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3-123.杖
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俺達はケインを連れて町にやってきた
「ケイン辛くない?」
レティが心配そうに尋ねる
「全然!こんなに楽なの初めてだよ」
笑顔で言うケインに俺もホッとする
「お、ケイン面白いもの持ってるな?」
憲兵が声をかけて来る
こいつは新しいもの好きで登録した物は大抵試してるやつだ
「お母さんが作ってくれた僕の杖だよ」
「杖?魔法の補助のあれか?」
憲兵は首をかしげる
確かにそっちしか知らなければケインが持つ意味が分からないだろう
ケインも魔法を使えないわけじゃないけど普段は生活魔法くらいだし、周りの中でもケイン=薬草の方程式が成り立ってるから
「違うよ。足にかかる負担を減らしてくれるんだ。これのおかげで足を引きずらなくても済むしすごく楽なんだよ」
嬉しそうに言うケインに憲兵はなるほどと言う顔をする
「ひょっとしてそれはサラサの作品か?」
「そうだよ?」
「もしかしなくても登録されたりは…」
「今から登録しに行く。でもおっさんの周りで必要な人いたっけ?」
家族も含めてみんな五体満足なはずだが…
「俺の周りって言うか騎士団の中に魔物にやられて足が動かなくなったり、足が無くなったりした者が何人かいる。みんな動くこともできずに引きこもっちまってるがな…」
「そういやそうだよな…」
ケインの様に引き摺ってでも動かせるなら動けるけど、引きずる事さえ叶わない人はどうすることもできない
「でもそうやって動けるなら若いヤツの指導を頼める」
魔物にやられながら生き延びるのは前線で戦う強者だ
弱者はそのまま生き延びる事さえ叶わない
そう言う意味でもこの杖はそういう人たちの希望になるってことか
「これ、ケインは1本で問題ないけど、2本使えば片足が無くなった人もそれなりに動けるから」
念のため伝えておくことにした
「なるほど…確かに出来そうだな?」
そこに浮かぶのは希望
俺としても町の皆の為に頑張った人が動くこともできずに引きこもるのはやるせない
流石に俺も母さんもそこまで考えてなかったけど、これはコーラルさんに伝えた方がいいのかもしれない
何故か俺達が旅に出ている間に常駐する拠点をこの町に移してるから登録だけしたら向かうか
「ケイン、商業ギルドの後にコーラルさんのところに寄ろうと思うんだけど足は大丈夫か?」
「コーラルさん?もしかしてこの杖の事伝えに行く?」
「ああ」
「僕も行く!騎士さんに支給してってお願いする」
この様子なら足も問題なさそうだ
「そうか。ならさっさと登録済ませて行こうか」
「うん!行こー」
ケインはノリノリだった
「おいおい、本気か?」
そんなケインを見ておっさんがたまげたとでもいうような顔をする
「ああ、あの人の事だから普通に支給すると思う。前から『何か力になれることがあればいいんだが』って悩んでたし」
流石に皆に母さんのリジェネレイトをかけるのは現実的じゃないしな
この町でそれをすれば国中の負傷した騎士を治しに回ることになるだろうし、それこそ現実的じゃない
でもこの杖を支給するくらいなら剣を支給するより安い
何と言っても母さんが登録する品だからな
「マジかよ…」
「そういうことだからこのまま登録はするけど騎士の仲間には暫く内密で」
「あ、ああ。分かった」
おっさんが頷いたのを見て俺達は商業ギルドに向かった
「ケイン辛くない?」
レティが心配そうに尋ねる
「全然!こんなに楽なの初めてだよ」
笑顔で言うケインに俺もホッとする
「お、ケイン面白いもの持ってるな?」
憲兵が声をかけて来る
こいつは新しいもの好きで登録した物は大抵試してるやつだ
「お母さんが作ってくれた僕の杖だよ」
「杖?魔法の補助のあれか?」
憲兵は首をかしげる
確かにそっちしか知らなければケインが持つ意味が分からないだろう
ケインも魔法を使えないわけじゃないけど普段は生活魔法くらいだし、周りの中でもケイン=薬草の方程式が成り立ってるから
「違うよ。足にかかる負担を減らしてくれるんだ。これのおかげで足を引きずらなくても済むしすごく楽なんだよ」
嬉しそうに言うケインに憲兵はなるほどと言う顔をする
「ひょっとしてそれはサラサの作品か?」
「そうだよ?」
「もしかしなくても登録されたりは…」
「今から登録しに行く。でもおっさんの周りで必要な人いたっけ?」
家族も含めてみんな五体満足なはずだが…
「俺の周りって言うか騎士団の中に魔物にやられて足が動かなくなったり、足が無くなったりした者が何人かいる。みんな動くこともできずに引きこもっちまってるがな…」
「そういやそうだよな…」
ケインの様に引き摺ってでも動かせるなら動けるけど、引きずる事さえ叶わない人はどうすることもできない
「でもそうやって動けるなら若いヤツの指導を頼める」
魔物にやられながら生き延びるのは前線で戦う強者だ
弱者はそのまま生き延びる事さえ叶わない
そう言う意味でもこの杖はそういう人たちの希望になるってことか
「これ、ケインは1本で問題ないけど、2本使えば片足が無くなった人もそれなりに動けるから」
念のため伝えておくことにした
「なるほど…確かに出来そうだな?」
そこに浮かぶのは希望
俺としても町の皆の為に頑張った人が動くこともできずに引きこもるのはやるせない
流石に俺も母さんもそこまで考えてなかったけど、これはコーラルさんに伝えた方がいいのかもしれない
何故か俺達が旅に出ている間に常駐する拠点をこの町に移してるから登録だけしたら向かうか
「ケイン、商業ギルドの後にコーラルさんのところに寄ろうと思うんだけど足は大丈夫か?」
「コーラルさん?もしかしてこの杖の事伝えに行く?」
「ああ」
「僕も行く!騎士さんに支給してってお願いする」
この様子なら足も問題なさそうだ
「そうか。ならさっさと登録済ませて行こうか」
「うん!行こー」
ケインはノリノリだった
「おいおい、本気か?」
そんなケインを見ておっさんがたまげたとでもいうような顔をする
「ああ、あの人の事だから普通に支給すると思う。前から『何か力になれることがあればいいんだが』って悩んでたし」
流石に皆に母さんのリジェネレイトをかけるのは現実的じゃないしな
この町でそれをすれば国中の負傷した騎士を治しに回ることになるだろうし、それこそ現実的じゃない
でもこの杖を支給するくらいなら剣を支給するより安い
何と言っても母さんが登録する品だからな
「マジかよ…」
「そういうことだからこのまま登録はするけど騎士の仲間には暫く内密で」
「あ、ああ。分かった」
おっさんが頷いたのを見て俺達は商業ギルドに向かった
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