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3章 彼の溺愛包囲網
彼の正体
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「ん····、ふ、ぁ····」
「···っは、本当、可愛い···、好きだよアイリス。」
初めての口づけは何故だか甘い味がして、アイリスは頭がぼんやりとしてきた。何度も何度も唇を重ねて、お互いの熱を高め合う。
「んぁ、わ、たしも···、好き····っ、んぅっ!?」
頭が上手く回らない中で必死に応えていると、それまで優しく口づけを落としていたウィリアムが突然齧りつくようにアイリスに口づけた。驚いた拍子に少しだけ開いたアイリスの口腔に、ウィリアムの舌が侵入する。
「んっ、ふぁ·····っ、んぅ···っ」
思わず奥へ引っ込んだアイリスの舌を追いかけ絡め取られる。激しく貪られ、ウィリアムのものかアイリスのものか分からない唾液が溢れてアイリスの顎に垂れていく。ウィリアムはそれを親指で掬い、またアイリスの口腔に戻した。アイリスの口腔は2人の唾液で溢れていた。それを無意識の内にアイリスは嚥下した。するとまるでご褒美だと言わんばかりにウィリアムはアイリスの舌を甘噛みした後、強く吸った。
「んぁ····っ、はあ、!ん、んぅ~~···っ」
その瞬間、アイリスの背中にゾクゾクとした刺激が走った。触ってもいない秘められた中心が疼き、何かが零れそうになった。
やがて長くも短くも感じた口づけが終わり、ウィリアムが唇を離すと2人の間に銀色の糸が引いた。アイリスは快楽によって潤んだ瞳でウィリアムを見る。その扇情的な姿を見たウィリアムは、
「くそ···っ」
と少し乱暴に吐き出すと、アイリスの細い腰に手を回しぐっと引き寄せた。
「ウィル···?」
「アイリス、折角我慢していると言うのに、あまり煽らないでくれ···。君には優しくありたいのに出来なくなってしまう···。」
「我慢···?」
「私が理性も何もないただの獣同然のような男だったら、君は確実に純潔を散らされていたよ。」
酸欠気味で上手く頭が回らないアイリスは、ウィリアムの言葉を理解するのに数秒かかった。やがてその言葉を理解したアイリスは、顔を赤く染めながら視線をあちこちに泳がせた。
「わ、私そんなつもりじゃ···。」
「アイリスにその気がないのは良く分かっているよ。···でもね、男には理屈が通用しない事だってあるんだ。」
好きな女性の前では特にね、とウィリアムはアイリスの銀髪を優しく撫でながら言った。
「だから、私以外にそんな隙を見せてはいけないよ?···良いね?」
アイリスがこくん、と頷くと額に軽く口づけた。
「···ん、良い子だ。」
*****
「そろそろ帰ろうか。」
空の真上に照っていた太陽は、いつの間にか西へ傾いていた。
「もう、そんな時間···。」
想いが重なり合ったからか、アイリスは離れがたく感じていた。
「アイリス、そんな顔をしないで。それに、永遠の別れじゃないだろう?」
「····うん。」
頭では理解していても、やはり寂しいものは寂しいのだ。なおも表情の冴えないアイリスに、ウィリアムは拗ねた子供をあやすように優しく頭を撫でた。
「大丈夫、すぐに会えるよ。····すぐにね。」
来た時と同じようにアイリスを姫抱っこして運ぶウィリアム。アイリスも今度は拒まず、ウィリアムの首に腕を回して身を委ねる。その時アイリスは気付いていなかった。アイリスを抱き締めるウィリアムのその顔に、情欲を滲ませた仄暗い笑みを浮かべている事に。
*****
「ただいま戻りました。」
「····アイリス。」
ウィリアムと共に馬車に揺られ子爵邸へ戻って来たアイリスは、深刻な顔をした父に迎え入れられ浮かべていた笑みを消した。
「·····何か、あったのですか?」
「国王陛下からアイリスへ呼び出しが来た。」
「え····?」
父の言葉はにわかには信じられない事だった。国の頂点に立つ国王が、一介の子爵令嬢にすぎないアイリスに何の用があるというのか。それでも、国王からの命令に逆らえる筈もない。
「分かりました。時間は、今からですか?」
「あぁ、急がなくてもいいがなるべく早く···とのことだ。」
「直ぐに準備します。」
父の言葉にアイリスが国王へ謁見するための準備を整えようとすると、
「あぁその事なんだが、陛下に謁見する時のドレスは陛下が贈って下さった。」
「····え、国王陛下が私のドレスを····?どういう事ですか?」
そうアイリスが父に問うものの、父は困ったように笑うだけだ。何かアイリスには言えぬ事情があると悟り、アイリスはそれ以上言及せず口を閉ざした。
国王がアイリスのために贈ったドレスが入った箱を開けると、一目で上質なものと分かる深緑のドレスと大ぶりの翠玉が付いたイヤリングとネックレスが入っていた。
「まあ、とても豪華ですね!それに、アイリスお嬢様に良くお似合いになると思います!」
「本当に、素敵なドレス···。」
隣にいた侍女がはしゃぎながらそう言うドレスは、確かに今まで見たどのドレスよりも豪華でまるでアイリスの為に作られたようだった。
(それにしてもこのドレスと宝石の色···、ウィルの瞳みたい···。)
森のような色をしたドレスや宝石は深く吸い込まれそうな緑色の瞳をしたウィリアムを連想させる。
「ところで···、何故陛下は私にドレスなんて贈って下さったのかしら?」
「女性にドレスを贈るのは『それを着た貴女を脱がせたい』という意味があるらしいですよ。もしかしたらお嬢様を見初めたのかも!」
「まさか、私は陛下にお会いしたことなんてないもの。」
「そうですか···、あ!早く仕度を整えなくては陛下を待たせてしまいます!」
「あ、そうね。急ぎましょう。」
*****
急いでドレスに着替えたアイリスは父の用意した馬車に乗り、パーティー以来の道を辿っていた。
「国王陛下が私などに何のお話なのでしょう···。」
「······さあ、私も詳しくは知らされていなくてね·····。」
父は先程から口数が少なく、顔色も良くない。
「お父様、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だよ。心配をかけてすまないね。」
何を隠しているのかアイリスには分からなかったが、父の表情を見るに良い話ではないのだろう。アイリスは今すぐにでも問い質したい気持ちを抑え足早に変わっていく景色を見つめた。
やがてパーティーの時に訪れた王宮へ着いた。
「着いたようだね、アイリスここからは1人で行くんだ。」
「お父様は、一緒には行かないのですか?」
「あぁ、呼ばれたのはアイリスであって私ではないからね。」
「でも···。」
知っている人が誰もいないこの場所で1人で居るのは心細い。アイリスは食い下がるが、父は頑として首を縦には振らなかった。
「私、1人で陛下の元へ向かうなど、怖くて出来ません。何か粗相をしてしまったらと思うと···。」
「そんな、「アイリスがいくら粗相をしても怒る筈ないじゃないか。」」
父の言葉に被せるように聞き慣れた声が聞こえる。そこにいたのは、
「ウィル?どうしてここに···。」
「さっきぶりだね、アイリス。あぁ、そのドレスも良く似合っている。」
ウィリアムは先程別れた時とは違う、豪華な服を身に付けている。彼の服の所々には、アイリスの瞳のような碧石が散りばめられていた。
ウィリアムが突然現れたことに驚き、呆然としているアイリスの横で父が跪いた。
「クラッシュハイド王国国王、ウィリアム·シェリオ·ロドリアス様に御挨拶申し上げます。」
「···っは、本当、可愛い···、好きだよアイリス。」
初めての口づけは何故だか甘い味がして、アイリスは頭がぼんやりとしてきた。何度も何度も唇を重ねて、お互いの熱を高め合う。
「んぁ、わ、たしも···、好き····っ、んぅっ!?」
頭が上手く回らない中で必死に応えていると、それまで優しく口づけを落としていたウィリアムが突然齧りつくようにアイリスに口づけた。驚いた拍子に少しだけ開いたアイリスの口腔に、ウィリアムの舌が侵入する。
「んっ、ふぁ·····っ、んぅ···っ」
思わず奥へ引っ込んだアイリスの舌を追いかけ絡め取られる。激しく貪られ、ウィリアムのものかアイリスのものか分からない唾液が溢れてアイリスの顎に垂れていく。ウィリアムはそれを親指で掬い、またアイリスの口腔に戻した。アイリスの口腔は2人の唾液で溢れていた。それを無意識の内にアイリスは嚥下した。するとまるでご褒美だと言わんばかりにウィリアムはアイリスの舌を甘噛みした後、強く吸った。
「んぁ····っ、はあ、!ん、んぅ~~···っ」
その瞬間、アイリスの背中にゾクゾクとした刺激が走った。触ってもいない秘められた中心が疼き、何かが零れそうになった。
やがて長くも短くも感じた口づけが終わり、ウィリアムが唇を離すと2人の間に銀色の糸が引いた。アイリスは快楽によって潤んだ瞳でウィリアムを見る。その扇情的な姿を見たウィリアムは、
「くそ···っ」
と少し乱暴に吐き出すと、アイリスの細い腰に手を回しぐっと引き寄せた。
「ウィル···?」
「アイリス、折角我慢していると言うのに、あまり煽らないでくれ···。君には優しくありたいのに出来なくなってしまう···。」
「我慢···?」
「私が理性も何もないただの獣同然のような男だったら、君は確実に純潔を散らされていたよ。」
酸欠気味で上手く頭が回らないアイリスは、ウィリアムの言葉を理解するのに数秒かかった。やがてその言葉を理解したアイリスは、顔を赤く染めながら視線をあちこちに泳がせた。
「わ、私そんなつもりじゃ···。」
「アイリスにその気がないのは良く分かっているよ。···でもね、男には理屈が通用しない事だってあるんだ。」
好きな女性の前では特にね、とウィリアムはアイリスの銀髪を優しく撫でながら言った。
「だから、私以外にそんな隙を見せてはいけないよ?···良いね?」
アイリスがこくん、と頷くと額に軽く口づけた。
「···ん、良い子だ。」
*****
「そろそろ帰ろうか。」
空の真上に照っていた太陽は、いつの間にか西へ傾いていた。
「もう、そんな時間···。」
想いが重なり合ったからか、アイリスは離れがたく感じていた。
「アイリス、そんな顔をしないで。それに、永遠の別れじゃないだろう?」
「····うん。」
頭では理解していても、やはり寂しいものは寂しいのだ。なおも表情の冴えないアイリスに、ウィリアムは拗ねた子供をあやすように優しく頭を撫でた。
「大丈夫、すぐに会えるよ。····すぐにね。」
来た時と同じようにアイリスを姫抱っこして運ぶウィリアム。アイリスも今度は拒まず、ウィリアムの首に腕を回して身を委ねる。その時アイリスは気付いていなかった。アイリスを抱き締めるウィリアムのその顔に、情欲を滲ませた仄暗い笑みを浮かべている事に。
*****
「ただいま戻りました。」
「····アイリス。」
ウィリアムと共に馬車に揺られ子爵邸へ戻って来たアイリスは、深刻な顔をした父に迎え入れられ浮かべていた笑みを消した。
「·····何か、あったのですか?」
「国王陛下からアイリスへ呼び出しが来た。」
「え····?」
父の言葉はにわかには信じられない事だった。国の頂点に立つ国王が、一介の子爵令嬢にすぎないアイリスに何の用があるというのか。それでも、国王からの命令に逆らえる筈もない。
「分かりました。時間は、今からですか?」
「あぁ、急がなくてもいいがなるべく早く···とのことだ。」
「直ぐに準備します。」
父の言葉にアイリスが国王へ謁見するための準備を整えようとすると、
「あぁその事なんだが、陛下に謁見する時のドレスは陛下が贈って下さった。」
「····え、国王陛下が私のドレスを····?どういう事ですか?」
そうアイリスが父に問うものの、父は困ったように笑うだけだ。何かアイリスには言えぬ事情があると悟り、アイリスはそれ以上言及せず口を閉ざした。
国王がアイリスのために贈ったドレスが入った箱を開けると、一目で上質なものと分かる深緑のドレスと大ぶりの翠玉が付いたイヤリングとネックレスが入っていた。
「まあ、とても豪華ですね!それに、アイリスお嬢様に良くお似合いになると思います!」
「本当に、素敵なドレス···。」
隣にいた侍女がはしゃぎながらそう言うドレスは、確かに今まで見たどのドレスよりも豪華でまるでアイリスの為に作られたようだった。
(それにしてもこのドレスと宝石の色···、ウィルの瞳みたい···。)
森のような色をしたドレスや宝石は深く吸い込まれそうな緑色の瞳をしたウィリアムを連想させる。
「ところで···、何故陛下は私にドレスなんて贈って下さったのかしら?」
「女性にドレスを贈るのは『それを着た貴女を脱がせたい』という意味があるらしいですよ。もしかしたらお嬢様を見初めたのかも!」
「まさか、私は陛下にお会いしたことなんてないもの。」
「そうですか···、あ!早く仕度を整えなくては陛下を待たせてしまいます!」
「あ、そうね。急ぎましょう。」
*****
急いでドレスに着替えたアイリスは父の用意した馬車に乗り、パーティー以来の道を辿っていた。
「国王陛下が私などに何のお話なのでしょう···。」
「······さあ、私も詳しくは知らされていなくてね·····。」
父は先程から口数が少なく、顔色も良くない。
「お父様、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だよ。心配をかけてすまないね。」
何を隠しているのかアイリスには分からなかったが、父の表情を見るに良い話ではないのだろう。アイリスは今すぐにでも問い質したい気持ちを抑え足早に変わっていく景色を見つめた。
やがてパーティーの時に訪れた王宮へ着いた。
「着いたようだね、アイリスここからは1人で行くんだ。」
「お父様は、一緒には行かないのですか?」
「あぁ、呼ばれたのはアイリスであって私ではないからね。」
「でも···。」
知っている人が誰もいないこの場所で1人で居るのは心細い。アイリスは食い下がるが、父は頑として首を縦には振らなかった。
「私、1人で陛下の元へ向かうなど、怖くて出来ません。何か粗相をしてしまったらと思うと···。」
「そんな、「アイリスがいくら粗相をしても怒る筈ないじゃないか。」」
父の言葉に被せるように聞き慣れた声が聞こえる。そこにいたのは、
「ウィル?どうしてここに···。」
「さっきぶりだね、アイリス。あぁ、そのドレスも良く似合っている。」
ウィリアムは先程別れた時とは違う、豪華な服を身に付けている。彼の服の所々には、アイリスの瞳のような碧石が散りばめられていた。
ウィリアムが突然現れたことに驚き、呆然としているアイリスの横で父が跪いた。
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