ephemeral house -エフェメラルハウス-

れあちあ

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一人きりになった時、良い意味でも悪い意味でも自分と向き合う事が増えたと思う。

振り返る事で冷静になれるし、湧き出てくる他責も自虐も感情的にならずに受け入れられる。

レンが私に突っかかってくるのはいつもの事…は言い過ぎだけど、珍しい事ではないから慣れてはいる。

彼がそうなる時は決まって裏に何かがある。

レンの吐いた言葉通りに受け止めるんじゃなくて、その裏を見なきゃいけない。

多分だけど、あいつが私に言ってきた事は普段から抱えてる私への不満だ。

でも、何故それをいま私にぶつけてきたのかを考える必要があると思う。

いや、考えるまでもない。

自分でも何となく分かってる。

今日のわたしは、1日通して少し機嫌が悪いんだ。

自分を見つめ直してやっと気づくくらいの機嫌だけど、何をするにしてもモヤモヤした気持ちがある。

それを感じ取って、不快な思いをしてたレンが感情をぶつけてきたんだと思う。

反省しなきゃいけない。あいつが気持ちのぶつけ方を間違っていたとしても、そういう状態にしたのは私だ。

「ちゃんと切り替えて、レンにもあいつにもひと言謝らなきゃなぁ…。」

大丈夫、みんなと一緒に居れて楽しいのは事実だから。

「そうそう、お互いごめんなさいしなきゃだね」

「そうね……って、はぁ!?」

どれだけ考え込んで居たのか、いつの間にか部屋に戻ってきていたセナに全く気づかなかった。

「はいコレ、あげる。」

「あ、ありがとう。」

驚いてる私を見てケタケタ喜びながらベッドに座っている私の隣に座り、チョコを渡してきた。

「仲直りの証~」

「別に、喧嘩なんてしてないし。」

「ははっ、確かに。」

仲良しだもんねーと、おちゃらけながらわたしの太ももに頭を乗せてくる。

「そのまま寝ないでよね」

「んー?寝ないよー。ゆいちゃんの膝枕で幸せ堪能ってタイムなんだから。」

「きめー」

なんか懐かしい。

「…セナ、平気?」

「なにがー?」

「バンド」

「……別に、今までと変わんないよ。」

「そうじゃなくて」

そうじゃない、察してよ。

私の事好きなんでしょ?その好きな人とバンド仲間があの日肉体関係を持ったって聞かされたんでしょ?
今までと変わらないなんて…。

「そうじゃない…か。うん、全然なんともない。」

「でも…。」

「あれでしょ?レンとゆいちゃんの件でしょ?」

「……………」

聞かれても何も返してあげられない。

「んー、なんつーかさ」






あの日、2人残してハルちゃんとコンビニ行ってたんだよ。
ゆいちゃん寝てたからどういう状況だったのかイマイチ分かんなかったと思うけど。

あ、知ってる?あぁ、起きた時に…。なるほどね!

んで、もうその時に何となく察してたんだよねー。

あー、多分おれもハルちゃんも帰るタイミングちゃんとしないと傷つくだろうなーって。

まあ、案の定家の中入って、寝顔見た時に察してしまった訳でございますよ…。

まぁ、とにかく。元々そんな気はしてたからあいつから聞かされた時も別に何ともなかったよ。

てか!!付き合ってる訳じゃないのにおれがどうのこうの言うことじゃねーっしょ!!じゃあ付き合え!おれと付き合えー!!

…まあ、とにかくさ

ゆいちゃんはなんも気にしなくていいんだって。

ゆいちゃんだけじゃねえよ、レンも、ハルちゃんも

みんな余計なこと気にしないでさ、自分の楽しいことやって幸せに過ごせばいいんだって。

その代わり!!おれはゆいちゃんへのあつーーいピュアピュア片思いを曲にさせて頂きますから!

だからさ

もっと笑いなよ。

笑ってるゆいちゃんが1番かわいいんだから。






そう言い終わると、私に膝枕をされたまま糸が切れたようにセナは眠った。

「結局寝てんじゃん、バカ。」

何となく分かってしまった。

さっき、レンが言ってきた言葉の意味が。

レンが私に縋ってきた、彼の「助けて」が。

「あんたが居ないじゃん、セナ」

眠ってるセナの顔は、今日見た彼のどんな表情よりも1番穏やかに見えた。
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みんなの感想(1件)

ナナナ
2020.09.15 ナナナ

言葉選びがきれい‼︎

解除

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