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第十章、正義を求めて
#60 融合
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俺は地上に降り立ち、正義の方を見に行く。
流石にあの攻撃をくらって動けはしないだろうと、俺はゆっくりと正義を探す。
「戦いの最中に気を抜くとはいい度胸だな。」
「な、正義!?」
間違いなく対戦車ライフルは着弾していたのに何故か正義は生きていた。
しかも正義の姿は先ほどまでとは違い純白の鎧を着ていて背中には綺麗な翼が生えていた。
「かっこよ。」
『まずいな、今あいつはガブリエルと自分の魂を融合している状態だ。』
「融合してるとどうなるんだ?」
『本来天使も悪魔も下界では本当の力を出すことができない。だがああいう風に強者の魂と融合することで本来の力を使うことができるようになるんだ。』
「お前はできないのか?」
『できないって言えば間違いになる。だがそれにはそれ相応の魔力とリスクがいる。できるか?』
「そのリスクってのはなんだ?」
『融合すればその天使や悪魔を象った姿の鎧が生まれる。だが俺様みたいな特殊な悪魔は魔力の量で形が変わってしまうんだ。成功すれば蝿の王たる威厳のある姿に、失敗すれば……。』
「失敗すれば?」
俺は恐る恐る聞く。
『ただの蝿になるになる。』
「わかった俺のすべての魔力を注ぎ込む。」
そう言って俺はベルゼブブに体中のありとあらゆる魔力を全力で注ぐ。
『お、おい。そんな張り切らなくてもいいぞ!!』
「いやまだだ。俺の全力を注ぎ込むんだ!!!」
『どんだけ蝿になりたくないんだよ!!!!蝿も結構かっこいいところあるんだからな!!!!」
そして俺は身体中の魔力の大半を注ぎ終える。
『こんなに魔力使ったら戦えないぞ。』
「大丈夫だ。あとはお前に任せる。」
『……わかった。お前の全力受け継いだぞ。』
一方で正義はどっしりと構えながらガブリエルと喋っていた。
『ねぇ正義。今のうちのさくっとやっとこうよ。』
「それはダメだ。俺の正義に反する。ヒーローが変身中は怪人は手を出さないだろう?それも敵側に敬意を払っての正義なんだ。」
『あなたいつも正義正義って言ってるけどそんな堅いとモテないわよ。』
「別にモテなくても俺には……その…………。」
『俺には?』
「お、俺にはお前がいるからな。」
『せ、正義♡。』
つまらん茶番をやっていた。
なんだあいつら、異世界に来てまでモテない俺への当て付けか?
「ベルゼブブ、あいつら消し飛ばしてこい。骨も残らないぐらいな。」
『了解した。悪魔と人間の契約は絶対だからな。』
そう言ってベルゼブブは宙に浮かび、俺の頭上でぐるぐると回りだす。
そして舞い上がった風で俺の体は完全に包み込まれる。
そしてその風には雨のような水滴も一緒に舞っていた。
「ふはははははははは!!!!力が漲ってきたぞ!!!!!」
『正義、気をつけて。』
「わかった。気は一切緩ませない。」
そして風が止み、姿があらわになる。
その姿はただの蠅などではなく、まさに『蝿の王にふさわしい姿』だった。
「ふはははははははははははははははははは!!!道を開けよ、〈蝿王〉ベルゼブブ様の復活だ!!!」
太古に封印された力が今、解かれた
流石にあの攻撃をくらって動けはしないだろうと、俺はゆっくりと正義を探す。
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「失敗すれば?」
俺は恐る恐る聞く。
『ただの蝿になるになる。』
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そう言って俺はベルゼブブに体中のありとあらゆる魔力を全力で注ぐ。
『お、おい。そんな張り切らなくてもいいぞ!!』
「いやまだだ。俺の全力を注ぎ込むんだ!!!」
『どんだけ蝿になりたくないんだよ!!!!蝿も結構かっこいいところあるんだからな!!!!」
そして俺は身体中の魔力の大半を注ぎ終える。
『こんなに魔力使ったら戦えないぞ。』
「大丈夫だ。あとはお前に任せる。」
『……わかった。お前の全力受け継いだぞ。』
一方で正義はどっしりと構えながらガブリエルと喋っていた。
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『俺には?』
「お、俺にはお前がいるからな。」
『せ、正義♡。』
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そして風が止み、姿があらわになる。
その姿はただの蠅などではなく、まさに『蝿の王にふさわしい姿』だった。
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