世界のためなら何度でも

つぼっち

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七つのエンディング

Eルート

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決めた。

「初代のところ行くか……。」

正直乗り気じゃない。

でもそれ以外の方法が見つからないから仕方ないか。

俺は転移魔術にアレイスターからもらった座標を打ち込み転移した。




初代神王の理想郷【アヴァロン】


シュイン


俺が目を開けると一軒の小さな家の玄関前にたどり着いた。

思ったより民家って感じだ。

ユイの神殿とはえらく違う。

少しあたりを見渡すとポストと同じ柱にインターホンがついていた。

「こんなとこに神の王、それも初代が住んでるってほんとかよ。」

半ば信じ難いが俺はインターホンを押す。


ピンポーン♫


『今いきまーす。』

普通のインターホンの音とともに家からドタバタと音が聞こえた。

すると家の向こうから俺に少しだけ似た若めの男がハンコを持ってガチャリと扉を開けた。

「あ、あれ?宅配便じゃなかったか。妻が留守番の間のこの時間帯に頼んどいたエロゲが届くはずなんだけど。」

目の前の俺を無視して独り言を呟く初代。

「なぁ。」

俺が声をかけると初代はビクッとこっちを向いた。

「聖夜じゃないか!!どうしたこんなところまで来て、家入るか?今冬で寒いだろうから床暖房とコタツのスイッチオンにしとくから。」

そう言って初代は俺の手を引いて家の中に連れ込んだ。



俺は初代の家にいる。

初めて会うはず、初めてこの場所に来たはずなのにどこか懐かしい雰囲気だ。

俺は少し大きめのサイズのコタツに入った。

正直人間を辞めてから暑さとか寒さとか感じなくなったのだがとても暖かい気がした。

初代もコタツに入りみかんを剥いてくれる。

「いや和んでる場合じゃねぇ!!」

俺はハッとしてコタツから抜け出す。

「なんだ、みかん苦手か。花粉症も近いしりんご食べるか?」

「いやそういうことじゃないし。てかなんで俺が花粉症なの知ってるんだよ!!」

「知ってるに決まってるだろ。私はお前の父親なんだから。」

「…………ん?父親?」

「知らなかったのか?神王一家はみんなこの私、ゼルディアと妻の子供達だよ。」

「じ、じゃぁお前は自分の子供達を殺しまくる仕組みにしてたのかよ!!」

「?何を言って」

「とうちゃーん。お肉買ってきたよ。」

ドアがガチャリと開き、外から俺によく似た男が入ってくる。

そしてよくわからない言語が書かれたビニール袋から何かの肉のパックを取り出す。

「エンゼル、お使いご苦労様。」

「誰だ?」

「なんだ知らないのか。この子は聖夜双子の兄の神成天夜だぞ。」

「て、天夜だと!?」

天夜とは確か五代目神王の正当な主人公の名前だと四代目神王ゼルディア=イェーガーこと神成狩夜から聞いたぞ。

「なんで死んでないんだ?」

「何を勘違いしてるんだ。…………あ、イェーガーの仕業だな。あいつ弟をからかうためにわざと変なこと吹き込んだな。」

初代は誤解を解くためと俺に世界の真実の全てを説明し始めた。








この大いなる空間で最初に生まれたのは初代神王。

そこから初代は10個程度の世界を作ったがそこで新たな生命体が誕生した。

その生命体は人間。

人間は知能が高く、世界を開拓してくれるので初代神王は10個の世界全てに人間を配置した。

しかし初代はとある人間の女性に恋をしてしまった。

女の名前は神成優夜。

ゼルディアはその女と結婚した。

ここで問題が起こった。

以前は働き者だったゼルディアは結婚をきっかけに妻との時間を大切にした結果、神王の仕事を放り出してしまっていたのだ。

大いなる空間内の世界が100個ほどになると神王なしで世界を統治するのが難しくなってくる。

そこで後から作られた創造神と破壊神は困り果て、新しい神王でもいいから仕事してくれる人を立ててくれと急かしました。

そこで初代と優夜は沢山の子供を産み、それぞれ違う世界で条件を出して一番最初に条件を達成した子供を二代目神王にすると言ったのだ。

しかし強大すぎる神王の力を引く子供が二人以上いるとそれこそ大いなる空間の均衡が崩れてしまい、全てが崩壊してしまう。

そこでやむおえなく破壊神の力で二代目以外の子供達を殺すことになった。

初代も優夜も猛反対したが大いなる空間が崩壊することと天秤にかけ、仕方なくそうしたのだ。

こうして二代目神王が誕生すると同時に均衡を守るため、二代目の肩入れを防ぐために二代目神王の選定に使われた世界は全て消去されることになった。




「な!?この世界ごとを削ってどういうことですか!!」

「言ったまんまだ。お前が世界に肩入れしないため、他の兄弟とともに世界を抹消する。もちろんお前が育った世界もだ。」

「そんな!!アレイスターはどうなるんですか!?」

「抹消だ。覚悟を決めろ。」

「嫌です!!愛する人、それに血の繋がった兄弟達を殺すなんてできません!!」

「…………そうか。」

初代神王はため息をついたあと、緑髪の少年に剣を向けた。

「なら私自らが全てを消し去ってやる。」

剣先から光がほとばしる。

まずい、殺される!!

だが緑髪の少年は動けなかった。

光が緑髪の少年に命中する。

と思ったが緑髪の少年は愛夜に蹴り飛ばされて攻撃に当たらなかった。

「逃げて!!」

アレイスターは無我夢中で走り出す。

「これはお前のためなんだ。なのになぜ邪魔をする!!」

「私のためって、そんなの私望んでない!!」

「……。」

どうしてわかってくれないんだ。

こうしないと世界が崩壊してしまう。

でも大切な人を失う辛さはわかる。

「ぐぅ!!」

やむおえない、手っ取り早く世界を抹消しなければ!!

初代は力を使い、世界を消去した。

世界を構築していたもの、人間、大気、全てが瞬きをするまもなく消えた。

後に残ったのは初代神王と二代目、神成愛夜だけだった。

「あ、あはは。」

途方に暮れていた愛夜は突然狂った様に笑い出した。

「……、こんなの絶対に間違ってる。」

愛夜は自分の首に剣を突き立てる。

「アイザック、何を!?」

「間違ったやり方で神になっても私、嬉しくない。それにアレイスターがいない世界で私が生きる意味なんてない!!」

ズブズブと剣を首に刺し、一気に引き抜いた。

血が溢れ出す。

べちゃりと血の上に倒れ込む。

「私の死を無駄にしないでね、父さん。」







「あの時の血のついた顔は今でも忘れられない。だからアイザックの死を無駄にしないために三代目以降の候補は二人だけにしたんだ。二人なら問題ないらしいからね。」

「なるほどな、アレイスターが次元転移した後だからアレイスターは殺されたって勘違いしてたのか。」

俄にわかには信じられないが納得がいってしまう。

唐突に父、ゼルディアがみかんの筋を向きながら口を開く。

「それで、聖夜は何をしにここにきたんだい?玄関でとても張り詰めた顔をしていたが。」

…………。

「俺は、元の世界に帰りたい。」

「元の世界?」

「父ちゃん知らないの?聖夜のいた世界今あの緑のイレギュラーのせいで並行世界が生まれちゃったんだよ。」


グチャッ


ゼルディアはみかんを握りつぶした。

「……、それは時間が過去に戻ったってことかい?」

「うん。なんか戻っちゃってる。」

静かに怒るゼルディアと何食わぬ顔でみかんを皮ごと食べる天夜。

「待ってくれ、並行世界ができてるってどういうことだ?アレイスターが言うには並行世界は生まれず消滅するっていってたけど。」

「この騒動、もしかして逆行時計が使われてるのか?」

天夜が俺に問う。

「あぁ、そういってたな。」

そういうとゼルディアの顔がまた一層険しくなる。

「ニヒト、あのクズめ。いったいどれほど私に迷惑を掛ければ気が済むんだ!!」

家のガラスがピシッと音を立ててひび割れる。

その音でゼルディアは我に帰った様にハッとする。

「ゴホン。おそらく並行世界が生まれたのは逆行時計のネジの緩みが原因だ。どこかの誰かが針をいじったんだろう。とにかく聖夜は元の世界に戻りたいんだね?」

俺は静かに頷く。

「並行世界が生まれたなら対処は簡単だ。二つある世界の時間が戻った方を消して時間が戻らなかった世界線に聖夜を『生き返らせる』んだ。」

「も、戻れるのか!?」

よかった!!

やっぱりここにきて正解だった!!

「ただしそれをした場合大いなる空間は崩壊する。大いなる空間は繊細だからね、だから聖夜の神としての力を薄めるための『試練』を受けなければならない。それでもやるかい?」

「ちなみにその『試練』の内容はどんなのなんだ?」

「聖夜、君が仲間達と暮らしていたあの世界。それと同じような世界でポイントを稼いでもらう。」

なんだそれだけか。

そんなのなら簡単にこなせるに決まっている。

「その数1000。聖夜、君が元の世界に帰るには1000の世界でポイントを獲得していくことだ。しかも元の世界の時間は通常通り経過していく、つまり1000の世界を攻略するのに手間取っているともしかしたら世界が破滅しているかもしれない。それでもやるかい?」

「せ、千……。」

その莫大な数字に思わず声が漏れる。

俺が神王になるために歩んできた100数十年。

それを1000回も繰り返すのかよ。

道中死ぬかもしれない。

それ以上に今まで殺してきた生物×1000の命を奪うことになる。

「本来ポイントとは命の重さを数値化したもの。世界を消すのは簡単なんだけど聖夜を『生き返らせた』時に大いなる空間の最大ポイントが溢れてしまうんだ。それを溢れさせないようにするために聖夜の命の重さ分大いなる空間から命を排除しなければいけないんだ。」

「排除って……。」

「聖夜、初代神王として断言できる。この試練はやるだけ無駄だ、できるわけない量なんだ。そんなできるかもわからないことなんてやめて私たちと暮らそう。ここなら何不自由ない暮らしができるし五代目神王の仕事もしばらくはイェーガーにやってもらおう。元の世界のこともゆっくり忘れるさ。」

ゼルディアが手を差し伸べる。

俺は…………、




【終末の選択】
ここまで到達おめでとう!!
前回と同じように目次ボタンを使ってどれかのルートを選んでください。
もし望まない終末をえらん目次ボタンを押せば一時的に聖夜の時を戻す力を支えるようになりますので別のルートを選ぶことも可能ですので最初は好きな方をお選びください。
エンドを選んだ場合、終末が決定します。
ルートを選んだ場合、絶望が続きます。
それでは皆さん良い終末を。
【選択】
ゼルディア達と神の理想郷で暮らす→Fエンド

無謀な『試練』に望む→Gエンド







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




作中で書かれていませんが理想郷の住人になった人間は初代神王であるゼルディアから『神名』を授けられます。

《二代目神王》神成愛夜→ゼルディア=アイザック
《三代目神王》神成友夜→ゼルディア=フレンダ
《四代目神王》神成狩夜→ゼルディア=イェーガー
《五代目候補》神成天夜→ゼルディア=エンゼル

という感じです。
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