15 / 34
第4話 珠美さん、勇者になる
第4話 その3
しおりを挟む
「それで助けて欲しいというのは?」
珠美さんは、出されたお茶を飲み、お菓子を食べながら聞きました。色々な意味で遠慮がありません。
テーブルで相対するのは、村長です。ここまで案内してくれた村人はどこかに去っていきました。きっとNPCだったんでしょうね。……いやいや、NPCであっても、神様にとっては大事な支持母体です。この国の神は、人々に求められて存在するのですから。ありがたや、ありがたや。
さて、村長の答えはこうでした。
「娘が騎士になりたいと言っています」
「なればいいじゃない」
「そんな無謀なこと、私は許しません! だいたい田舎の小娘が騎士になれるはずがない。そうでしょう? 勇者殿」
「え? 私、勇者だけど騎士団じゃないから、わかんない」
「勇者殿から娘に話してくれませんか」
この村長さん、珠美さんの話をあまり聞いていませんね。
「話すのはいいけど……」
「では連れて参ります。あ、お菓子のおかわりは?」
「食べるー」
村長が部屋を出るのと入れ替わりで、使用人らしき人がお菓子を持ってきてくれました。それをはむはむと食べながら待っていると、村長が娘を連れて戻ってきました。
娘……小さいな。
「子供ね」
「一二歳になります。勇者様に挨拶をしなさい」
「はじめまして、勇者様。リタ・マクスウェル・クロスロード三世と申します」
「それは本名?」
「自分で考えました」
「ハンドルってやつね」
「そのように考えて頂いても構いません」
「村長さん、子供なのにしっかりした喋り方するじゃない。偉いじゃない。すごいじゃない」
いや、珠美さん、これはキャラ付けだと思いますよ。いわゆる中二病の一種です。
「それではリタさん。あなたは騎士になりたいって聞いたけれど、本当?」
「はい」
「どうすれば騎士になれるのか、知っているの?」
「はい、もちろんです」
「説明してみて」
「まず学校に入ります」
「学校?」
「はい、騎士団音楽学校です。まず音楽学校の文化祭での主役を目指します。そこで目をつけられて、初舞台生全員でのラインダンスの中でもひときわ目立ったダンスを披露し、鳴り物入りで娘役候補として組に入ります。その後は新人公演で主役の座を射止め、トップスターへの階段を登ります」
これは……。
「……ヅカね」
宝塚歌劇団ですね。根本的に勘違いをしているようです。
彼女の勘違いは、どうやって正してあげればよいでしょうか。難問です。
その時、ドアがばたんと開きました。そこに立っていたのは、女騎士でした。
「ローレンシア皇国騎士団女子部所属のアルル・シャルル・ド・ゴール四世だ! 話は聞いていた!」
「その名前は自分で考えたの?」
「本名だ!」
「本名だって」
珠美さんはリタに耳打ちしました。どうやら本物の騎士の登場のようです。
「おお……騎士殿。騎士殿は、娘の心を変えてくださるというのか」
「村長、このような事例は、騎士団にとっては慣れたこと。お任せください」
「なにとぞ、なにとぞ、娘に現実を教えてやってください」
「娘さん、条件を与えよう」
「なんでしょうか」
「そこにいらっしゃる勇者殿——」
「珠美です」
「タマミ殿と勝負しなさい。勝負して買ったら、騎士訓練生として進言しよう」
「「ええっ!」」
珠美さんとリタが同時に声をあげました。
珠美さんにとっては寝耳に水ですし、リタからすれば勇者に敵うはずがありません。
「おお! それは妙案! さすがは騎士殿!」
村長は、この方法で納得するようです。万が一、リタが勝ったらどうするんでしょうね。
珠美さんは、出されたお茶を飲み、お菓子を食べながら聞きました。色々な意味で遠慮がありません。
テーブルで相対するのは、村長です。ここまで案内してくれた村人はどこかに去っていきました。きっとNPCだったんでしょうね。……いやいや、NPCであっても、神様にとっては大事な支持母体です。この国の神は、人々に求められて存在するのですから。ありがたや、ありがたや。
さて、村長の答えはこうでした。
「娘が騎士になりたいと言っています」
「なればいいじゃない」
「そんな無謀なこと、私は許しません! だいたい田舎の小娘が騎士になれるはずがない。そうでしょう? 勇者殿」
「え? 私、勇者だけど騎士団じゃないから、わかんない」
「勇者殿から娘に話してくれませんか」
この村長さん、珠美さんの話をあまり聞いていませんね。
「話すのはいいけど……」
「では連れて参ります。あ、お菓子のおかわりは?」
「食べるー」
村長が部屋を出るのと入れ替わりで、使用人らしき人がお菓子を持ってきてくれました。それをはむはむと食べながら待っていると、村長が娘を連れて戻ってきました。
娘……小さいな。
「子供ね」
「一二歳になります。勇者様に挨拶をしなさい」
「はじめまして、勇者様。リタ・マクスウェル・クロスロード三世と申します」
「それは本名?」
「自分で考えました」
「ハンドルってやつね」
「そのように考えて頂いても構いません」
「村長さん、子供なのにしっかりした喋り方するじゃない。偉いじゃない。すごいじゃない」
いや、珠美さん、これはキャラ付けだと思いますよ。いわゆる中二病の一種です。
「それではリタさん。あなたは騎士になりたいって聞いたけれど、本当?」
「はい」
「どうすれば騎士になれるのか、知っているの?」
「はい、もちろんです」
「説明してみて」
「まず学校に入ります」
「学校?」
「はい、騎士団音楽学校です。まず音楽学校の文化祭での主役を目指します。そこで目をつけられて、初舞台生全員でのラインダンスの中でもひときわ目立ったダンスを披露し、鳴り物入りで娘役候補として組に入ります。その後は新人公演で主役の座を射止め、トップスターへの階段を登ります」
これは……。
「……ヅカね」
宝塚歌劇団ですね。根本的に勘違いをしているようです。
彼女の勘違いは、どうやって正してあげればよいでしょうか。難問です。
その時、ドアがばたんと開きました。そこに立っていたのは、女騎士でした。
「ローレンシア皇国騎士団女子部所属のアルル・シャルル・ド・ゴール四世だ! 話は聞いていた!」
「その名前は自分で考えたの?」
「本名だ!」
「本名だって」
珠美さんはリタに耳打ちしました。どうやら本物の騎士の登場のようです。
「おお……騎士殿。騎士殿は、娘の心を変えてくださるというのか」
「村長、このような事例は、騎士団にとっては慣れたこと。お任せください」
「なにとぞ、なにとぞ、娘に現実を教えてやってください」
「娘さん、条件を与えよう」
「なんでしょうか」
「そこにいらっしゃる勇者殿——」
「珠美です」
「タマミ殿と勝負しなさい。勝負して買ったら、騎士訓練生として進言しよう」
「「ええっ!」」
珠美さんとリタが同時に声をあげました。
珠美さんにとっては寝耳に水ですし、リタからすれば勇者に敵うはずがありません。
「おお! それは妙案! さすがは騎士殿!」
村長は、この方法で納得するようです。万が一、リタが勝ったらどうするんでしょうね。
0
あなたにおすすめの小説
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる