世界のためなら何度でも

第五章、【灰色の知恵】と【黒の理解】ラジエル＆ザフキエル

D-28 最終手段

ラジエルは撃たれた弾を自力で摘出する。



弾丸が入った体からは血がドバドバと出ている。



「まさかこのわたしがここまで愚弄されるとは……。」



少し冷静さを取り戻したラジエルはプルプルと怒りを堪えている。



「ラジエル、もうあれをやるしかないぞ。」



「致し方ない。」



ラジエルはザフキエルの肩に手を置く。



「……やっぱりやめ」



「やめないぞ、これは神の命令だ。こいつを命を捨ててでも殺してこいって命令だ。まさか神を裏切れっていうのか？」



「……………。」



「また会えるさ。」



ザフキエルはそう言い残して自分の腹にラジエルの剣を突き刺す。



するとザフキエルはざらざらと大量の金貨となり、消えていった。





「生命反応が消えた。つまりこれはザフキエルが死んだということだ。」



ラジエルは金貨となったザフキエルを掬い上げる。



「神がなぜ貴様ら如きにこんなにも本気になるのか見当もつかん。しかしこれだけは言える、貴様らはわたしから大事な友を奪ったのだ。」



金貨はラジエルの手から溢れ出す。



「あいつが死んでも何年か経てばまた別の天使が【王天使】ザフキエルとなる、それはわたしも先日死んだメタトロンも例外ではない。しかしその天使は元のザフキエルではない、交代制なのだ王天使は。」



ラジエルは金貨を握りしめる。



すると握りしめた金貨はグツグツカタカタと揺れ始めた。



ラジエルは最初に作ったドーム状の結界に魔力を込める。



すると結界が一気に収縮し、天之川とアレイスターはラジエルと金貨のすぐそばまで引き寄せられてしまった。



「わたしにはこのくらいの力しかない。しかしこれでいい、神の命令に従えるならな。」



ラジエルがそう言うとザフキエルだった金貨は全て大量の爆弾に変化した。



「さらばだ矮小な人間ゴミクズ共。」



「まっ







ブォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ！！！！！！！！！！！！！





光に送れて音が結界からはみ出る。



ラジエルの自らを巻き込んだ爆発によって硬い結界は破裂し結界の外にいた聖夜でさえ爆風に煽られた。





「二人とも……、大丈夫か！！」



爆風が巻き起こした埃が完全に消える。



火薬の匂いが鼻をつく。



二人を探すため聖夜はあたりを歩き回ってみた。



たしかにすごい爆風だったがあの二人が死ぬはずはない。



だって俺と肩を並べるほど強いんだぜ。



天之川は時間止めれるしアレイスターも超強い魔術いっぱい使えるんだ。



死んでるはずない、ぜったいに。





















ぐちゃり。



台所に落とした肉をスリッパで踏んでしまった時のような生々しい音がした。







違う何かの間違いだ。



そう思って地面を見る。



そこには薬指にアレイスターがつけていた婚約指輪の左腕が転がっていた。