7 / 9
【第1章】物語の始まり
6
しおりを挟む
「俺は、イギリス産の父と日本産の母の元で産まれた。あぁ、日本でな。」
今から約63年前、俺は産まれた。
毛皮用のキツネを繁殖させるためにイギリスから連れてこられた父アーロンは、そこで母ソフィアと出会った。
勿論、生産する為に行為に及ぶって訳だが
アーロンもソフィアも産まれてくる子供をそんな運命に晒したくなかったんだろう。
2人はそこから逃げ出したんだ。
そして、俺が産まれた。
2人と過ごす時間は、とても幸せだった。
アーロンからは、よくイギリスの話を聞いたよ。魔法使いの話を聞いたのもその時だ。
母からは、誰だかは知らないが昔、定期的に食べ物を与えてくれた女の子の話をよく聞いてた。
何にせよ、幸せだった…この時まではな。
「逃げなさい、早く!!!!」
ある時、おれは近くの神社に家族と訪れた。
丁度少し前に祭りがあったもんだから、人間たちが片付け損ねた残飯が残ってるんでね。
ただ、それが間違いだったんだ。
「父さん、みて!!蝶々が飛んでるよ!!」
「こらこら、追いかけるのはいいけど殺しちゃダメだよ?蝶々だって必死に生きてるんだ。」
アーロンは生きる為にする殺生以外は厳しかったことを今でも思い出すよ。
「アーロン、私ここ気に入ったわ!新しい住処はここでいいんじゃない?」
ふふっと穏やかに笑うソフィアの顔は、日本産なのにまるでフランスの王妃のような美しさだったよ。
「あぁ…いいかもな…………」
そんな穏やかな時間は続かなかった。
「おい!いたぞ!!」
そこで声を上げていたのは、数人の人間だった。
「はっ…!?まずい!!!ソフィア!!あの子を連れて逃げなさい!!早く!!!逃げっ………」
目の前で起こった事が現実とは思えなかった。
父さんは俺とソフィアの目の前であっという間に、血飛沫をあげて、いくつかの肉塊となっていた。
「と、父さんっ!!!」
この時アーロンの元に向かおうとしなければ
ソフィアは助かっただろう。
「ダメっ!!!逃げなさい、走るのよ、真っ直ぐに走って!!!」
穏やかに生きてきたんだ。牙の剥き方すら危ういのに、ソフィアは俺を守るために人間に立ち向かったんだ。
「痛ってぇ!!噛みつきやがった。破!!滅!!!」
何かを唱えていたよ。俺は振り返らず走っていたからその瞬間を目にすることは無かった。
すぐに、人間に捕まってガキのキツネだからって連れてかれたんだが、肉塊になったアーロンのそばに転がってるはずのソフィアの遺体は、跡形もなく消えていたよ。
奴らは、アーロンの遺体も消し去って、そのまま俺を連れ去った。
そりゃ、ショックだったよ。これ以上の悲しみは経験してない。
この時おれは、まだ2歳になった頃だった。
今から約63年前、俺は産まれた。
毛皮用のキツネを繁殖させるためにイギリスから連れてこられた父アーロンは、そこで母ソフィアと出会った。
勿論、生産する為に行為に及ぶって訳だが
アーロンもソフィアも産まれてくる子供をそんな運命に晒したくなかったんだろう。
2人はそこから逃げ出したんだ。
そして、俺が産まれた。
2人と過ごす時間は、とても幸せだった。
アーロンからは、よくイギリスの話を聞いたよ。魔法使いの話を聞いたのもその時だ。
母からは、誰だかは知らないが昔、定期的に食べ物を与えてくれた女の子の話をよく聞いてた。
何にせよ、幸せだった…この時まではな。
「逃げなさい、早く!!!!」
ある時、おれは近くの神社に家族と訪れた。
丁度少し前に祭りがあったもんだから、人間たちが片付け損ねた残飯が残ってるんでね。
ただ、それが間違いだったんだ。
「父さん、みて!!蝶々が飛んでるよ!!」
「こらこら、追いかけるのはいいけど殺しちゃダメだよ?蝶々だって必死に生きてるんだ。」
アーロンは生きる為にする殺生以外は厳しかったことを今でも思い出すよ。
「アーロン、私ここ気に入ったわ!新しい住処はここでいいんじゃない?」
ふふっと穏やかに笑うソフィアの顔は、日本産なのにまるでフランスの王妃のような美しさだったよ。
「あぁ…いいかもな…………」
そんな穏やかな時間は続かなかった。
「おい!いたぞ!!」
そこで声を上げていたのは、数人の人間だった。
「はっ…!?まずい!!!ソフィア!!あの子を連れて逃げなさい!!早く!!!逃げっ………」
目の前で起こった事が現実とは思えなかった。
父さんは俺とソフィアの目の前であっという間に、血飛沫をあげて、いくつかの肉塊となっていた。
「と、父さんっ!!!」
この時アーロンの元に向かおうとしなければ
ソフィアは助かっただろう。
「ダメっ!!!逃げなさい、走るのよ、真っ直ぐに走って!!!」
穏やかに生きてきたんだ。牙の剥き方すら危ういのに、ソフィアは俺を守るために人間に立ち向かったんだ。
「痛ってぇ!!噛みつきやがった。破!!滅!!!」
何かを唱えていたよ。俺は振り返らず走っていたからその瞬間を目にすることは無かった。
すぐに、人間に捕まってガキのキツネだからって連れてかれたんだが、肉塊になったアーロンのそばに転がってるはずのソフィアの遺体は、跡形もなく消えていたよ。
奴らは、アーロンの遺体も消し去って、そのまま俺を連れ去った。
そりゃ、ショックだったよ。これ以上の悲しみは経験してない。
この時おれは、まだ2歳になった頃だった。
0
あなたにおすすめの小説
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる