世界のためなら何度でも

つぼっち

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第六章、荒れる神ビーカ

D-62 荒れる神

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『見せてやろう、我の時間干渉能力を!!』



途端に目の前からビーカが消えた。



器はその場に残っているが端が少し濡れていた。



『これがまず一つ、そして二つ目。』



その瞬間、天之川は真理を見た。



「!?」



真理、というのは定かではないのかもしれないが言葉では言い表せないような何かを見たのだ。



周りの時間がゆっくりに感じる。



自分の時間の速さと周りの時間の遅さで時差が生じ、頭が何を取り込んでいいのかをわからずにただただぼーっとすることしかできなくなった。



『これが我の能力だ。』



ビーカの声が聞こえたところで真理は頭から離れていった。



能力が解除されたのだろう。



この能力は…………、



「時間を加速させたのか。」



『そう。我の力は自分、又は他者の時間を加速させることができる【時間早送】。我は液体ゆえ時間が加速中にも脳は回転するが人間なら思考が止まる。そして翔の時間停止までの十秒間は体感で約100倍の1000秒(約16分)にもなる。』



「これは……まずいな。」



『さぁ加速を始めるぞ。』



天之川の時間が徐々に加速して行く。



周りの時間が遅くなって行くが脳が耐えきれず目はぼやけ、耳が聞こえにくくなる。



『黒白魔術カオスマジック』



掠れたビーカの声が聞こえる。



すると全身に焼けるような痛みがやってきた。



「うぐあっ!!!!」



死にたくなるような痛みに天之川はもがき苦しむ。



寝てる時に足がつった時、タンスに指をぶつけた時、画鋲を踏んだ時なんか比べ物にならない痛みが全身に響く。



「こうなると……思ってた!!」



天之川は痛みに耐えながらポーチから注射を取り出す。



そして、



「ぬあぁっ!!!」



自分の左腕に突き刺した。



そのまま中の液体を注入し、全身に流し込む。



「はぁ、はぁ。持ってきてよかった鎮痛剤。」



『な!?我の魔術が鎮痛剤如きに!!!』



この鎮痛剤は純度を上がるために麻薬やその他違法で危険な薬を混ぜ合わせた天之川の最大級の発明品。



使うといっときは幸福感や満足感、そして鎮痛効果があるが10分もしないうちに体が硬直し、全く動けなくなる危険な薬物だ。



「10分も有れば十分じゅうぶんさ、神器ミャミャシャン!!」



天之川の両手に巨大なガトリングガンが出現する。



「『時よ止まれ』!!」



事前に詠唱していた時間停止の準備が完了し、時が止まる。



時の加速が止まったことで視力も回復した。



「さて、蹂躙の時間だ。」



天之川がガトリングガンのエンジンをふかすとバレルが回転を始める。



そのまま銃身をビーカがすっぽりと収まった器に突きつける。





カチッ





トリガーを引くと回転したバレルから毎秒六十発の弾丸がビーカに打ち込まれる。



弾丸は神器ではないので止まった時間に固定されるがガトリングガンは容赦なく弾を打ち込む。



弾丸の雨は20分にも渡った。



「『時よ戻れ』。」



ビーカから離れたところで時間停止を解除すると弾丸同士がぶつかり合い、ビーカは叫ぶ声もないまま炸裂した。



天之川は水溜りサイズになったビーカの中に小さな宝石が出てくる。



その宝石を天之川特性のカプセルに封印する。



「荒れる神よ、ゆっくりここで眠ってくれ。」







【荒神】ビーカ(ウリエル)、封印完了



残る神二体
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