世界のためなら何度でも

終焉の章、絶望の権化・【終焉竜】オルクジャナス

D-77 終わりなき戦いの終わり

終焉竜は困惑していた。



どんな星も跡形もなく消してきたこの【【有限である命を滅ぼす一粒の無の雫】】をくらっているくせに存在するこの星の強さに。



そしてさらに驚くべきことは星を消す威力の攻撃を受けてなお立ち上がる生物が存在したことだ。



「さて、戦おうぜ終焉竜。」



聖夜は神器ゴグラマグラを構えている。



「いくぞ！！！！」



聖夜は目にも止まらぬ速さでオルクジャナスに近づき水晶に攻撃する。



「ぎゃぉぉぉぉぉ！！！！！？？？？？」



「お、なんだ。初めて痛みを感じたのか？あぁ！？」



終焉竜ははじめての痛みに戸惑いつつも順応し、体制を立て直す。



「やっぱりその水晶が弱点か。」



オルクジャナスの水晶が紫から赤色に変わる。



「させねぇよ！！！！」



聖夜はアレイスターの神器、ラチョミーを水晶にぶっ刺す。



すると麻酔なしで虫歯を削られた子供のように終焉竜は鳴き叫ぶ。



「ぐるぁぁぁぁぁぁぁぁぎゃぅぁぁぁぁぁ！！！！！！！！！！！！」



そしてドリルで水晶がある程度削られると水晶にヒビが入った。



終焉竜はさらに怒り、聖夜を確実に殺そうとブレスを吐く。



「おっとそうはさせないぜ。」



聖夜が手にしたのは天之川の神器ミャミャシャンだ。



ガトリングの弾が終焉竜の目元で大量に爆発し、目が見えづらくなった終焉竜はパニックになって足を滑らせ腹を地についてしまった。



その隙を待っていた聖夜はゴグラマグラのエンジンを全開に吹かせ、水晶に走っていく。



ブォンブォンとけたたましい轟音をあげるその様は終焉竜にとってまさに絶望の足音そのものだ。



「なんで自分が負けてるのかわけわかってねぇだろうから教えてやるよ。これはなぁ、漫画とか小説のお決まりの【絆の力】だぁぁぁぁあ！！！！！！！！！！」



ゴグラマグラが水晶にガチンとぶつかる。



すると水晶のヒビが完全に亀裂となり、バキリと音を立てて折れた。



折れた水晶は輝きを失い、黒い石に変化した。



水晶をおられた終焉竜はのたうちまわり、動かなくなった。



「せ、聖夜君？」



ナニモナイセカイからアレイスターが顔を出す。



「まだ終わってない。」



「え？」



聖夜がそういうと終焉竜は目をカッと見開き起き上がった。



終焉竜は怒りで我を忘れ完全に理性を失っている。



「……頃合いか。」



聖夜は終焉竜にゆっくりと近づく。



「聖夜君危険だ！！早く離れて！！！！」



「…………。」



聖夜は止まらない。



そして暴れ狂う終焉竜の背に飛び乗った。



「アレイスター、天之川が目を覚ましたら伝えといてくれ。お前たちとの旅は本当に楽しかったって。」



「……聖夜君？何を言ってるんです？」



「俺はこいつを自分と共に封印する。だからしばらくお別れだ。じゃあな。」



「聖夜君待っ！！！！！」



聖夜を背に乗せた終焉竜はとてつもない光を放った。



「うわっ！！」



光で思わず目を閉じてしまうアレイスター。



次に目を開けた時には聖夜も終焉竜も消えていた。



残ったのはナニモナイセカイが解除されて出てきた天之川と終焉竜によって焼け野原となったこの世界、そしていつか聖夜に渡していたアレイスターの指輪と共に落ちていた手紙だけだった。