チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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5-178.誕生

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マリクが駆け込んできた日から5日、俺もレティもいつ産気づいてもいいように準備はしていた
母さんとナターシャさんも必ずどっちかは家にいて気にかけてくれている
ロイさん達のいりびたる頻度も増えてきたころレティがうめき声をあげた
「レティ?」
苦しそうに俺にしがみつくレティを抱きしめる
「シア、レティシアナを部屋に」
「わかった」
母さんに言われてすぐ俺はレティを抱き上げる
リビングを出ようとした背後で母さんがスカイに発煙筒を手渡しているのが見えた
緑の発煙筒はこの家の者しか使わない
出産をお控えている時は医者を呼べという合図でもある

「シア…」
「大丈夫だ。俺もみんなもそばにいる」
「ん…」
不安げなレティになるべく平気な顔を向けてゆっくり話す
俺まで取り乱すわけにはいかないから
部屋のベッドにおろすと少し安どした表情になる
これからどれくらいの時間で生まれてくるかはわからない
その間俺ができるのはこの部屋の外で祈ることだけなんだよな…
本当情けなくなる

「シアは…」
「ん?」
「男の子と女の子、どっちがいい?」
時々顔をしかめながら言うあたり気を紛らわせようとしてるんだろうか?
「どっちでもいい。レティに似てたら最高だけど」
そんな女の子が生まれたら溺愛する自信がある
それこそ父さんたちのシャノンのように
これまでなんとなく理解してるつもりではあったけど、今になって初めてそれを本能で理解していた
シャノンを叱るのが心底嫌だと言ってた父さんの気持ちが今ならわかる
レティそっくりな娘なんて俺だってしかれるかわからない
それじゃだめだとわかってても理屈じゃないんだよな。多分

「私は、シアに似た子かいいな」
「俺に似たら落ち着く暇がなくなるぞ?」
「それは…どうしようか…」
規格外だとさんざん言われ続けてきたこれまでを考えれば簡単に問題ないとは言えないだろう
それでも困るとは言わない当たりレティだよな
「ま、どんな子だとしても大切に育てるだけだけどな」
「ん…そうだね」
俺たちがそんな風にこれから生まれてくる子に思いをはせていると下が少しずつ騒がしくなってきた
そして医者という名の産婆が到着して30分ほどした頃、レティの陣痛が始まった

「さぁ、男どもは出ていきなさい」
産婆の言葉に俺含め追い出されるのはいつものこと
流石にもうなんでだよと食って掛かることもない
「すぐに出てくるか、時間がかかるかはわからんがとりあえず下に行くぞ」
父さんに促されて階段を降りる
その前に妖精にレティを見守るようお願いした
何か異変があれば真っ先に知らせてくれるはずだし、多分多少の回復もしてくれるはず

「え…っと?」
リビングに戻って俺は呆然と立ち尽くす
そこには大勢の冒険者
入りきらないのは庭に出てるのか?
外でちびの相手をしてくれてるのも見て取れる

「いよいよだなシア」
「ロイさん…なんで」
「緑の発煙筒」
「え?」
「それが合図だって聞いてたからな。これでも半分くらいだぞ?」
「半分?これで?」
「ああ。回復系と体術系がここにいる。他はこの家の周りでサラサから教えてもらった薬草採取」
「それはまた…」
ただ待つだけより効率的ではある
でもこの人たちのランクを考えればかなり地味

「ちなみに教えてもらったのは料理に使えるタイプのやつな」
「あぁ、なるほど」
一般人よりエンゲル係数の高い冒険者に取ったら食はある意味死活問題だ
母さんが色々広めて底上げされたとはいえ、元のレベルが低すぎたもんな
「俺たちでさえ臭い肉には戻れない」
その言葉に思わず笑ってしまった
同時に今までかなり気持ちが張り詰めていたことに気づいた
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