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しおりを挟む結局、うちの使えない男たちの代わりに女性陣でバルサンをセットした。
ちなみに、家の中はと言うと…。
「如何にも放置された家って感じだね。」
「なんかオバケ出てきそうで怖い…。」
でも、思ったより平気そうな感じもする
なんかもっと色々腐食しちゃっててダメになってると思ってたけど、そんなことも無い。
例えるなら、学校とか病院のあまり使われてない部屋みたいな、ホコリはすごいけどカビだらけだったり、床に穴が空いてたりではないみたいな。
家具も大体揃ってるし、使えなさそうな奴だけ買い替えちゃえばなんとかなる。
「あれ、シンクもそれなりに綺麗…。」
放置された家って、水道を使わないせいで配管もダメになってる場合が多いから、すごい悪臭がするって聞いたけど…。
「もしかして、ゆいも来る前に調べた?」
「え?」
「放置された空き家がどうなるかって。」
「うん、調べた。ハルもやっぱそうなんだね。」
家に入ってからハルもポイントをチェックしてたからそうかもなとは思ってた。
まあとにかく、一通り見た感じ特に不備は無いと思う。
「セナ~!とりあえず焚いてきたよー!」
「お、サンキュー」
ひと仕事終え外に出てくると、それこそバルサンなんかよりも有害そうな煙をバコバコ吸い倒してる2人がヘラヘラ立ってた。
「で、これからどうすんの?」
「んー、まあ、焚き終わるまで何も出来ないからな…。どっか飯食い行くか。」
「おれパーキングで買った食い物食ったから腹減ってねえな」
レンに同じくわたしもそこまで…。
「あー?じゃあどうすっかなー。」
「そんなことよりさ!布団は!全員分あるの?」
確かに
「え?今日はホテルだよ」
「え、家あるのに?」
「まだ綺麗にしてないから寝れないだろ。もうちゃんと予約もしてあるから。」
なんだか…。
「ちゃんとし過ぎててセナじゃないみたい。」
「なんだよそれ」
頼りになるんだかならないんだかよく分からない奴。
「じゃー、もう先にホテル入っちゃえば?おれシャワー浴びてえし、セナも長距離走って疲れてるだろ」
鶴の一声とも言うべきか、これまた珍しくレンがまともな案を出したお陰で、いつものようなダラダラと時間だけ過ぎるって事は免れた。
不思議だけど、まともな発言をするレンに対して驚く事があっても、いつものセナっぽくは無いまともな姿を見せられても余り驚かない。
多分それは、お互いもう色々な事を知り尽くしてるからだと思う。
でも、何でだろう。
知り尽くしてるはずなのに、それを口に出して自負できる程の自信は無い。
「ちょっとまってよ……」
「え?なに?」
「どういうことなの、4人部屋って。」
ホテルに着いて、セナが受付を終えた時から違和感はあった。
「ちょっとまってて~」
そう告げひとりで受付に行き受け取ったカードキーは1枚だけだった。
「普通、男女で2部屋に分けるでしょうが!」
「しょうがねーだろ!おれいまそんなに金無いし、こっちの方が安いんだから」
「は?別に各々自分の分出すに決まってんじゃん。」
「いや、むり。」
意味わかんない。
「おれのワガママに付き合わせてんだからおれが金出すの当たり前だろ。」
こいつの優しさってやつね。
「そこまでわたし求めてないから、大体…」
「はーいそこまで!」
ハルが手をパンッと叩いて、私たちの口論を止めた。
「すぐ2人とも言い合いになるんだから!これから4人で暮らすのにギスギスしちゃダメ!」
ハルが言うほど喧嘩になってる訳じゃないんだけどな。
「おれタバコ行ってくるわ」
「あ!じゃあ私も!レンくんも行く?」
「おれはいいや。」
こういう時、自分が嫌になる。
優しさ
あいつのあいつなりの優しさを受け取れない訳じゃないのに、どうしても「どうせこいつは」と決めつけて説教をしようとしてしまう。
それこそ、周りの人たちが見てる外面のあいつのイメージだけで。
はぁとため息を付いてベッドに腰を下ろす。
そういえば……。
「………」
「ん?なんだよ。」
こいつと部屋で2人きりか…。
初めて会った時…あの夏を思い出す。
チラッとレンを見ると目が合い、気まづさを感じる。
フッと笑いレンが口を開いた。
「別になんもしねえよ、あいつら多分すぐ戻ってくるし。」
こいつ……。
「まあ、別におれは戻ってこられても構わないけど。」
「はあ?いい訳ないじゃん。そんな姿見たらハルが…。」
「お前さ、ハルがハルがって言うけど、本当に知られたくねえのはセナだろ。」
あー、めんどくさ。なんでこいつはいっつも突っかかってくんのか。
「でも、別に見られても平気だろ。ハルはおれが慰めてやりゃすぐ機嫌治るし」
うっざ
「セナもきっと大丈夫だな。あの夜のことおれ喋ったし」
「は?」
え、今なんて…。
「だから、伝えたんだって、あの時お前とヤったって。」
「お前さぁ!!」
気づいたら、レンの胸ぐらを掴んで倒していた。
「なんだよ」
レンは酷く冷たい目でわたしの顔をジッと見つめる。
「知られてなんか困ることあんの?お前とセナってなんなの?」
セナとわたし…。
「選ばしてあげる気は無いけど、あいつの特別にはなりたいってか?」
冷たい目の中に、確かな怒りが見えた。
「お前見てるとムカつくんだよ。ハルが大事?セナが心配?お前それ全部嘘じゃねえかよ。いや、嘘では無いのかもな。そこまで本気で思ってるわけじゃねえってだけか。」
「あんたに何が分かるんだよ」
「分かるよ、見てりゃわかるんだよ。ハルにはただ嫌われたくないだけ。セナには、都合のいい存在を手放したくないだけ。いい加減にしろよ。」
「あんただって!!」
「おれか?おれはそうだよ。あいつらの事は好きだけど、別にあいつらが傷つこうがどうなろうがどうでもいい。ただ、あいつらの事もお前のことも好きって気持ちだけは大事にしてる。でも、お前はどうだよ?あ?」
わたしは………。
わたしだって……。
「一生気づかねえならそれでいい。ただな、気付けねえなら手放せよ。」
そう言い残してレンも部屋を出ていった。
人との付き合い方、友達との付き合い方。
大事な物の扱い方。
わたしは、やっぱり間違ってるのかな。
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