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94話 - カウントダウン
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王都から飛び出て30分……
相談しながら走ってたのにもう追いついてしまった。
特に何も変わらずゆったりしたスピードでクルードの街方面に荷馬車は進んでいる。
今僕達って余裕で時速100kmとか超えちゃう。
300とか行くかも……
普通の徒歩のスピードの時速5~10km程度で1週間程度の距離。
まぁ多く見積もって500kmとかなら半日もかからないんだよね。
今護衛でのんびり1週間かけて王都まで来た道のりも数時間で帰れるよ。
半年かけて魔の森ぐるっと回ったのはエステルの訓練の為で訓練無視の全力疾走だったら縦断に1週間かからないくらいだと思う。
今は夕暮れ。そろそろあの馬車も止まるだろう。
僕達がすぐに追いつくことは分かっていたので少し王都のリサーチをしてからここに来た。
主に孤児院だ。
もし身寄りのない子供が奴隷や囚われた獣人の中にいたらそこに預けられる可能性が高いだろう。
不安なところに預けられないからね。
事前確認は大切だ。
商人さんに街の北側に協会があり孤児院はそこに併設されていると聞いた。
ちなみに王都の孤児院の運営をしているのは現在は教会ではなく王族が直接行っているようだ。
孤児にも目をかけている王ってことだな。尚のこと安心した。
しばらく孤児院の状況を遠目にみていたが、経営は苦しそうで少しくたびれた建物ではあったけれど食べられていなさそうな程やせ細っている子はおらず、のびのびと育っていた。元気に外で遊んでいたな。
そういえば教会って一度も行っていないな。
神様にアドバイス……は多分してもらえないだろう。
好きにしなさい?って言われると思う。
『今日は気付かれないようにつけよう。で、明日あの馬車がクルードの街に入る前に行列に並んで先に街に入ろうか。あの馬車が入ってきたらビンゴ。入らなければまた外にでて追跡を始めればいい』
『おっけー』
「そうですね」
すると馬車が道から外れ、停止した。
今日はあそこで野宿をするようだ……
僕らも200m程離れた茂みに隠れた。
ここから望遠や聴力強化で見ておこう。
もちろんエステルももう覚えている。
このスキルはあんまり難しくないんだ。
望遠は魔力で角膜のレンズを強化して調整する感じ。
聴力強化は魔力で音の振動を増幅……え?
むずかしくないよね?僕らだけ?
………ま、そんなことはいいや。
『ほら、食え』
御者が馬から降りてきて2つの袋を荷馬車の幌(ほろ)、荷台にかぶせている布だ。
それをめくり中にいれた。
乱暴に投げ入れた為少し中身がこぼれた……
なんだ?生の腐りかけた芋……?あとは水袋…か……?
あれ……そのまま食わせるのか?腹壊すだろ絶対!
……少なからずまともな扱われ方をしていないことは既にもう把握した。
「あ!いま中が一瞬見えました!」
『あぁ……見えたな。予想通りだ……』
『ほとんどこどもだったね~?』
ちらっとしか見えなかったが目に映った10人程の中に大人は1人。
女性が乗っていただけであとはみんな5歳前後の子供だった……。
ボロボロの服とも言えない布切れを纏っていて皆薄汚れていた……
あと首輪を皆がつけていたな。
あれがサラさんが言っていた魔力を封じ込めるものか?
それとも奴隷の首輪?
『それにしても……奴隷の常識ってものがわからないんだがこれは人身売買の方が有力なのか……?あんなに小さい子供をこの世界では奴隷にするのか?』
「そういった趣味の方も中には……と本で読んだことはありますが……。ただ、どちらかというと孤児を取引している方が可能性としては高そうですね」
商人さんも王都の方面を超えると紛争地帯等もある、って言ってたしな。
あと裏稼業の奴から「戦争孤児を売買している」ともろにそのままの言葉で聞いているしな……
とりあえず……
『まだ先は長いんだ。今僕達にできることは監視しておくことだけだ。僕が起きているから二人は寝て力を蓄えておきな。僕は寝なくて平気だから』
「ダメです!そう言ってクロムさんはいつも寝ないんです。体が睡眠を欲してなくても精神的にはつかれますよ」
『うん~たまにはパパがさきにねて~?クラムとエステルがみてるから~』
……やさしいやつらめ……グス。
『じゃあお言葉に甘えて先に少しだけ寝させてもらうよ。ただ、今後の為に何かあっても絶対に飛び出しちゃダメだぞ?助けられなくなるかもしれないからな』
「何かあればクロムさんを起こして相談しますから。心配しないでください」
『そーだそーだ~』
夜が明けた。僕も結構気疲れしているようだ。
4時間くらいがっつり寝てしまった……
「おはようございます…はぁ~あ」
『おはようパパ~』
『ごめんな……起こしてくれればよかったのに……眠いだろ?あとから追いかけてくるか?』
「大丈夫ですよ!クロムさんもそれだけ疲れが溜まっていたんですよ。むしろ安心です」
『あ、うごきだしたよ~!』
『よし……じゃあここからはもう2、3時間の距離だろ?僕らは茂みを通って先回りしよう。街に入っておくんだ』
・
・
・
先回りして街に入っていた。
前みたいに通行手形もってないからな。
そして……あいつらも入ってきたな。
しかも例の商人用の通行門ですらなく裏稼業の奴が通った裏口から……
もう決定的じゃないか。
『よし……じゃあここからは潜んで取引の様子を見ていよう。クラムは大丈夫だな……エステルは……』
”フロート”ッ
『それに乗ってくれ』
『これに乗るんですか!?シールドじゃないですか!』
『だから安心だろ?』
『なにも安心じゃないです!怖いですよ!!下ほとんど透明なんですよ!?』
あ、怖いんだこれ。僕だけじゃないんだ。
まぁ地球でも高いところが無駄にガラスになってる怖がらせる仕様の建物あったよね。
シールドってガラスより透明度高いからね。魔力だから。
うっすら……あ、言われれば光屈折してるかなぁ?ん?
くらい透明だから。マジ怖いから!!
『それクラムもにがて~ふわふわする~もうやんない~』
クラムでも苦手なの!?飛べる事とこれに乗ることは違うんだ……
クラムの方がシールド得意だからもちろんクラムはやろうと思えばできる。
嫌だからやってなかったのね。飛べるからではなく……
じゃあ僕ずっと怖いじゃん……やっぱ別の魔法考えよ……
『精霊さんに飛ばせてもらうので……』
『だまらっしゃい!精霊魔法つかって飛んでも魔力大変だし風の音するでしょうが!葉っぱとか巻き上がったらどうすんの!クラムにぶら下がっても手がしびれるでしょ!僕と乗れば省エネなの!僕がダントツで魔力量多いから!ほれ!はよ!』
『はぁい……ふぇ……』
クラムは普通に浮遊で、僕とエステルは恐怖のフロート魔法で子爵邸の屋根まで上がっていく。
一旦屋根の上から見ていることにしよう。
『よいしょ。窓から中見てもらうときもずっと乗っててもらうからね!』
『こわかった……うぅ……』
あ、子爵が出てきた!隠れて!耳澄ませるよ!!
-----
「待っておったぞ。例のものはどうだ?」
「今回は紛争が長く続いた地域があったので大量ですねぇはい。」
おおよそ人を扱う会話じゃないな……
「女の方はどうだ?」
「今は薄汚れていますが綺麗にしていただければなかなかのものかと……」
「足はついていないだろうな?」
「はい。検問などもすり抜けられる道を用意しておりますので。万が一のことがあっても内部にも手の者は忍ばせております。抜かりはありません。ふふふ」
あー。もう国や街、国境の検問の内部にも裏稼業のやつが入り込んでんだな。
そいつらがいろいろごまかしてうまい事やってると。
何してるかわからんが……
ボイスレコーダーとかカメラとかビデオとかスマホとかあればなぁ……
これが一発で証拠になるのに……スマホ創造できんだろうか……
「ではこちらが今回の目録でございます」
「うむ。奴隷商はいつ来る?」
「はい、3日後には手配しております。その時にお気に召したものを隷属させていただければ……。あとの者は私がまた引き取りに参ります。」
え!?またすぐ連れ去るの!?
やばいなそれ……しかも……3日!?
3日経ったら助けられない者が出てきてしまうのか……
そうなったら連れ去られた獣人は最悪馬車を襲ってってことになるが……
あまり得策とは言えないな……
いや、まだ当日じゃなくて良かったと思おう。
考えるんだ……
「わかった。帰ってよいぞ。一度こちらで全て預かろう。おい、こいつらを地下牢へ連れていけ」
「は。」
地下牢……?
すると私兵と思われるものが荷馬車を引いて屋敷の裏手に回っていった……
屋敷の中じゃないのか……?
あ、目録を持った子爵と囚われた獣人が分かれた!
『クラム!あの荷馬車の獣人がどこへ連れていかれるか見ていて!エステルは飛べないから補助!』
『は~い』
『わかりました!』
僕は子爵を追おう。
あの書類がどこに入れられるかを見ておかないと……
きっと他のいかがわしい書類もそこにまとめて……
ふむふむ……よし、特に寄り道せず前の僕が破壊した部屋……を通り過ぎた……
あ、あそこ使えなくなったんだな。
上層階の一番角部屋に入った。
”フロート”ッ!目につかないよう陰に隠れて……
「ふっふっふ。今回の女は楽しみだのぉ……。噂によれば町一番の美人が手に入ったらしいぞ?この日を楽しみにしておったのだ。だが、奴隷商の日程が合わず3日お預けか……。今連れてくると暴れおるからなぁ……それはそれで……」
誰ともいない。1人だ。1人でブツブツと……ゲスが。
あ、よし。手にさっきの目録はちゃんと持っているな……
「しかしあのノワールとかいう小童が……。危うく重要な書類が吹き飛ぶところであった。だがノワールとは……誰であろうか……農民崩れが恨みを買っているとか言っておったが……そんなもの知った事か。どれほど恨みを買っておると思っとるんだ!たった1人の小童のことなぞ知らぬわ!ふっはっは。」
あぁ……もう反省の余地なしだな。
遠くから運んできたんだったら時差もあるからな。
少しくらい……反省……いや怖がってくれててもいい。
クルードがこの取引を中止する方向で考えている可能性も考えなくはなかったんだが……。
まぁこういう奴が反省する心を持ち合わせているならそもそもこんな事に手を染めていないということだ。
心置きなくやれていいな。よし。
お……あれは……金庫か……?金属の箱がある……
魔法を……かざして……って、ええ!?空いた!!
中に資料とか領収書?とか……この時代のそういうのなんていうのかわからんがとりあえず紙がたくさん詰まってい……あ、閉められた。
なるほど……そういうタイプかぁ……ダイヤルとかじゃないのか……
盲点だ……。ロックとかのシステムあればよく見て控えて覚えてやろうと思ってたんだが……
ここ異世界だもんなぁー。多分魔力認証とかなんだろ!?
ギルドにもそんなシステムあるもんなぁ……
「よし……では3日後を楽しみにしているとしようか」(バタンッ)
と、クルードは部屋から出て行った。
うーん……
『パパ~みつけたよ~みんなはいっていった~』
『ん?どこ?』
『あれ~』
屋敷の裏手側に納屋のようなところがあり……
そのさらに裏手に荷物が色々おいてある。
その荷物に石で蓋をされた入り口が下敷きになっていた。
用意周到な……。
簡単に調べて出てくるところに地下牢を作ってはいない……ということか……
『あそこから獣人を地下にいれましたね。思っていたよりおおいです。32人いました。大人の女性が3人。子供は性別はバラバラです。でも女児の方が割合は多くいましたね。あと……白い小さな魔物が……』
『魔物!?大丈夫なのかそれ!?』
『危険はなさそうでした。女の子が抱きかかえていて一緒に入っていきました……。とてもかわいい……犬のような……猫のような……見世物小屋に売るのでしょうか……?』
『ふむ……まぁ一緒に助けるが……とりあえずなんでも高値で売れればいいってことなのか』
とりあえず……
期限は3日。その間に何とかしないとまた連れていかれてしまう。
問題は魔力認証式の金庫と……獣人は……どうするか……
あと他の奴隷もなんとかしないといけないよな……
時間が……ない……
相談しながら走ってたのにもう追いついてしまった。
特に何も変わらずゆったりしたスピードでクルードの街方面に荷馬車は進んでいる。
今僕達って余裕で時速100kmとか超えちゃう。
300とか行くかも……
普通の徒歩のスピードの時速5~10km程度で1週間程度の距離。
まぁ多く見積もって500kmとかなら半日もかからないんだよね。
今護衛でのんびり1週間かけて王都まで来た道のりも数時間で帰れるよ。
半年かけて魔の森ぐるっと回ったのはエステルの訓練の為で訓練無視の全力疾走だったら縦断に1週間かからないくらいだと思う。
今は夕暮れ。そろそろあの馬車も止まるだろう。
僕達がすぐに追いつくことは分かっていたので少し王都のリサーチをしてからここに来た。
主に孤児院だ。
もし身寄りのない子供が奴隷や囚われた獣人の中にいたらそこに預けられる可能性が高いだろう。
不安なところに預けられないからね。
事前確認は大切だ。
商人さんに街の北側に協会があり孤児院はそこに併設されていると聞いた。
ちなみに王都の孤児院の運営をしているのは現在は教会ではなく王族が直接行っているようだ。
孤児にも目をかけている王ってことだな。尚のこと安心した。
しばらく孤児院の状況を遠目にみていたが、経営は苦しそうで少しくたびれた建物ではあったけれど食べられていなさそうな程やせ細っている子はおらず、のびのびと育っていた。元気に外で遊んでいたな。
そういえば教会って一度も行っていないな。
神様にアドバイス……は多分してもらえないだろう。
好きにしなさい?って言われると思う。
『今日は気付かれないようにつけよう。で、明日あの馬車がクルードの街に入る前に行列に並んで先に街に入ろうか。あの馬車が入ってきたらビンゴ。入らなければまた外にでて追跡を始めればいい』
『おっけー』
「そうですね」
すると馬車が道から外れ、停止した。
今日はあそこで野宿をするようだ……
僕らも200m程離れた茂みに隠れた。
ここから望遠や聴力強化で見ておこう。
もちろんエステルももう覚えている。
このスキルはあんまり難しくないんだ。
望遠は魔力で角膜のレンズを強化して調整する感じ。
聴力強化は魔力で音の振動を増幅……え?
むずかしくないよね?僕らだけ?
………ま、そんなことはいいや。
『ほら、食え』
御者が馬から降りてきて2つの袋を荷馬車の幌(ほろ)、荷台にかぶせている布だ。
それをめくり中にいれた。
乱暴に投げ入れた為少し中身がこぼれた……
なんだ?生の腐りかけた芋……?あとは水袋…か……?
あれ……そのまま食わせるのか?腹壊すだろ絶対!
……少なからずまともな扱われ方をしていないことは既にもう把握した。
「あ!いま中が一瞬見えました!」
『あぁ……見えたな。予想通りだ……』
『ほとんどこどもだったね~?』
ちらっとしか見えなかったが目に映った10人程の中に大人は1人。
女性が乗っていただけであとはみんな5歳前後の子供だった……。
ボロボロの服とも言えない布切れを纏っていて皆薄汚れていた……
あと首輪を皆がつけていたな。
あれがサラさんが言っていた魔力を封じ込めるものか?
それとも奴隷の首輪?
『それにしても……奴隷の常識ってものがわからないんだがこれは人身売買の方が有力なのか……?あんなに小さい子供をこの世界では奴隷にするのか?』
「そういった趣味の方も中には……と本で読んだことはありますが……。ただ、どちらかというと孤児を取引している方が可能性としては高そうですね」
商人さんも王都の方面を超えると紛争地帯等もある、って言ってたしな。
あと裏稼業の奴から「戦争孤児を売買している」ともろにそのままの言葉で聞いているしな……
とりあえず……
『まだ先は長いんだ。今僕達にできることは監視しておくことだけだ。僕が起きているから二人は寝て力を蓄えておきな。僕は寝なくて平気だから』
「ダメです!そう言ってクロムさんはいつも寝ないんです。体が睡眠を欲してなくても精神的にはつかれますよ」
『うん~たまにはパパがさきにねて~?クラムとエステルがみてるから~』
……やさしいやつらめ……グス。
『じゃあお言葉に甘えて先に少しだけ寝させてもらうよ。ただ、今後の為に何かあっても絶対に飛び出しちゃダメだぞ?助けられなくなるかもしれないからな』
「何かあればクロムさんを起こして相談しますから。心配しないでください」
『そーだそーだ~』
夜が明けた。僕も結構気疲れしているようだ。
4時間くらいがっつり寝てしまった……
「おはようございます…はぁ~あ」
『おはようパパ~』
『ごめんな……起こしてくれればよかったのに……眠いだろ?あとから追いかけてくるか?』
「大丈夫ですよ!クロムさんもそれだけ疲れが溜まっていたんですよ。むしろ安心です」
『あ、うごきだしたよ~!』
『よし……じゃあここからはもう2、3時間の距離だろ?僕らは茂みを通って先回りしよう。街に入っておくんだ』
・
・
・
先回りして街に入っていた。
前みたいに通行手形もってないからな。
そして……あいつらも入ってきたな。
しかも例の商人用の通行門ですらなく裏稼業の奴が通った裏口から……
もう決定的じゃないか。
『よし……じゃあここからは潜んで取引の様子を見ていよう。クラムは大丈夫だな……エステルは……』
”フロート”ッ
『それに乗ってくれ』
『これに乗るんですか!?シールドじゃないですか!』
『だから安心だろ?』
『なにも安心じゃないです!怖いですよ!!下ほとんど透明なんですよ!?』
あ、怖いんだこれ。僕だけじゃないんだ。
まぁ地球でも高いところが無駄にガラスになってる怖がらせる仕様の建物あったよね。
シールドってガラスより透明度高いからね。魔力だから。
うっすら……あ、言われれば光屈折してるかなぁ?ん?
くらい透明だから。マジ怖いから!!
『それクラムもにがて~ふわふわする~もうやんない~』
クラムでも苦手なの!?飛べる事とこれに乗ることは違うんだ……
クラムの方がシールド得意だからもちろんクラムはやろうと思えばできる。
嫌だからやってなかったのね。飛べるからではなく……
じゃあ僕ずっと怖いじゃん……やっぱ別の魔法考えよ……
『精霊さんに飛ばせてもらうので……』
『だまらっしゃい!精霊魔法つかって飛んでも魔力大変だし風の音するでしょうが!葉っぱとか巻き上がったらどうすんの!クラムにぶら下がっても手がしびれるでしょ!僕と乗れば省エネなの!僕がダントツで魔力量多いから!ほれ!はよ!』
『はぁい……ふぇ……』
クラムは普通に浮遊で、僕とエステルは恐怖のフロート魔法で子爵邸の屋根まで上がっていく。
一旦屋根の上から見ていることにしよう。
『よいしょ。窓から中見てもらうときもずっと乗っててもらうからね!』
『こわかった……うぅ……』
あ、子爵が出てきた!隠れて!耳澄ませるよ!!
-----
「待っておったぞ。例のものはどうだ?」
「今回は紛争が長く続いた地域があったので大量ですねぇはい。」
おおよそ人を扱う会話じゃないな……
「女の方はどうだ?」
「今は薄汚れていますが綺麗にしていただければなかなかのものかと……」
「足はついていないだろうな?」
「はい。検問などもすり抜けられる道を用意しておりますので。万が一のことがあっても内部にも手の者は忍ばせております。抜かりはありません。ふふふ」
あー。もう国や街、国境の検問の内部にも裏稼業のやつが入り込んでんだな。
そいつらがいろいろごまかしてうまい事やってると。
何してるかわからんが……
ボイスレコーダーとかカメラとかビデオとかスマホとかあればなぁ……
これが一発で証拠になるのに……スマホ創造できんだろうか……
「ではこちらが今回の目録でございます」
「うむ。奴隷商はいつ来る?」
「はい、3日後には手配しております。その時にお気に召したものを隷属させていただければ……。あとの者は私がまた引き取りに参ります。」
え!?またすぐ連れ去るの!?
やばいなそれ……しかも……3日!?
3日経ったら助けられない者が出てきてしまうのか……
そうなったら連れ去られた獣人は最悪馬車を襲ってってことになるが……
あまり得策とは言えないな……
いや、まだ当日じゃなくて良かったと思おう。
考えるんだ……
「わかった。帰ってよいぞ。一度こちらで全て預かろう。おい、こいつらを地下牢へ連れていけ」
「は。」
地下牢……?
すると私兵と思われるものが荷馬車を引いて屋敷の裏手に回っていった……
屋敷の中じゃないのか……?
あ、目録を持った子爵と囚われた獣人が分かれた!
『クラム!あの荷馬車の獣人がどこへ連れていかれるか見ていて!エステルは飛べないから補助!』
『は~い』
『わかりました!』
僕は子爵を追おう。
あの書類がどこに入れられるかを見ておかないと……
きっと他のいかがわしい書類もそこにまとめて……
ふむふむ……よし、特に寄り道せず前の僕が破壊した部屋……を通り過ぎた……
あ、あそこ使えなくなったんだな。
上層階の一番角部屋に入った。
”フロート”ッ!目につかないよう陰に隠れて……
「ふっふっふ。今回の女は楽しみだのぉ……。噂によれば町一番の美人が手に入ったらしいぞ?この日を楽しみにしておったのだ。だが、奴隷商の日程が合わず3日お預けか……。今連れてくると暴れおるからなぁ……それはそれで……」
誰ともいない。1人だ。1人でブツブツと……ゲスが。
あ、よし。手にさっきの目録はちゃんと持っているな……
「しかしあのノワールとかいう小童が……。危うく重要な書類が吹き飛ぶところであった。だがノワールとは……誰であろうか……農民崩れが恨みを買っているとか言っておったが……そんなもの知った事か。どれほど恨みを買っておると思っとるんだ!たった1人の小童のことなぞ知らぬわ!ふっはっは。」
あぁ……もう反省の余地なしだな。
遠くから運んできたんだったら時差もあるからな。
少しくらい……反省……いや怖がってくれててもいい。
クルードがこの取引を中止する方向で考えている可能性も考えなくはなかったんだが……。
まぁこういう奴が反省する心を持ち合わせているならそもそもこんな事に手を染めていないということだ。
心置きなくやれていいな。よし。
お……あれは……金庫か……?金属の箱がある……
魔法を……かざして……って、ええ!?空いた!!
中に資料とか領収書?とか……この時代のそういうのなんていうのかわからんがとりあえず紙がたくさん詰まってい……あ、閉められた。
なるほど……そういうタイプかぁ……ダイヤルとかじゃないのか……
盲点だ……。ロックとかのシステムあればよく見て控えて覚えてやろうと思ってたんだが……
ここ異世界だもんなぁー。多分魔力認証とかなんだろ!?
ギルドにもそんなシステムあるもんなぁ……
「よし……では3日後を楽しみにしているとしようか」(バタンッ)
と、クルードは部屋から出て行った。
うーん……
『パパ~みつけたよ~みんなはいっていった~』
『ん?どこ?』
『あれ~』
屋敷の裏手側に納屋のようなところがあり……
そのさらに裏手に荷物が色々おいてある。
その荷物に石で蓋をされた入り口が下敷きになっていた。
用意周到な……。
簡単に調べて出てくるところに地下牢を作ってはいない……ということか……
『あそこから獣人を地下にいれましたね。思っていたよりおおいです。32人いました。大人の女性が3人。子供は性別はバラバラです。でも女児の方が割合は多くいましたね。あと……白い小さな魔物が……』
『魔物!?大丈夫なのかそれ!?』
『危険はなさそうでした。女の子が抱きかかえていて一緒に入っていきました……。とてもかわいい……犬のような……猫のような……見世物小屋に売るのでしょうか……?』
『ふむ……まぁ一緒に助けるが……とりあえずなんでも高値で売れればいいってことなのか』
とりあえず……
期限は3日。その間に何とかしないとまた連れていかれてしまう。
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ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
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マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
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これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
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