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閑話7 ブラコン?(side:シャノン)
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「さて、まずは…」
シアのテントに入った私は意識を失ったままの女性を見た
「凄くきれいな人」
それが私の第一印象だった
お母さんもきれいだと思うけど、それとはまた少し違った神秘的な感じ
だからこそ全身の汚れや傷跡とのギャップが激しいと思う
生活魔法で体を綺麗にすると余計にそれは際立って見えた
「シアって面食いだったのね」
だって自分のテントに入れるなんて相当だもの
ずっと一緒に育ってきたからこそわかるのは、シアがあの家の人間以外に心を開いていないってこと
だからたとえ人助けをしたとしても、自分のテリトリーであるテントにまで入れることが信じられなかった
「痛そう…」
身体の状態を確認するのに全身を見ていると、足に目をそらしたくなるような傷があった
こんな傷でまともに歩けるのかな?
そう思ってしまうくらい痛々しい傷
他にも背中にはみみずばれのような痕が無数についてるし、全身に大小さまざまな傷跡がいっぱいあった
「酷い」
他はともかく、足の傷はシアのヒールでもきれいには治らないかもしれない
そう思ったとき、この人を見てから感じていた不快感がふっと和らぐのが分かった
何で…?
きれいに治らないかもって思って安心するなんて…
自分の心の醜さを突き付けられたみたいで泣きたくなった
「と、とりあえず着せやすそうな服で、身長差が問題ない服…」
逃げる様に一旦シアのテントを出て、自分のテントに飛び込んだ
サイズ的に問題のなさそうな服を物色してくると女性に着せた
シアが心配していた奴隷の焼き印は無かった
でも繋がれてたという痕が凄く痛々しい
よっぽど強く引っ張られたりしない限りつくはずのない痕だよね?
自分がそんな目にあったらと想像して背筋が寒くなるのが分かった
「それにしても…本当に快適なテントだわ。私のとはえらい違い」
側のソファに座ってテント内を見回すとため息が零れる
大きさもだけど中の片付いた状態も到底かなわない
強さも優しさも賢さも、同じ年頃でシア以上の人を私は知らない
沢山の女の子が憧れてるのに適当にあしらうシアを見て、優越感に浸ったことは数えきれないくらいあった
そんなシアの隣に当たり前のように並んで、守ってもらったり甘えさせてもらったりしてきたのよね…
いつかその場所が自分の場所でなくなるのは当然のことなのに、頑なに女の子をシャットアウトするシアを見てそんな日は来ないと、心のどこかで思ってたのかもしれない
だからこのテントの中に入れたこの女性に嫉妬した?
「私とんだブラコンじゃない…」
初めて気づいた事実にショックを受けた
考えてみればケリーといる時もずっとシアと比べてた気がする
比べてシアに勝てるわけがないってわかってても“でも大人だもん”ってそれですべてを肯定しようとしてたのかも
ルークもシアも賛成はしてくれなかったけど、だからって無理に止めようともしなかった
それでもちゃんと助けてくれた
「本当にずっと守られてたんだよね」
シアは勿論生まれた時から一緒に同じように育ってきたはずのルークにも
そう考えるとちょっと情けなくなるけど…
「兄離れ、しないとね」
特にすることもないから、そう思いながらこれからどうしようかと考えていた
***
女性が目を覚ましたのは2時間ほどしてからだった
「ここは…」
当りを見回しパニックに陥りそうな女性に私は声をかけた
「気が付いた?」
「え…?」
「私はシャノン。あなたが襲われていたところを私の兄が助けたの」
「襲われ…ぁ…私…」
その言葉に彼女は震えだした
その様子が普通じゃなくてどうしていいかわからない
私までパニックになりかけた
「え?ちょっと待って…シア!シア早く来て!」
私は咄嗟にシアを呼んでいた
シアのテントに入った私は意識を失ったままの女性を見た
「凄くきれいな人」
それが私の第一印象だった
お母さんもきれいだと思うけど、それとはまた少し違った神秘的な感じ
だからこそ全身の汚れや傷跡とのギャップが激しいと思う
生活魔法で体を綺麗にすると余計にそれは際立って見えた
「シアって面食いだったのね」
だって自分のテントに入れるなんて相当だもの
ずっと一緒に育ってきたからこそわかるのは、シアがあの家の人間以外に心を開いていないってこと
だからたとえ人助けをしたとしても、自分のテリトリーであるテントにまで入れることが信じられなかった
「痛そう…」
身体の状態を確認するのに全身を見ていると、足に目をそらしたくなるような傷があった
こんな傷でまともに歩けるのかな?
そう思ってしまうくらい痛々しい傷
他にも背中にはみみずばれのような痕が無数についてるし、全身に大小さまざまな傷跡がいっぱいあった
「酷い」
他はともかく、足の傷はシアのヒールでもきれいには治らないかもしれない
そう思ったとき、この人を見てから感じていた不快感がふっと和らぐのが分かった
何で…?
きれいに治らないかもって思って安心するなんて…
自分の心の醜さを突き付けられたみたいで泣きたくなった
「と、とりあえず着せやすそうな服で、身長差が問題ない服…」
逃げる様に一旦シアのテントを出て、自分のテントに飛び込んだ
サイズ的に問題のなさそうな服を物色してくると女性に着せた
シアが心配していた奴隷の焼き印は無かった
でも繋がれてたという痕が凄く痛々しい
よっぽど強く引っ張られたりしない限りつくはずのない痕だよね?
自分がそんな目にあったらと想像して背筋が寒くなるのが分かった
「それにしても…本当に快適なテントだわ。私のとはえらい違い」
側のソファに座ってテント内を見回すとため息が零れる
大きさもだけど中の片付いた状態も到底かなわない
強さも優しさも賢さも、同じ年頃でシア以上の人を私は知らない
沢山の女の子が憧れてるのに適当にあしらうシアを見て、優越感に浸ったことは数えきれないくらいあった
そんなシアの隣に当たり前のように並んで、守ってもらったり甘えさせてもらったりしてきたのよね…
いつかその場所が自分の場所でなくなるのは当然のことなのに、頑なに女の子をシャットアウトするシアを見てそんな日は来ないと、心のどこかで思ってたのかもしれない
だからこのテントの中に入れたこの女性に嫉妬した?
「私とんだブラコンじゃない…」
初めて気づいた事実にショックを受けた
考えてみればケリーといる時もずっとシアと比べてた気がする
比べてシアに勝てるわけがないってわかってても“でも大人だもん”ってそれですべてを肯定しようとしてたのかも
ルークもシアも賛成はしてくれなかったけど、だからって無理に止めようともしなかった
それでもちゃんと助けてくれた
「本当にずっと守られてたんだよね」
シアは勿論生まれた時から一緒に同じように育ってきたはずのルークにも
そう考えるとちょっと情けなくなるけど…
「兄離れ、しないとね」
特にすることもないから、そう思いながらこれからどうしようかと考えていた
***
女性が目を覚ましたのは2時間ほどしてからだった
「ここは…」
当りを見回しパニックに陥りそうな女性に私は声をかけた
「気が付いた?」
「え…?」
「私はシャノン。あなたが襲われていたところを私の兄が助けたの」
「襲われ…ぁ…私…」
その言葉に彼女は震えだした
その様子が普通じゃなくてどうしていいかわからない
私までパニックになりかけた
「え?ちょっと待って…シア!シア早く来て!」
私は咄嗟にシアを呼んでいた
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