世界のためなら何度でも

つぼっち

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【第二幕】第一章、この世界が嫌いだから

#68 世界の原理

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気がつくと俺は見知った空間にいた。

最初に女神と会った場所だ。

俺が辺りを見渡すと最近見た顔、女神が座っていた。

「よう。」

俺は女神に話しかけるが返事はない。

……。

「おいババア。聞こえてんのか?」

「聞こえてるわよ!!後ババアじゃないし!!!!」

どうやら聞こえていたらしい、女神が憤慨しながらこちらに目を合わせる。

「なんで俺ここにいんの?」

「はぁ?せい…あんたが『神王の奇石』に願ったんでしょ。」

「神王の奇石ってなんなんだ?」

「知らずに持ってたの?あんな貴重なものを?」

「あぁ、アレイスターにもらったんだよ。」

そういうと女神の眉がぴくりと動く。

「アレイスター!?またあのバカの仕業なの?」

「知ってるのか?」

「知ってるもなにもあいつは元大アルカナの一人、[No.0]愚者だったのよ。」

「知らなかった。」

「まぁでもあいつは【目的】のためとか言って私たちを裏切って今は魔道具店を経営してるんだけどね。」

「はえー、あいつもすごいことするもんだな。ところでさぁ、俺っていつ転生できるんだ?」

「知らない。」

「は?」

「だから知らないの。その石はもともと神王様の力で全ての世界に2個ずつだけ設置されたものだもん。私みたいな世界神ごときじゃその力を知ることも解除することもできないしね。」

「神にもヒエラルキーとか存在するんだな。」

「当たり前よ、この際あなたと私の階級がどれほど違うか世界の原理から教えてあげるわ。」

そう言って女神はホワイトボードを取り出して説明する。

「まず一つの大いなる空間がありました。その大いなる空間に初めて生まれたのが初代神王様。神王様はまず初めに自分の世界をつくりました。」

そう言って女神は神王の絵と星のようなものを書く。

世界っていうのは元の世界で言う星みたいなものか。

「それでそのあと神王様は何個か世界を作ったけど飽きて、部下にやらせることにしました。それが2番目に偉い地位にある創造神様と破壊神様でした。創造神様が世界をどんどんと増やし、破壊神様が世界の均衡を保つため適度な破壊をし、どんどんと世界を増やして行きました。」

なるほど。

神王はめちゃくちゃめんどくさがり屋なんだな。

「ただ、二人が世界を増やしすぎたせいでその二人の神様だけでは管理できないようになりました。そして神王様に頼み、私達のような世界神が生まれました。世界神がそれぞれ一つの世界を管理することで大いなる空間の均衡は保たれていました。ちなみにあんたみたいな世界神にも満たない神は大いなる空間内では神とは認められてないから。」

「あっそ。」

俺は女神の言うことをさらっと受け流す。

「ここから事件が起きたの。初代神王様が神王の座を降りたいと全ての紙に言いました。神はうろたえ、次の神王を誰にするかで揉め、大いなる空間ではじめての大規模な神同士の戦争が起きました。これが世に言う【神々の運命ラグナロク】です。そして決着がつかず、神々が右往左往しているときに一人の人間がある提案をしました。それは一部の世界に神王の血族を生むようにし、一定の年齢になると過酷な世界に移し、そこで生き残った者同士で戦わせ、勝ったものが神王になればいいと言いました。そしてそのルールが続き、今の4代目神王までそれが定着したのです。その始まりの人間こそが」

女神がそう言おうとするとピーという音がヤカンから聞こえる。

「あ、お湯が沸いたわ。さ、カップ麺カップ麺。」

と、女神は話の途中にもかかわらずカップ麺を食べに行った。

俺も食べたい。

そういえばその人間の名前ってなんでいうんだろうな。

ちょっと気になったな。

そんなことを思いながら俺は女神のカップ麺を強奪しにキッチンへと向かった。
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