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【第1章】物語の始まり
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「俺は、イギリス産の父と日本産の母の元で産まれた。あぁ、日本でな。」
今から約63年前、俺は産まれた。
毛皮用のキツネを繁殖させるためにイギリスから連れてこられた父アーロンは、そこで母ソフィアと出会った。
勿論、生産する為に行為に及ぶって訳だが
アーロンもソフィアも産まれてくる子供をそんな運命に晒したくなかったんだろう。
2人はそこから逃げ出したんだ。
そして、俺が産まれた。
2人と過ごす時間は、とても幸せだった。
アーロンからは、よくイギリスの話を聞いたよ。魔法使いの話を聞いたのもその時だ。
母からは、誰だかは知らないが昔、定期的に食べ物を与えてくれた女の子の話をよく聞いてた。
何にせよ、幸せだった…この時まではな。
「逃げなさい、早く!!!!」
ある時、おれは近くの神社に家族と訪れた。
丁度少し前に祭りがあったもんだから、人間たちが片付け損ねた残飯が残ってるんでね。
ただ、それが間違いだったんだ。
「父さん、みて!!蝶々が飛んでるよ!!」
「こらこら、追いかけるのはいいけど殺しちゃダメだよ?蝶々だって必死に生きてるんだ。」
アーロンは生きる為にする殺生以外は厳しかったことを今でも思い出すよ。
「アーロン、私ここ気に入ったわ!新しい住処はここでいいんじゃない?」
ふふっと穏やかに笑うソフィアの顔は、日本産なのにまるでフランスの王妃のような美しさだったよ。
「あぁ…いいかもな…………」
そんな穏やかな時間は続かなかった。
「おい!いたぞ!!」
そこで声を上げていたのは、数人の人間だった。
「はっ…!?まずい!!!ソフィア!!あの子を連れて逃げなさい!!早く!!!逃げっ………」
目の前で起こった事が現実とは思えなかった。
父さんは俺とソフィアの目の前であっという間に、血飛沫をあげて、いくつかの肉塊となっていた。
「と、父さんっ!!!」
この時アーロンの元に向かおうとしなければ
ソフィアは助かっただろう。
「ダメっ!!!逃げなさい、走るのよ、真っ直ぐに走って!!!」
穏やかに生きてきたんだ。牙の剥き方すら危ういのに、ソフィアは俺を守るために人間に立ち向かったんだ。
「痛ってぇ!!噛みつきやがった。破!!滅!!!」
何かを唱えていたよ。俺は振り返らず走っていたからその瞬間を目にすることは無かった。
すぐに、人間に捕まってガキのキツネだからって連れてかれたんだが、肉塊になったアーロンのそばに転がってるはずのソフィアの遺体は、跡形もなく消えていたよ。
奴らは、アーロンの遺体も消し去って、そのまま俺を連れ去った。
そりゃ、ショックだったよ。これ以上の悲しみは経験してない。
この時おれは、まだ2歳になった頃だった。
今から約63年前、俺は産まれた。
毛皮用のキツネを繁殖させるためにイギリスから連れてこられた父アーロンは、そこで母ソフィアと出会った。
勿論、生産する為に行為に及ぶって訳だが
アーロンもソフィアも産まれてくる子供をそんな運命に晒したくなかったんだろう。
2人はそこから逃げ出したんだ。
そして、俺が産まれた。
2人と過ごす時間は、とても幸せだった。
アーロンからは、よくイギリスの話を聞いたよ。魔法使いの話を聞いたのもその時だ。
母からは、誰だかは知らないが昔、定期的に食べ物を与えてくれた女の子の話をよく聞いてた。
何にせよ、幸せだった…この時まではな。
「逃げなさい、早く!!!!」
ある時、おれは近くの神社に家族と訪れた。
丁度少し前に祭りがあったもんだから、人間たちが片付け損ねた残飯が残ってるんでね。
ただ、それが間違いだったんだ。
「父さん、みて!!蝶々が飛んでるよ!!」
「こらこら、追いかけるのはいいけど殺しちゃダメだよ?蝶々だって必死に生きてるんだ。」
アーロンは生きる為にする殺生以外は厳しかったことを今でも思い出すよ。
「アーロン、私ここ気に入ったわ!新しい住処はここでいいんじゃない?」
ふふっと穏やかに笑うソフィアの顔は、日本産なのにまるでフランスの王妃のような美しさだったよ。
「あぁ…いいかもな…………」
そんな穏やかな時間は続かなかった。
「おい!いたぞ!!」
そこで声を上げていたのは、数人の人間だった。
「はっ…!?まずい!!!ソフィア!!あの子を連れて逃げなさい!!早く!!!逃げっ………」
目の前で起こった事が現実とは思えなかった。
父さんは俺とソフィアの目の前であっという間に、血飛沫をあげて、いくつかの肉塊となっていた。
「と、父さんっ!!!」
この時アーロンの元に向かおうとしなければ
ソフィアは助かっただろう。
「ダメっ!!!逃げなさい、走るのよ、真っ直ぐに走って!!!」
穏やかに生きてきたんだ。牙の剥き方すら危ういのに、ソフィアは俺を守るために人間に立ち向かったんだ。
「痛ってぇ!!噛みつきやがった。破!!滅!!!」
何かを唱えていたよ。俺は振り返らず走っていたからその瞬間を目にすることは無かった。
すぐに、人間に捕まってガキのキツネだからって連れてかれたんだが、肉塊になったアーロンのそばに転がってるはずのソフィアの遺体は、跡形もなく消えていたよ。
奴らは、アーロンの遺体も消し去って、そのまま俺を連れ去った。
そりゃ、ショックだったよ。これ以上の悲しみは経験してない。
この時おれは、まだ2歳になった頃だった。
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