チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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4-175.ケインとスカイと両親と

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「あれ?シア珍しいね」
「ん?」
レティの声に顔を上げると不思議そうに俺の手元を見ていた
もうすぐ出産だろうということで今は実家という名のみんなの屋敷にいる
家を出てもそのままになっている3階にある俺たちの寝室にある書斎スペースのような場所で俺は作業中だ
「それ、装飾品だよね?それも革製」
「ああ。ケインとスカイの妖精の住処を、な」
「妖精の住処って…あ、シャノンとルークが持ってるやつ?」
「そ。父さんの火、母さんの風、ケインとスカイの地の3属性を使ったやつだな」
「でもそれ6つあるよね?」
必要なのは4つじゃないのかとレティが首をかしげる
「残りの2つは俺とレティの分」
「シアと私?」
「レティは火、俺は風がメインだからちょうどいいだろ?母さんたちに何かあった時はこっちに連絡が来るように」
有事の際、父さんと母さんは揃って同じ場所に向かうはず
その時の保険みたいなものだ
「…そっか。確かに通信の魔道具より確実かも」
レティの言う通り通信の魔道具は今のところ母さんと俺しか使えないもんな
持ち歩くようなものでもないし有事の際と前提をつけるならブレスレットの方がいい

「皮で作るのには理由があるの?」
レティがそう尋ねるのは一般的な装飾品は金属や鉱石を使ったものが多いからだろう
「父さんが金属を嫌うからだな」
「そうなの?」
「ああ。だから父さんは基本的に母さんの作った装飾品しか身に着けない」
「なるほど…」
レティは父さんが身に着けていた装飾品を思い出しているようだった

「よし、これはレティの分な」
ひとつをレティに渡し、自分の手首にもひとつ着ける
「お揃いってなんかうれしいね」
「ちょっとずつ意匠は変えてるけどな。あと太さも少し変えてる」
父さんと俺は太め…と言っても5㎜幅くらいか、それより少し細くしたのが母さんとレティ、俺の半分くらいの太さにしたのがケインとスカイの分だ
ケインとスカイは成長に合わせてどこかのタイミングで作り直すことも視野に入れている

「今から持っていくの?」
「そのつもりだけどレティはどうする?」
俺の視線はレティの大きくなった腹
疲れてるならここでゆっくりしててもいいかと思って聞いてみると首を横に振る
「一緒に行くよ。2人が喜ぶ顔も見たいし」
「そか。なら行くか」
レティを促して部屋を出る
妊娠期間が短いとはいえ、レティを支えながら階段を降りるのもさすがに慣れた
そういえば…とふと思う
父親になる自覚が持てるか心配だったけど杞憂だった
日々強くなっていく魔力を感じるせいか育っているという実感が嫌でもあるからだろうか
しかもその魔力は何かを訴えるかのように俺にまとわりついてくる

「レティはこっちで待ってろ。呼んでくるから」
「わかった」
2階のファミリールームの前でいったん分かれて俺は下まで降りる
「ケイン、スカイ」
「「なに?」」
庭で遊んでいた2人声をかけるとすぐにそばまでやってくる
「渡したいものがあるからファミリールームな」
「渡したいもの?」
「わかった!」
2人の顔に浮かぶのは期待
頷くなりすぐに2階に向かっていく
いつもながらに素直なことだ

「父さんと母さんもいい?」
「別に構わないが珍しいな」
父さんが少し警戒をにじませる
「そんな顔しなくてもいいだろ?悪いことじゃないから」
「お前のは悪いことじゃなくても驚くことが多いんだよ」
父さんはそう言いながら母さんを促し一緒に向かってくれる
カルムさん一家が旅行中だから母さんはメリッサさんに声をかけてからだけど
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