食の雑学

床間信生

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59-先日、鰻を食べに行った時あまりにも久しぶりすぎて山椒の存在を忘れてしまい食べ終わってから気づいて落ち込んだという話

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今では鰻の最高の相方として有名な山椒が、一緒に食べられ始めたのは江戸時代と言われています。

(そもそも蒲焼きが今の形になったのも江戸時代だったとか…)

当時は味噌や醤油に山椒をあえ鰻につけて焼いていたようです。

今のように食べる直前でお好みということではなく、調味料の方にあえていたということは人によっては、お寿司の入れすぎワサビ状態のこともあったのでしょうか。w

そんな山椒ですが単純に味や風味を良くするだけではありません。

PH(ペーハー)を下げ消化を助ける働きも担っています。

更に昔は正月に飲むお屠蘇の材料にも使われていたり、古くから色々と利用されていたようです。

そして今でも日本薬局方という決まりなの中で生薬として認められていたり、七味唐辛子の中身などにも入っていたりします。

(七味唐辛子も昔は薬の類いだったそうです)

ちなみにこの山椒ですが、英語名ではJapanese pepper(日本の香辛料)なんて呼ばれます。

外国では日本由来の胡椒の一種として認識されているんですね。

中国でも山椒と呼ばれていて良く似た香辛料として花椒・山椒・胡椒として、それぞれ分けられているようです。

(四川料理の痺れるような辛さを山椒という人もいますが、正確に花椒の方らしいです)

分布地域としては北海道から屋久島だけではなく、朝鮮半島や中国の一部にまで広く分布していて多くが自生していると言います。

それもどこから持ち込んだというのではなく3世紀後半、魏志倭人伝の方に山椒の日本での自生の記録が残っているそうです。

これは年代的にも遣唐使や遣隋使などで中国の影響を受ける前になります。

なので、どこからか誰かが自生させる目的で大量に持ち込んだというのは、可能性が限りなく低いと言えるのではないでしょうか。

そして意外なことにミカン科の落葉低木植物だったりします。

(ミカンか?だけにミカン科…何て言ってみたりして…はい、すいませんm(_ _)m)

ですが山椒を生業にしている農家さんというのは、私の経験では聞いたことがありません。

(いるのかもしれませんが…)

生薬にも利用されていて香辛料としても認められているのに香辛料以外での利用というのもあまり聞いたことがありません。

せっかく日本古来からある物なのにナゼか忘れられている気がします。

ということで今日の一言!!
「先日、鰻を食べに行った時あまりにも久しぶりすぎて山椒の存在を忘れてしまい食べ終わってから気づいて落ち込んだ」という話です。
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