世界のためなら何度でも

つぼっち

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第十章、正義を求めて

#57 とある魔族殺しの噂

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「うーむ。」

俺の国に戻ってきてからも神王の言葉が頭から離れない。

真理とは何か。

「マスター、仕事してください。」

「ゼロ、そういうお主も仕事するがいい。」

そう言って机でお菓子を食べるゼロをミルドが引きずりながら連れて行く。

わからない。

モヤモヤする。

あの言葉が脳に張り付いているようだ。

好奇心とは恐ろしいものだな。

おそらくあの言葉は生涯俺につきまとうだろう。

「マスター、国民からの貢物でパンケーキが送られてきたのですが食べますか?」

「食べるー。」

神王の言葉は一瞬で頭の中から消しとんだ。





「しっかしうまいな、このパンケーキ。」

「今年は小麦がよくとれますからね。」

「建国して半年も経ってないけどな。」

「この土地で育った植物は育ちが早く、美味しいらしいですからね。」

「家畜の育ちもいいとききますぞ。」

ミルドがでかい牛を担いでやってくる。

「国王陛下、北区の貴族であるエーミールから牛の貢物です。」

「おぉ、エーミールの領地の家畜はうまいからな。夜飯はステーキだな。」

「そういえばマスター、いつのまにか人間以外も食べれるようになったんですか?」

「苦労したんだぜ。味もしないし腹も膨れない肉を大量に食うことである程度味を感じるようになったんだ。」

「女神の裁きすら乗り越えるとはさすがですね。」

「まぁな。よし、ちょっと散歩してくるか。」

「マスター、夕飯までには帰ってきてくださいね。」

「国内だから大丈夫だって。」



俺は国王とバレないように変装して国を回る。

それにしても俺の国は建国して半年にも満たないのに栄えてんなー。

いつのまにか他の魔族の国の訪問者まで来てるし。

俺はコロシアム近くの酒場で視察さぼりをする。

「らっしゃい!!!」

酒場に入ると酒と食べ物の匂いがしてきた。

「おっちゃん、ビール大樽で一つ。」

「あいよ!!」

ビールを頼んでしばらくするとおっちゃんがどでかい樽に入ったビールを持ってきた。

俺はビールを樽ごと飲み干す。

「おっちゃん、このビールうまいな。」

「そうだろ?近くの畑で取れた大麦を使ってるからな。」

俺がビールとつまみとして鶏皮を頼んでいると近くから話し声が聞こえてきた。

「そういえば最近違う村から人が来てるけどなんでだろうな。」

「しらねぇのか?大アルカナの話?」

「知らないな。」

「なんでも[No.11]正義が近隣の魔族の村を崩壊させたらしいぜ。」

「まじかよ!?[NO.11]といえば魔族を見ればすぐ斬り殺す狂人だろ?」

「そのうちこの国にもくるかもな。」

「怖いな、でも国王陛下がなんとかしてくれるだろう。」

「そうだな。あの方はめっちゃ強いらしいし。」

ありがとう我が国民よ。

今度税金を下げてやろう。

それにしてもセイギが動いてきたか。

プライドを倒して数日だが。

「俺がやってやるか。」

親友としてあいつを正さなければいけない。

そう思った。
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