くだらねぇことするよな……全く……」
「でも……私達にはどうすることもできないもんね……」
「とりあえずこういう馬車を見たということは私が商人ギルドに伝えておきますよ。ただ……あのようなものはなかなか足がつかないようにしているので捕えるのは難しいかもしれませんが……」
「はい、宜しくお願いします。すみません……」
とりあえず商人さんがギルドには伝えてくれるそうだが……
そうだな。逃げられるようにいろいろ手を売ってはいるよな。
『あの子爵でしょうか……?』
『クラムのおようふくバカにしたやつ~?』
『そうだろうな。まだ確実ではないが偶然にしては出来すぎているな』
昨日の裏稼業のやつがクルードは違法奴隷を囲っているって言ってた。
気に入った奴は購入して、あとは知り合いの闇商人に流しているだのなんだのってことも言ってたな。
ドンピシャすぎるだろ。偶然にしては出来すぎているな……
『どうしましょう……』
『どうしましょうって?もし違法奴隷だったら助けたいってことか?』
『はい……私のわがままで……すみません……。私1人だけでも助けに行ければ……』
『いやいや!なんでエステル1人に行かせんの!謝らなくていいよ。気持ちはわかる……』
『エステルたすけるよ~?』
『ありがとう。ごめんねクラムちゃん』
『でも助けるってどうやって助けるつもり?』
『……わかりません』
『だよなぁ……』
うーん……。
いや、言わんとしてることはわかるよ。
僕も昨日話聞いてる時にすごい腹立ったし。
ただ……
『とりあえずこの場であの馬車つぶしにいっても商人さんたちに迷惑がかかるだけだ。巻き込んでしまうだろう?あと数時間で王都には着く。依頼を終えて、それから考えよう。例えば助けてあげるとしても、僕らなら引き返してもクルードの街に到着する前には追いつけるだろ?あの中の人が例えば奴隷でも売買目的でもこれ以上傷つけられはしないはずだ。助けたいなら尚更焦っちゃダメだ。』
『そうですね!わかりました!』
助ける……なぁ。
エステルが不法に囚われている者をよく思わないことは知ってる。
僕らの名前の剣に願ってたくらいだからね。
僕もいけ好かないやつの思い通りにさせるのは気に入らないさ。
だから助けたいと思うのはいいんだよ。
そういうところがエステルのいいところだし。
そこから王都に到着するまでひたすら考えた……。
到着前に馬車を狙うとして……囚われてる獣人を逃がすことはできるよ?
でもその後どうすんのよ……住むところもお金も……食事すらとれないでしょそんな状況で……
その場でじゃあね!とも出来ないよね。さすがにあの人数抱えて動けないよ?
で、そもそもあの屋敷に違法奴隷大量にいるんでしょ?
それならいっそもう乗り込んで全員助けるべきでしょ、ともなってくるし。
なんであの馬車の獣人だけ?ってなるよね。それはなんか中途半端で僕が嫌だわ。
でもまた助けても同じことの繰り返しでしょ?
違法奴隷はきっとまた運ばれてくるしね。じゃあ今後ずっとそれやるのって話だよね。
逃がしてもまた追手が付いてしまったら……
僕ら定住してるわけじゃないし匿えないしなぁ。
僕の力あれば屋敷ぶっ潰して奴隷を逃がすことは可能だよ?
でもその後の奴隷の生活の責任とか持てないって……
あの子爵をいっそ……とかできるけどさ。
エステル狙ったし殺すのに全然抵抗はないよ?
ただ、その後の領民の暮らしとかの責任とか絶対持てん……
それでどういう影響が出てくるかなんか元小市民の僕にはわからんよ?
あー!考えることが多すぎる!
助けるって具体的にどこまでだ?!
どこまで責任持てばいいんだ……
時間はあっという間に過ぎ去り……
王都に到着してしまった。
別に睡眠必要ないんだけど……
余計なことに体力つかったからすごい眠い気がする……
あれからキャンプ地に帰ってエステルとクラムにちみっと内容伝えた後、いい時間だったので片付けして門のそばでみんなが出てくるのを待っている。
「はぁ~あ。眠いですねぇ……」
『クラムも~…』
クラムはだいたい寝てるじゃんか……。
すると、割とすぐ護衛メンバ―と商人さんが門から出てきた。
「おっす~!エステルちゃん野宿したらしーな?」
朝から元気だなアランさんは……
「朝ギルド職員から言伝をもらって驚きましたよ。街は合いませんでしたか?」
「えぇ。少し厄介ごとに巻き込まれまして……」
みんなにもやんわり昨日の事を伝えた。
夜中襲われたとか言ってないよ?
奴隷商の前で起きた話だけね。
「それは……災難だったな……」とノルドさん。
「エステルちゃんかわいいからねぇ……」とサラさん。
「碌な事をしないですねあの子爵は……。ただ一部界隈ではスライムは大変人気がありますから少し気を付けられた方がいいかもしれませんね。それはそれとして……申し訳ない事をしました。あの街によって先に買い手がついている素材を渡してこないといけなかったものですから……」と商人さん。
あぁ。やっぱり。スライムって愛玩動物みたいな感じなんだな。
自分で言うのもなんだけどかわいいもん。
よくスライム倒して初期のレベル上げするゲームあるけど……
実際見てみるとこいつ倒そうと絶対思わないな……無害極めてるよ。
地球にいたら愛玩動物ランキングナンバーワンだと思う。
何でも食べるし大人しいし排泄しないし……可愛い上に手間0なんだよね。
小学生でも飼えると思うよ?
ってしょうもないこと考えてたらアランさんが……
「あぁ、そういやエステルちゃんとは関係ねぇ話だが、昨日領主の邸宅でボヤ騒ぎがあったらしいぞ?貴族街中が早朝から大騒ぎになってたらしいわ。すごい音がしてなんか爆発したらしいぞ。周辺の住民も飛び起きたらしいな。」
「そうだったんですか。大変ですねぇ」
じとー……
エステルからの冷たい目線が……
『なによ……』
『クロムさんですよね?聞いてませんよ?』
『いや!僕じゃないし!……とか言ってもね。そうです。あれからロズウェル……裏稼業のやつつけて子爵宅行ったんだけどエステルから手を引けって言ってるのに反省してなかったんだよね。だからちょっとだけ脅そうと屋敷爆破しといた……』
『ちょっとだけで貴族街中騒ぎになりますかねぇ……』
『ほんとにちょっとだけだもん……でも人には被害だしてないよ!』
ほんとだもん……あの魔法のポテンシャル考えると本当にちょっとだもん………
手加減しなかったらこの街消えてなくなるもん……
『あたらしいまほう~?クラムもできる~?』
『あの魔法はかな~り難しいこと覚えないと使えないかもな~ぁ?』
『そっか~。おべんきょしたらおしえてね~?』
『おべんきょ頑張らないとなぁ~?あはははははは』
クラムさんに教えるとぜーったいマズい系統だ。
全力でごまかそう……
『あとあいつ他にもいろいろやってるらしいしな。これで少し引きこもってくれればいいと思ったんだよ。ただ……あぁいうやつは懲りないだろうけどな。ひとまず僕らには手は出してこないと思うぞ』
たぶんね……
『クロムさんがいいと思ったなら私はそれでいいです。でもクロムさんが危ないことはしないでくださいね?心配ですから……』
『わかった。肝に銘じておくよ。ありがとう』
ノワールって名前の件は伏せておこう。
行動全部秘密で動く!とか後ろめたいことするつもりはないけどね。
自分の身内に後ろめたい事して生きていきたくないし。
ただ関係性は全くないように名前を走らせるほうがいいと思う。
知ってるとボロ出ちゃうだろうし、ただそれだけの為ね。
「さて、では出発しましょうか。とても順調なのであと2日もかからないと思います。このペースなら明日の昼過ぎには王都に到着するでしょうかね?エステルさんには申し訳ないことをしましたし、少し素材を渡して荷馬車が空いたので隙間でよければ仮眠を取りますか?他の皆さんもよろしいです?」
「おう、護衛は俺らで充分だ。少しの間寝てるといいぞ」
「うん、なにかあれば起こすからね?気にしないで」
「守りは任せとけよ!スライムも休め。ってかスライムって寝るのか?」
「あははは。ではお言葉に甘えて、少しだけ仮眠を取らせていただきます」
お言葉に甘えて2、3時間眠らせてもらおう……
はぁ……すごいいいメンバーだし……勉強にもなったし。
本当にあの領主さえ居なかったらすごい平和な旅路だったのになぁ……。
・
・
・
その日も特に何事もなく、本当に全く起こされずに昼過ぎまで寝かせてもらった。
エステルもクラムもぐっすりだった。
あんなことあったら気張っちゃうし疲れるよね……お疲れさまだ。
で、最終日……
今朝8時くらい。あと数時間で王都に到着するそうだ。
なのに……前から変な荷馬車がやってきた。
御者がかなり体を覆いつくす服装をしている小型の馬車だ。
僕らが護衛している商人の荷馬車より小さいくらい。
この荷馬車は中型くらいのサイズだそうだが……
なのに、あの小型の荷馬車に2、30くらいの弱い気配が押し込められているんだ。
『あれは……なんでしょうか……』
『気付いたか?この気配……かなり弱弱しい。魔力も感じるが……これは魔物じゃないな』
これは……十中八九獣人だろう……しかも弱っている人か子供達。
『ちょっと聞いてみますね』
と、エステルが事情を話し商人さんに小声で訪ねた。
「おそらく奴隷商でしょうか。この方面だとクルードの街に奴隷を運んでいるんだと思いますが……」
「中の者はかなり弱っている気配がしていて……」
ちなみにこの世界で魔力が感知できることは特に秘密にする必要はないようだ。
優れた狩人や冒険者にはできるものはいるらしい。
ギルマスも魔力感知持ってたしな。アランさんも持っている。
「あぁ、あまりいい気配感じねぇ……ただ俺には詳しくはよくわからねぇなぁ。気配ごまかす魔道具とかつかってるんじゃないか?」
ほう?そんな魔道具あるのか……。
気配遮断する用のやつ?
魔石に魔法を封じ込めればその効果のある魔石がつくれるって話だったからな。
気配薄くする人間の魔法が多分あるのかな……?
じゃあ尚の事怪しいだけじゃん。
「ダークハイドって闇魔法があるよ。使えるものは少ないけど……その魔石だろうね。でもそういった特殊な魔石には販売許可が必要なはずだよ。普通の店で購入できるもんじゃないさ。あと魔力を強制的に抑えつける首輪とかもあると聞いたことはあるね」
あったな。その道具使ってるとしたらもう完全に黒だろ。
ただ僕らの目がごまかせる程有能ではないんだな。
ちなみにアランさんは魔力感知LV3だ。
「なるほど……。皆さんあまり目を合わせない方がいいと思います。しっ!」
無言で怪しい荷馬車とすれ違った。
しばらくして姿が見えなくなってから商人さんが口を開いた。
「おそらく……、何かしらで強引に捕えた者を送っているんだと思います。この方面は王都から来ているので他の地域とも繋がっているのですよ……。ずっと先には人間との紛争地域などもありますので……。奴隷商には奴隷の健康を管理する義務があるので弱ったまま奴隷を運ぶことはまともな奴隷商なら考えにくいですね。この道を通ったのなら王都で治療をしてからにするでしょう。あと、違法奴隷を防ぐために奴隷商の馬車には専用の刻印がしてあるのですよ。確認しましたがそれもなかったようです。奴隷か……人身売買か……とりあえずあまり関わりにならない方がよろしいと思いますよ」
「ちっ……くだらねぇことするよな……全く……」
「でも……私達にはどうすることもできないもんね……」
「とりあえずこういう馬車を見たということは私が商人ギルドに伝えておきますよ。ただ……あのようなものはなかなか足がつかないようにしているので捕えるのは難しいかもしれませんが……」
「はい、宜しくお願いします。すみません……」
とりあえず商人さんがギルドには伝えてくれるそうだが……
そうだな。逃げられるようにいろいろ手を売ってはいるよな。
『あの子爵でしょうか……?』
『クラムのおようふくバカにしたやつ~?』
『そうだろうな。まだ確実ではないが偶然にしては出来すぎているな』
昨日の裏稼業のやつがクルードは違法奴隷を囲っているって言ってた。
気に入った奴は購入して、あとは知り合いの闇商人に流しているだのなんだのってことも言ってたな。
ドンピシャすぎるだろ。偶然にしては出来すぎているな……
『どうしましょう……』
『どうしましょうって?もし違法奴隷だったら助けたいってことか?』
『はい……私のわがままで……すみません……。私1人だけでも助けに行ければ……』
『いやいや!なんでエステル1人に行かせんの!謝らなくていいよ。気持ちはわかる……』
『エステルたすけるよ~?』
『ありがとう。ごめんねクラムちゃん』
『でも助けるってどうやって助けるつもり?』
『……わかりません』
『だよなぁ……』
うーん……。
いや、言わんとしてることはわかるよ。
僕も昨日話聞いてる時にすごい腹立ったし。
ただ……
『とりあえずこの場であの馬車つぶしにいっても商人さんたちに迷惑がかかるだけだ。巻き込んでしまうだろう?あと数時間で王都には着く。依頼を終えて、それから考えよう。例えば助けてあげるとしても、僕らなら引き返してもクルードの街に到着する前には追いつけるだろ?あの中の人が例えば奴隷でも売買目的でもこれ以上傷つけられはしないはずだ。助けたいなら尚更焦っちゃダメだ。』
『そうですね!わかりました!』
助ける……なぁ。
エステルが不法に囚われている者をよく思わないことは知ってる。
僕らの名前の剣に願ってたくらいだからね。
僕もいけ好かないやつの思い通りにさせるのは気に入らないさ。
だから助けたいと思うのはいいんだよ。
そういうところがエステルのいいところだし。
そこから王都に到着するまでひたすら考えた……。
到着前に馬車を狙うとして……囚われてる獣人を逃がすことはできるよ?
でもその後どうすんのよ……住むところもお金も……食事すらとれないでしょそんな状況で……
その場でじゃあね!とも出来ないよね。さすがにあの人数抱えて動けないよ?
で、そもそもあの屋敷に違法奴隷大量にいるんでしょ?
それならいっそもう乗り込んで全員助けるべきでしょ、ともなってくるし。
なんであの馬車の獣人だけ?ってなるよね。それはなんか中途半端で僕が嫌だわ。
でもまた助けても同じことの繰り返しでしょ?
違法奴隷はきっとまた運ばれてくるしね。じゃあ今後ずっとそれやるのって話だよね。
逃がしてもまた追手が付いてしまったら……
僕ら定住してるわけじゃないし匿えないしなぁ。
僕の力あれば屋敷ぶっ潰して奴隷を逃がすことは可能だよ?
でもその後の奴隷の生活の責任とか持てないって……
あの子爵をいっそ……とかできるけどさ。
エステル狙ったし殺すのに全然抵抗はないよ?
ただ、その後の領民の暮らしとかの責任とか絶対持てん……
それでどういう影響が出てくるかなんか元小市民の僕にはわからんよ?
あー!考えることが多すぎる!
助けるって具体的にどこまでだ?!
どこまで責任持てばいいんだ……
時間はあっという間に過ぎ去り……
王都に到着してしまった。
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ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
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田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
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