118 / 270
116話 - 息子がお世話になりました。
しおりを挟む
教会から追い出されエステルとため息をついた。
まぁ、色々思うところはあるが僕らにはどうしようもないだろう。
組織の実態もよくわからないし今のところ向こうから手出しをされるようなこともなさそうだからね。
とりあえずもうあまり関わらないでおこうという話になった。
で…だ。
「クラマくんは……?あら……?」
『どこいったんだクラマ……』
孤児院を眺めていたはずのクラマを探しているがいない……
「どうしましょうクロムさん!攫われたりしてしまったのでしょうか!?」
『まてまてまて落ち着けエステル。まだ日中で王都の端とはいったが全然人通りの多い広い道のど真ん中で攫われたはないだろ……。しかもクラマ強いし、1人でふらふらどこかに行くタイプでもないからな。ちょっと待ってな。んん……』
空間感知を輪のように広げて……
10m……20……30……40……いた。
あっちの……え?なんでだ……
『いたけど……』
「いましたか!?」
『うん、多分孤児院の中……。まぁ……じゃあ行くか……』
教会から50m程離れた孤児院の建物の前にきた。
(コンコン)
「すみませーん」
「はいはーい。ちょっとお待ちくださーい」
(ガチャ)
「お待たせしました。どうされましたか?」
「たぶん……うちの子がこちらにきているかと……」
孤児院の中は古い木造でお世辞にも綺麗な建物とは言えないがその分掃除などはきっちりされていて清潔感があった。
たくさんの木のテーブルと椅子が並べられていて少しの遊具とボロボロの数冊の本が散らばっていた。
室内で遊んでいたのかもしれないな。
で、何故かその部屋の真ん中でクラマが子供たちに群がられている。
20人くらいはいるかな?3歳くらいから……7歳くらいかな。
クラマと同じ年の子がいるようには見えないかも。
でも僕が捕えられていた時に見たことあるなって子もいるね。
みんないるかはわからないけどちゃんと送り届けられているようだ。
少し安心した。
で、クラマがきょろきょろしてる……
「クラマ君のお姉さんですか?」
「あ、そうです!」
一瞬エステルが戸惑ってたけど、まぁママには見えんよ。
10代にしかみえないもん。
「あらあら、そうですか!綺麗なお姉さんですねぇ。外で遊んでた子たちがクラマ君に遊んでもらったらしく連れて入ってきてしまったんですよ。ご心配をおかけしました……」
「あ、いえ、そんな!こちらこそ遊んでいただいて……」
『クラマー!どういう状況?念話念話』
『……パパ……ごめんね』
『え?いや全然いいよ。外で遊んでたんでしょ?』
『……うん。……ボールが飛んできて……返してあげたら……』
あぁそのまま遊ぶ流れになったのね。いいことだ。
『だいじょぶだいじょぶ!ところで気になってた子はいたの?一応囚われていた子も何人かいることは確認したけど……』
『……いない』
『ふーむ……そうか……ちょっと待ってな』
上手く日常会話から聞き出してみるか。
『エステルー。ちょっと話合わせてくれない?』
『あ、大丈夫ですー!』
「とてもたくさんの子供たちがいますね?この子たちはみんなこちらの子供達ですか?」
「あ、いえいえ。数人は近所から遊びに来ている子もいますよ。ただ最近隣の領で物騒な事がありまして……。その時にこちらで保護された子が20人程いるんです……すこし今は大変かもしれないですね」
「そうなんですね……噂はお聞きしました……。大変でしたよね……。こちらにいる子でこの孤児院の子供たちは皆そろっているのですか?」
「上に体調を崩している子も数人いますよ。まだ輪の中に入れていない子もいますし……。大きい子たちは日中冒険者ギルドで草むしり等の雑用を受けて支援してくれてますので皆ではないですが……どういったご用件でしょうか……」
あ、ちょっと怪しかったか。すまん。
僕も話すの得意じゃないからなぁ……
「知り合いの子がちょうどその時隣町にいまして……。トラブルに巻き込まれていないか少し気になってしまったんです」
うん、まぁ本当のことだからな。
こっちのことはたぶん知らないんだけどね……
「そうだったんですか。すみませんねぇ。たまに怪しい引き取り希望の方もいらっしゃるんですよ。知り合いがいる子はその方のところに、親御さんや親族等の引き取り手が見つかる子は王の手配ですぐにそちらに送り届けられているようですよ?ご安心なさって下さいな。こちらに来ている子は身元を引き受けてくれる子が見当たらない子が主ですね」
そっか。よかった。
ちゃんといろいろ手配してくれてるんだな。
あの王様なら安心だろ。
んーじゃあ、せっかく来たし少し子供を治していくか。
「そうですか。安心しました。あの王様なら心配いらないですね。もしよろしければ体調を崩している子たちを少し癒しましょうか?私は回復魔法が使えますので」
「ありがとうございます。ただ……お支払いできるお金などを持ち合わせていませんので……」
「何もいらないですよ!?治療費目当てにやろうと思っているわけじゃありませんから」
「そうですか……ですが……」
めちゃくちゃ怪しまれる。なんでそんなに……
この人は多分すごい良い人なんだと思うんだけど……。
逆に治療費を請求するって言うのがこの世界の常識なのか?
「私は田舎から出てきたのでこの辺りの常識に疎くて……。私の村では普通の事なのですがこの辺りでは無料で治療するというのはそんなにおかしい事なんでしょうか……?」
「度々怪しんでしまってすみませんねぇ。悪気はないんですよ。もし本当ならおねえさんもあまり回復魔法が使えることは言わない方が……。そもそも治療や回復魔法を使える方は魔法を使える方の中でもかなり少なく、さらにその適正がわかると基本的に教会に所属させられてしまうんです。あとは教会が関与できない冒険者の方くらいしかいないですね。なので一般的にいるものではないのですよ」
「そうだったのですか……知りませんでした……」
あぁ。それで光属性とかを囲ってるのか……。
「もし一般的に教会から逃れて回復魔法を使える方がいても……そういう方はだいたい法外な治療費を要求してきます。中には勝手に治療してあとで治療費を吹っ掛けるといった話も……」
ひどいな……。そりゃ慎重にもなる……。
治癒できるのがそんなに稀有なことだと思わなかった。
気軽に治すって言ってしまって申し訳ないことしたな。
「冒険者ギルド協会の治療院などは簡単な怪我等なら銀貨数枚ほどから治療したりしています。ですが骨折等の重症になると金貨が必要だと……。さらに病気は回復魔法では治療が難しいとも聞きますので高額になるかと……。あとどちらにしろ治療院を利用するには冒険者である必要があるので……」
あぁ、治療院あったな。ダンジョンの近くに。
まぁ病院でも有料だしお金要るのはわかる。
ただ……冒険者限定なのか……
じゃあ回復魔法で治療するのは一般的ではない、ということか……
病気なら尚のこと……。
あと、この世界の人にとってタダで治すって変な感覚なんだな。
ってか僕も地球で知らない人からタダで薬あげるって言われたら怖すぎるか……
魔法が使えちゃうのが気軽になってた……ダメだな。
冒険者以外にはさらに慎重にならないと……。
でもどうしよっかなぁ……
攫われてきた子供みてたからさすがにほっておけないなぁ。
もしそれで体調崩してるなら治してあげたいんだけど……。
でもこういうのって無理強いすると不信感溜まるんだよね。
親切の押し付けは親切じゃないんだよね。
うーん……
『じゃああの机で編まれてる籠買い取ろう。5個程あるでしょ?』
「では、あの机の上の植物で出来た籠を対価にいただけませんか?」
「あれですか?あれは今子供たちが市場に出す商品の練習をしていて……。歪んでますし穴だらけですし……とても対価になるようなものでは」
『いいよいいよ。農作業とか野菜洗うのに使う。ちょうど引っ越したところだしね』
「ちょうど引っ越しをしたところでして、家庭菜園の農作業等に使わせていただきます。あちらで充分です。全ていただけますか?」
そういうと子供が2人ほどこっちに走ってきた。
「おねーちゃんかってくれるの?それぼくがつくったんだ~」
「こっちわたし~」
「うん、いただきますね♪これ貰ったお金で上の子たちを治してあげていいですか?」
「なおしてくれるの!?みんななかなかなおらないの……」
「おねーちゃんおねがいします」
「ということですので……すみません押しつけがましくて……。私も心配ですので……」
「こちらこそ何度も疑ってしまって申し訳ございません。王のおかげで食料などには困らないようにしていただけているのですがなかなか治療費までは手が回らなく……。攫われていた子供たちを預かるまではよかったんですが、翌日にみんな体調を崩してしまって途方にくれていたところでした……。頼るところもないですし……すみません。本当に助かります。ありがとうございます……」
その後は怪しんでいた孤児院のお母さん替わりの人も心を許してくれた。
2階に上がらせてもらい、見渡すと10人程の子がベットで寝ていた。
さらによく見ると過半数はあの馬車で運ばれていた子だった。
やっぱりか……
そこにクラマの事を抱いてた子もいたみたい。
原因が知りたかったので色々イメージを変えながらちょっとずつ色んな部位を治癒して試行錯誤してみた。
僕は医者じゃないから病気の症状を見てもわからないけどね。
そのイメージでその部分が治ればその病気だっていう逆算で。
元々この孤児院に居た子は擦り傷等が化膿していたり風邪をこじらせていたりという感じだったが……
馬車の子たちは完全に食中毒だとおもう。
下痢や嘔吐が止まらなかったらしい。
そら、あんな袋に入った腐った生芋食わせて運ばれてきたらそうなるだろ……
芋って結構毒性強いものもあるよな。
ちょっとごり押しだったけど治療出来てよかった。
結構危なかったとおもうよ……。
ご飯も食べれないからかなり衰弱してしまっていた。
あとはこの場で治すのではなく徐々に回復するようにウォーターエイドをかけておしまい。
これで一旦体力が戻れば大丈夫だとおもう。
しっかりご飯を食べさせてあげないとだな……
胃に優しくて吸収しやすいものもってるかな……
子供が回復する間、孤児院のお母さんと色々話した。
支援は受けているという話だったがどうやら外観の修理が行き届いていないのはわざとらしい。
王にはちゃんと費用をもらっているんだって。
冒険者ギルドに行っている大きな子もちゃんと仕送りしてくれているらしい。
贅沢は出来ないけど普通に生活するのには問題がないそうだ。
今回の件も子供が増えたことについても余分なくらい支給は受けているそう。
ただあまりきれいにしすぎたり、薬を買ったり治療を受けたり……
お金の動きを見せると稼げているなら教会がお布施を出せと言ってくるらしい……
ありえないでしょ。孤児院だぞここ。
神が~とか色々言ってるらしいけど要約すると子供の面倒を見ていた対価をだせってことらしい。
面倒を見ていたといっても教会の庇護下にあった時は本当にわずかばかりの金銭を支給しているくらいでまともなものも食べられなかったそうだ。
教会が孤児院を庇護下に置いていたのは孤児から光属性等の適正があるものを見つける為。
それを迅速に囲う為らしい……。
それを見かねた今の王様が王位継承されたときに教会から孤児院を切り離して自費で支援を始めた、という流れだそうだ。
腐ってるやつが多すぎる……本当に。
こいつらの本部人間の国にあるっていってたよな。
この王都の教会だけが腐ってるのかトップが腐ってるのか……
またちょっと詳しいことは王に聞いておかないとな……
『この子たちは歩くのは大丈夫なのかな?お母さん引率でもいいんだけど王都の外に少し出て来れる?』
『どうしました?』
『うちの敷地広すぎるでしょ?元気になったらたまに草むしりしてもらったら?クラムが育てた野菜収穫してもらうとかさ。生活は問題ないらしいから余分に賃金とか食料欲しかったらたまにくればいいんじゃない?体調悪い子を治してほしいとかね。僕がそっと治しにきてもわからないでしょ』
『なるほど……』
『この世界の常識的にあまり無料でなにかをするとか魔法を使って治療とかするといい人ほど逆に不信感溜まっちゃいそう。だから働いてくれたら対価払うよ、だったらいいんじゃないかなと思って。その時に手伝って欲しいことしてもらうよ。これからダンジョン行くし魔石の仕分けとかね』
まぁ多分魔石の仕分けはいらんのだが……
アイテムボックスで自動的に行けそうな気がする。
イメージでとりだせるし……
『そうですね♪伝えてみます』
そんなことを話してたら1人の女の子の目が覚めた。
この子も狐の獣人っぽい。
綺麗な黄色の大きな耳をしてる。
「ん……コン?」
そばで座って寝ていたクラマも目を覚ましたらしい。
「……ん?」
「わかるよ!おなじにおいだもん!」
コンってなんだ……?
「……」
『コンって……クラマのこと?』
『……そう……この子は……そう呼んでた』
『大丈夫だよ。獣人って言っても古代種ってわかるわけじゃない。なんかあったら守ってやる』
『……わかった。ありがと、パパ』
「……うん……ぼく……獣人」
「そうなの~?しらなかった!」
「……クラマ……名前」
「わたしココ!」
「……そう……ココ。ごはん……ありがと」
「うん!まもってくれてありがと!」
「…………ん……また……くる」
無表情なクラマが少し微笑んでいる気がした。
隠れてた時いつもこの子にご飯もらってたんだろうね。
ご飯のお礼も言えてよかった。
覚えてくれてる子がいてよかったね。
うちの息子がお世話になりました。
まぁ、色々思うところはあるが僕らにはどうしようもないだろう。
組織の実態もよくわからないし今のところ向こうから手出しをされるようなこともなさそうだからね。
とりあえずもうあまり関わらないでおこうという話になった。
で…だ。
「クラマくんは……?あら……?」
『どこいったんだクラマ……』
孤児院を眺めていたはずのクラマを探しているがいない……
「どうしましょうクロムさん!攫われたりしてしまったのでしょうか!?」
『まてまてまて落ち着けエステル。まだ日中で王都の端とはいったが全然人通りの多い広い道のど真ん中で攫われたはないだろ……。しかもクラマ強いし、1人でふらふらどこかに行くタイプでもないからな。ちょっと待ってな。んん……』
空間感知を輪のように広げて……
10m……20……30……40……いた。
あっちの……え?なんでだ……
『いたけど……』
「いましたか!?」
『うん、多分孤児院の中……。まぁ……じゃあ行くか……』
教会から50m程離れた孤児院の建物の前にきた。
(コンコン)
「すみませーん」
「はいはーい。ちょっとお待ちくださーい」
(ガチャ)
「お待たせしました。どうされましたか?」
「たぶん……うちの子がこちらにきているかと……」
孤児院の中は古い木造でお世辞にも綺麗な建物とは言えないがその分掃除などはきっちりされていて清潔感があった。
たくさんの木のテーブルと椅子が並べられていて少しの遊具とボロボロの数冊の本が散らばっていた。
室内で遊んでいたのかもしれないな。
で、何故かその部屋の真ん中でクラマが子供たちに群がられている。
20人くらいはいるかな?3歳くらいから……7歳くらいかな。
クラマと同じ年の子がいるようには見えないかも。
でも僕が捕えられていた時に見たことあるなって子もいるね。
みんないるかはわからないけどちゃんと送り届けられているようだ。
少し安心した。
で、クラマがきょろきょろしてる……
「クラマ君のお姉さんですか?」
「あ、そうです!」
一瞬エステルが戸惑ってたけど、まぁママには見えんよ。
10代にしかみえないもん。
「あらあら、そうですか!綺麗なお姉さんですねぇ。外で遊んでた子たちがクラマ君に遊んでもらったらしく連れて入ってきてしまったんですよ。ご心配をおかけしました……」
「あ、いえ、そんな!こちらこそ遊んでいただいて……」
『クラマー!どういう状況?念話念話』
『……パパ……ごめんね』
『え?いや全然いいよ。外で遊んでたんでしょ?』
『……うん。……ボールが飛んできて……返してあげたら……』
あぁそのまま遊ぶ流れになったのね。いいことだ。
『だいじょぶだいじょぶ!ところで気になってた子はいたの?一応囚われていた子も何人かいることは確認したけど……』
『……いない』
『ふーむ……そうか……ちょっと待ってな』
上手く日常会話から聞き出してみるか。
『エステルー。ちょっと話合わせてくれない?』
『あ、大丈夫ですー!』
「とてもたくさんの子供たちがいますね?この子たちはみんなこちらの子供達ですか?」
「あ、いえいえ。数人は近所から遊びに来ている子もいますよ。ただ最近隣の領で物騒な事がありまして……。その時にこちらで保護された子が20人程いるんです……すこし今は大変かもしれないですね」
「そうなんですね……噂はお聞きしました……。大変でしたよね……。こちらにいる子でこの孤児院の子供たちは皆そろっているのですか?」
「上に体調を崩している子も数人いますよ。まだ輪の中に入れていない子もいますし……。大きい子たちは日中冒険者ギルドで草むしり等の雑用を受けて支援してくれてますので皆ではないですが……どういったご用件でしょうか……」
あ、ちょっと怪しかったか。すまん。
僕も話すの得意じゃないからなぁ……
「知り合いの子がちょうどその時隣町にいまして……。トラブルに巻き込まれていないか少し気になってしまったんです」
うん、まぁ本当のことだからな。
こっちのことはたぶん知らないんだけどね……
「そうだったんですか。すみませんねぇ。たまに怪しい引き取り希望の方もいらっしゃるんですよ。知り合いがいる子はその方のところに、親御さんや親族等の引き取り手が見つかる子は王の手配ですぐにそちらに送り届けられているようですよ?ご安心なさって下さいな。こちらに来ている子は身元を引き受けてくれる子が見当たらない子が主ですね」
そっか。よかった。
ちゃんといろいろ手配してくれてるんだな。
あの王様なら安心だろ。
んーじゃあ、せっかく来たし少し子供を治していくか。
「そうですか。安心しました。あの王様なら心配いらないですね。もしよろしければ体調を崩している子たちを少し癒しましょうか?私は回復魔法が使えますので」
「ありがとうございます。ただ……お支払いできるお金などを持ち合わせていませんので……」
「何もいらないですよ!?治療費目当てにやろうと思っているわけじゃありませんから」
「そうですか……ですが……」
めちゃくちゃ怪しまれる。なんでそんなに……
この人は多分すごい良い人なんだと思うんだけど……。
逆に治療費を請求するって言うのがこの世界の常識なのか?
「私は田舎から出てきたのでこの辺りの常識に疎くて……。私の村では普通の事なのですがこの辺りでは無料で治療するというのはそんなにおかしい事なんでしょうか……?」
「度々怪しんでしまってすみませんねぇ。悪気はないんですよ。もし本当ならおねえさんもあまり回復魔法が使えることは言わない方が……。そもそも治療や回復魔法を使える方は魔法を使える方の中でもかなり少なく、さらにその適正がわかると基本的に教会に所属させられてしまうんです。あとは教会が関与できない冒険者の方くらいしかいないですね。なので一般的にいるものではないのですよ」
「そうだったのですか……知りませんでした……」
あぁ。それで光属性とかを囲ってるのか……。
「もし一般的に教会から逃れて回復魔法を使える方がいても……そういう方はだいたい法外な治療費を要求してきます。中には勝手に治療してあとで治療費を吹っ掛けるといった話も……」
ひどいな……。そりゃ慎重にもなる……。
治癒できるのがそんなに稀有なことだと思わなかった。
気軽に治すって言ってしまって申し訳ないことしたな。
「冒険者ギルド協会の治療院などは簡単な怪我等なら銀貨数枚ほどから治療したりしています。ですが骨折等の重症になると金貨が必要だと……。さらに病気は回復魔法では治療が難しいとも聞きますので高額になるかと……。あとどちらにしろ治療院を利用するには冒険者である必要があるので……」
あぁ、治療院あったな。ダンジョンの近くに。
まぁ病院でも有料だしお金要るのはわかる。
ただ……冒険者限定なのか……
じゃあ回復魔法で治療するのは一般的ではない、ということか……
病気なら尚のこと……。
あと、この世界の人にとってタダで治すって変な感覚なんだな。
ってか僕も地球で知らない人からタダで薬あげるって言われたら怖すぎるか……
魔法が使えちゃうのが気軽になってた……ダメだな。
冒険者以外にはさらに慎重にならないと……。
でもどうしよっかなぁ……
攫われてきた子供みてたからさすがにほっておけないなぁ。
もしそれで体調崩してるなら治してあげたいんだけど……。
でもこういうのって無理強いすると不信感溜まるんだよね。
親切の押し付けは親切じゃないんだよね。
うーん……
『じゃああの机で編まれてる籠買い取ろう。5個程あるでしょ?』
「では、あの机の上の植物で出来た籠を対価にいただけませんか?」
「あれですか?あれは今子供たちが市場に出す商品の練習をしていて……。歪んでますし穴だらけですし……とても対価になるようなものでは」
『いいよいいよ。農作業とか野菜洗うのに使う。ちょうど引っ越したところだしね』
「ちょうど引っ越しをしたところでして、家庭菜園の農作業等に使わせていただきます。あちらで充分です。全ていただけますか?」
そういうと子供が2人ほどこっちに走ってきた。
「おねーちゃんかってくれるの?それぼくがつくったんだ~」
「こっちわたし~」
「うん、いただきますね♪これ貰ったお金で上の子たちを治してあげていいですか?」
「なおしてくれるの!?みんななかなかなおらないの……」
「おねーちゃんおねがいします」
「ということですので……すみません押しつけがましくて……。私も心配ですので……」
「こちらこそ何度も疑ってしまって申し訳ございません。王のおかげで食料などには困らないようにしていただけているのですがなかなか治療費までは手が回らなく……。攫われていた子供たちを預かるまではよかったんですが、翌日にみんな体調を崩してしまって途方にくれていたところでした……。頼るところもないですし……すみません。本当に助かります。ありがとうございます……」
その後は怪しんでいた孤児院のお母さん替わりの人も心を許してくれた。
2階に上がらせてもらい、見渡すと10人程の子がベットで寝ていた。
さらによく見ると過半数はあの馬車で運ばれていた子だった。
やっぱりか……
そこにクラマの事を抱いてた子もいたみたい。
原因が知りたかったので色々イメージを変えながらちょっとずつ色んな部位を治癒して試行錯誤してみた。
僕は医者じゃないから病気の症状を見てもわからないけどね。
そのイメージでその部分が治ればその病気だっていう逆算で。
元々この孤児院に居た子は擦り傷等が化膿していたり風邪をこじらせていたりという感じだったが……
馬車の子たちは完全に食中毒だとおもう。
下痢や嘔吐が止まらなかったらしい。
そら、あんな袋に入った腐った生芋食わせて運ばれてきたらそうなるだろ……
芋って結構毒性強いものもあるよな。
ちょっとごり押しだったけど治療出来てよかった。
結構危なかったとおもうよ……。
ご飯も食べれないからかなり衰弱してしまっていた。
あとはこの場で治すのではなく徐々に回復するようにウォーターエイドをかけておしまい。
これで一旦体力が戻れば大丈夫だとおもう。
しっかりご飯を食べさせてあげないとだな……
胃に優しくて吸収しやすいものもってるかな……
子供が回復する間、孤児院のお母さんと色々話した。
支援は受けているという話だったがどうやら外観の修理が行き届いていないのはわざとらしい。
王にはちゃんと費用をもらっているんだって。
冒険者ギルドに行っている大きな子もちゃんと仕送りしてくれているらしい。
贅沢は出来ないけど普通に生活するのには問題がないそうだ。
今回の件も子供が増えたことについても余分なくらい支給は受けているそう。
ただあまりきれいにしすぎたり、薬を買ったり治療を受けたり……
お金の動きを見せると稼げているなら教会がお布施を出せと言ってくるらしい……
ありえないでしょ。孤児院だぞここ。
神が~とか色々言ってるらしいけど要約すると子供の面倒を見ていた対価をだせってことらしい。
面倒を見ていたといっても教会の庇護下にあった時は本当にわずかばかりの金銭を支給しているくらいでまともなものも食べられなかったそうだ。
教会が孤児院を庇護下に置いていたのは孤児から光属性等の適正があるものを見つける為。
それを迅速に囲う為らしい……。
それを見かねた今の王様が王位継承されたときに教会から孤児院を切り離して自費で支援を始めた、という流れだそうだ。
腐ってるやつが多すぎる……本当に。
こいつらの本部人間の国にあるっていってたよな。
この王都の教会だけが腐ってるのかトップが腐ってるのか……
またちょっと詳しいことは王に聞いておかないとな……
『この子たちは歩くのは大丈夫なのかな?お母さん引率でもいいんだけど王都の外に少し出て来れる?』
『どうしました?』
『うちの敷地広すぎるでしょ?元気になったらたまに草むしりしてもらったら?クラムが育てた野菜収穫してもらうとかさ。生活は問題ないらしいから余分に賃金とか食料欲しかったらたまにくればいいんじゃない?体調悪い子を治してほしいとかね。僕がそっと治しにきてもわからないでしょ』
『なるほど……』
『この世界の常識的にあまり無料でなにかをするとか魔法を使って治療とかするといい人ほど逆に不信感溜まっちゃいそう。だから働いてくれたら対価払うよ、だったらいいんじゃないかなと思って。その時に手伝って欲しいことしてもらうよ。これからダンジョン行くし魔石の仕分けとかね』
まぁ多分魔石の仕分けはいらんのだが……
アイテムボックスで自動的に行けそうな気がする。
イメージでとりだせるし……
『そうですね♪伝えてみます』
そんなことを話してたら1人の女の子の目が覚めた。
この子も狐の獣人っぽい。
綺麗な黄色の大きな耳をしてる。
「ん……コン?」
そばで座って寝ていたクラマも目を覚ましたらしい。
「……ん?」
「わかるよ!おなじにおいだもん!」
コンってなんだ……?
「……」
『コンって……クラマのこと?』
『……そう……この子は……そう呼んでた』
『大丈夫だよ。獣人って言っても古代種ってわかるわけじゃない。なんかあったら守ってやる』
『……わかった。ありがと、パパ』
「……うん……ぼく……獣人」
「そうなの~?しらなかった!」
「……クラマ……名前」
「わたしココ!」
「……そう……ココ。ごはん……ありがと」
「うん!まもってくれてありがと!」
「…………ん……また……くる」
無表情なクラマが少し微笑んでいる気がした。
隠れてた時いつもこの子にご飯もらってたんだろうね。
ご飯のお礼も言えてよかった。
覚えてくれてる子がいてよかったね。
うちの息子がお世話になりました。
68
あなたにおすすめの小説
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる