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第十章、希望
#115 不殺(ころさず)の覚悟
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「……。」
ミルドは二本目の剣を受けて死んだはずだった。
アーサーが持っていた剣は偽神剣エクスカリバーと偽魔剣デスサイズ。
デスサイズは相手が油断していれば油断しているほどダメージ量が多くなる魔剣をもとにしたレプリカだ。
本物より若干威力は劣るもののそれでも威力は凄まじい。
あの覚悟のない優しさが自らの死を招いたのだ。
(死んだのか?)
アーサーは壁の向こう側を覗き込む。
吹き飛ばされたミルドは地面に力無く倒れていた。
はずだった。
ミルドは持っていた亡き者の聖剣と失われた聖剣が融合し一本の神剣エクスカリバーを構え、輝く光の壁を張っていた。
「おめでとう、無事エクストラスキルを手に入れたんだね。でも試練はここで終わりじゃない、わかってるね?」
「分かってます。ただ今の私は……。」
ミルドは一本となった剣を構えゆっくりとアーサーに近づいていく。
「容赦はありませんよ。」
冷たい目のミルドに戦闘欲がくすぐられる。
「いいぜいいぜ!!それでこそ選ばれたキャラクターだな!!」
再び剣と剣がぶつかり合う。
たださっきとは違いミルドが一方的に受けるのではなく、むしろミルドが攻めている。
ミルドが手に入れたエクストラスキルは【神剣術】。
二つの聖剣が融合し、神剣となったことが引き金となり入手した。
発動条件は神剣エクスカリバーを手に持っていると自動で発動し、神剣をまるで自分の手足のように扱うことができる。
そしてアーサーが持っているのは偽神剣。
かつて神剣を使っていたとはいえ力の差は五分五分。
一歩も揺るがない攻防戦が繰り広げられる。
しかしその一瞬に隙ができた。
その一瞬をアーサーは見逃さず、デスサイズをミルドの懐目掛けてなぎ払う。
ミルドは一瞬焦るがすぐに冷静になる。
「『聖壁』!!」
ミルドがそう叫ぶと先ほどと同じような輝く光の壁が現れ、デスサイズを跳ね返した。
アーサーはデスサイズごと弾かれ少し怯む。
「終わりです。」
その一瞬の隙を逃さず剣を振り下ろす。
聖属性を纏った剣はアーサーに直撃し、アーサーは力無く倒れた。
倒れ込んだアーサーにミルドは剣を突きつける。
「これで私の勝ちですね。」
「……ルールを忘れたか?俺はまだ死んでないぞ。」
「でも私の勝ちは勝ちですよね。」
「だからどちらかが死ぬまでって」
「「私は確かにあのとき覚悟を決めたと言いました。でもそれは別にあなたを殺す覚悟を決めたんじゃないんですよ。」
ミルドは突きつけていた剣を放しさやに収める。
「私は相手を殺さずに勝利するという覚悟を決めただけですよ。」
骨だけの顔がにこりと笑う。
アーサーは呆れたように笑い返す。
「確かに俺はもう動けない、お前の勝ちだ。よって《剣帝の試練》合格とする。そして俺自ら《剣帝》の二つ名を与える。」
アーサーがそういうとアーサーの体が徐々に光の粒子となって天へと昇っていく。
「それじゃあ俺は神さんに伝えに行ってくるよ、それじゃあな7代目。いや、ミルド。お前はお前の覚悟を持って俺を倒した、その覚悟は弱さからの甘さじゃなくて強さからの優しさだ。その生き方に誇りを持って生きていけ。」
アーサーはほろほろと粒子となり天へと昇っていく。
「これにて試練の主初代剣聖アーサーによる剣聖の試練を合格とする。」
ミルドが少し目を閉じてもう一度開くとそこはダンジョンの外だった。
「ありがとうございますアーサーさん。」
ミルドはダンジョンのほうに感謝を伝え、グラトニーが寝ている城へと帰っていった。
《剣帝》ミルド、《剣帝の試練》クリア
ミルドは二本目の剣を受けて死んだはずだった。
アーサーが持っていた剣は偽神剣エクスカリバーと偽魔剣デスサイズ。
デスサイズは相手が油断していれば油断しているほどダメージ量が多くなる魔剣をもとにしたレプリカだ。
本物より若干威力は劣るもののそれでも威力は凄まじい。
あの覚悟のない優しさが自らの死を招いたのだ。
(死んだのか?)
アーサーは壁の向こう側を覗き込む。
吹き飛ばされたミルドは地面に力無く倒れていた。
はずだった。
ミルドは持っていた亡き者の聖剣と失われた聖剣が融合し一本の神剣エクスカリバーを構え、輝く光の壁を張っていた。
「おめでとう、無事エクストラスキルを手に入れたんだね。でも試練はここで終わりじゃない、わかってるね?」
「分かってます。ただ今の私は……。」
ミルドは一本となった剣を構えゆっくりとアーサーに近づいていく。
「容赦はありませんよ。」
冷たい目のミルドに戦闘欲がくすぐられる。
「いいぜいいぜ!!それでこそ選ばれたキャラクターだな!!」
再び剣と剣がぶつかり合う。
たださっきとは違いミルドが一方的に受けるのではなく、むしろミルドが攻めている。
ミルドが手に入れたエクストラスキルは【神剣術】。
二つの聖剣が融合し、神剣となったことが引き金となり入手した。
発動条件は神剣エクスカリバーを手に持っていると自動で発動し、神剣をまるで自分の手足のように扱うことができる。
そしてアーサーが持っているのは偽神剣。
かつて神剣を使っていたとはいえ力の差は五分五分。
一歩も揺るがない攻防戦が繰り広げられる。
しかしその一瞬に隙ができた。
その一瞬をアーサーは見逃さず、デスサイズをミルドの懐目掛けてなぎ払う。
ミルドは一瞬焦るがすぐに冷静になる。
「『聖壁』!!」
ミルドがそう叫ぶと先ほどと同じような輝く光の壁が現れ、デスサイズを跳ね返した。
アーサーはデスサイズごと弾かれ少し怯む。
「終わりです。」
その一瞬の隙を逃さず剣を振り下ろす。
聖属性を纏った剣はアーサーに直撃し、アーサーは力無く倒れた。
倒れ込んだアーサーにミルドは剣を突きつける。
「これで私の勝ちですね。」
「……ルールを忘れたか?俺はまだ死んでないぞ。」
「でも私の勝ちは勝ちですよね。」
「だからどちらかが死ぬまでって」
「「私は確かにあのとき覚悟を決めたと言いました。でもそれは別にあなたを殺す覚悟を決めたんじゃないんですよ。」
ミルドは突きつけていた剣を放しさやに収める。
「私は相手を殺さずに勝利するという覚悟を決めただけですよ。」
骨だけの顔がにこりと笑う。
アーサーは呆れたように笑い返す。
「確かに俺はもう動けない、お前の勝ちだ。よって《剣帝の試練》合格とする。そして俺自ら《剣帝》の二つ名を与える。」
アーサーがそういうとアーサーの体が徐々に光の粒子となって天へと昇っていく。
「それじゃあ俺は神さんに伝えに行ってくるよ、それじゃあな7代目。いや、ミルド。お前はお前の覚悟を持って俺を倒した、その覚悟は弱さからの甘さじゃなくて強さからの優しさだ。その生き方に誇りを持って生きていけ。」
アーサーはほろほろと粒子となり天へと昇っていく。
「これにて試練の主初代剣聖アーサーによる剣聖の試練を合格とする。」
ミルドが少し目を閉じてもう一度開くとそこはダンジョンの外だった。
「ありがとうございますアーサーさん。」
ミルドはダンジョンのほうに感謝を伝え、グラトニーが寝ている城へと帰っていった。
《剣帝》ミルド、《剣帝の試練》クリア
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