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3-129.それぞれの道
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「ここしばらく迷宮も依頼も2人でこなしてただろ?」
「あ…」
「確かに…」
「お前たちの言葉を借りるならお前たちに俺が必要ないってことだ」
「そんなことない!」
「シアとレティは必要だもの!」
同時に発せられた言葉に俺はニヤリと笑う
そんな俺を見て2人は気付いたのか顔を見合わせて苦笑する
「まぁ実際この町に居る間、パーティーで動く必要はあまりない。でも有事の際に召集がかかるのはパーティー単位だろ?」
「そう聞いた気がする」
「パーティーのメンバーが少ない場合、別のパーティーと即席パーティーを組むことになるんだ」
「それは嫌かも…」
「僕もそれはちょっと…普段はともかく緊急事態では出来れば避けたい」
同じ冒険者同士でも俺達は特殊だ
年齢とパーティーランクが合ってない以上トラブルが他より多く付いて回る
最悪の場合、逃げ出したい大人の捨て駒にされる恐れもある
「だからパーティーはそのままで、ここしばらくみたいに基本は別行動に設定しとけばいい」
「別行動?」
「ああ。『弾丸』だって別に毎回皆で動いてるわけじゃないのはお前達も知ってるだろ?」
「そう言えばお父さん、今日はデートだってお母さんと出かけて行ったっけ」
「こないだはカルムさんとナターシャさんがデートするって2人で出かけて行ったような?」
他はもちろん依頼を受けに行った
メリッサさんの体調が悪い時や商業ギルドが忙しい時はアランさんが家にいることも多い
「そういうこと。別にパーティーだからって常に一緒に行動する必要はないんだよ。だから活動するのはこれまで通り週に3日、1日は『無限』として、あとの2日はマリクたちと行動したり状況に合わせて自由にするのはどうだ?」
その提案には俺の思惑があった
自分達より上位の俺達と組むことで学ぶことと、自分たちと同位から下位のマリクたちと組んで学ぶことは全く別のものになる
さらにマリクたちは4人でパーティーを組んでいてカルムさん達から連携に関する指導をよく受けている
その刺激はかなり大きいもので、そこから2人が得る物は大きいはずだ
そして何より守る対象がいることでシャノンのスキルがどう変化するか俺はかなり期待していた
「マリクたちと?そんなの迷惑なんじゃない?」
「そんなことないだろ。マリクたちと組めばシャノンの補助のスキルを使えるし、その分マリクたちは強い魔物を相手に出来る。ルークは色んな連携を試すこともできると思うぞ」
「…互いにメリットがあるってこと?」
「ああ。特にマリクたちはランクアップのための討伐数で頭打ちだ。それに隣町から来る連携依頼は数が限られる。取り合いするより一緒にこなす方がいいだろ?」
「確かに…」
元々数が少ないものを取り合ってるのが現状だ
取り合うって言っても争うわけじゃなく単に早いもの勝ちなんだけどな
でも依頼は件数カウントだから一緒に組むメリットは大きい
2人は早速マリクたちと交渉して次の日には同意を取り付けることになる
***
「そっか…2人はそんなこと考えてたんだ?」
レティの膝枕で寛ぎながら今日あったことを話すとレティはそう言って苦笑した
「みたいだな。まさか不要と思われてるとは思わなかった」
「だね。シャノンが悩んでる感じなのは何となく気付いてたんだけどそんな内容とは思わなかった」
「気付いてたのか?」
「ふふ…いつもシアに何か言いたそうにしてたから」
「…そっか」
俺の気付かないところで気にかけてくれることがありがたい
「ありがとな」
「え?」
「あいつらを気にかけてくれて」
「それは…」
レティは照れ臭そうにうなずきながら顔を反らした
過ごしてきた環境のせいかお礼を言われたり褒められたりするのは慣れていないらしい
その仕草を見たくて必要以上に言ってることは気付かれてはいないはず…
今回の事をきっかけにシャノンは孤児院に顔をだすことが増えた
魔法を教えることで自分の知識を再確認して、新たな発見をすることに楽しみを見つけたらしい
ルークは即席パーティーを組むことで色んな冒険者の技を盗むことにした
元から持つコミュニケーション能力のおかげもあり、相手のランクは問わず様々な人と即席パーティーを組むのを通して、ルークは俺には出来ない他者との繋がりを構築することに楽しみを見いだしていた
当の俺達も2人で『弾丸』に混ぜて貰ったり、俺が父さん達と、レティが母さんたちと組んで迷宮に挑んだりするようになった
それぞれに得たものを『無限』として活動する時に共有することで互いに刺激し合うようになることをこの時の俺達はまだ知らない
「あ…」
「確かに…」
「お前たちの言葉を借りるならお前たちに俺が必要ないってことだ」
「そんなことない!」
「シアとレティは必要だもの!」
同時に発せられた言葉に俺はニヤリと笑う
そんな俺を見て2人は気付いたのか顔を見合わせて苦笑する
「まぁ実際この町に居る間、パーティーで動く必要はあまりない。でも有事の際に召集がかかるのはパーティー単位だろ?」
「そう聞いた気がする」
「パーティーのメンバーが少ない場合、別のパーティーと即席パーティーを組むことになるんだ」
「それは嫌かも…」
「僕もそれはちょっと…普段はともかく緊急事態では出来れば避けたい」
同じ冒険者同士でも俺達は特殊だ
年齢とパーティーランクが合ってない以上トラブルが他より多く付いて回る
最悪の場合、逃げ出したい大人の捨て駒にされる恐れもある
「だからパーティーはそのままで、ここしばらくみたいに基本は別行動に設定しとけばいい」
「別行動?」
「ああ。『弾丸』だって別に毎回皆で動いてるわけじゃないのはお前達も知ってるだろ?」
「そう言えばお父さん、今日はデートだってお母さんと出かけて行ったっけ」
「こないだはカルムさんとナターシャさんがデートするって2人で出かけて行ったような?」
他はもちろん依頼を受けに行った
メリッサさんの体調が悪い時や商業ギルドが忙しい時はアランさんが家にいることも多い
「そういうこと。別にパーティーだからって常に一緒に行動する必要はないんだよ。だから活動するのはこれまで通り週に3日、1日は『無限』として、あとの2日はマリクたちと行動したり状況に合わせて自由にするのはどうだ?」
その提案には俺の思惑があった
自分達より上位の俺達と組むことで学ぶことと、自分たちと同位から下位のマリクたちと組んで学ぶことは全く別のものになる
さらにマリクたちは4人でパーティーを組んでいてカルムさん達から連携に関する指導をよく受けている
その刺激はかなり大きいもので、そこから2人が得る物は大きいはずだ
そして何より守る対象がいることでシャノンのスキルがどう変化するか俺はかなり期待していた
「マリクたちと?そんなの迷惑なんじゃない?」
「そんなことないだろ。マリクたちと組めばシャノンの補助のスキルを使えるし、その分マリクたちは強い魔物を相手に出来る。ルークは色んな連携を試すこともできると思うぞ」
「…互いにメリットがあるってこと?」
「ああ。特にマリクたちはランクアップのための討伐数で頭打ちだ。それに隣町から来る連携依頼は数が限られる。取り合いするより一緒にこなす方がいいだろ?」
「確かに…」
元々数が少ないものを取り合ってるのが現状だ
取り合うって言っても争うわけじゃなく単に早いもの勝ちなんだけどな
でも依頼は件数カウントだから一緒に組むメリットは大きい
2人は早速マリクたちと交渉して次の日には同意を取り付けることになる
***
「そっか…2人はそんなこと考えてたんだ?」
レティの膝枕で寛ぎながら今日あったことを話すとレティはそう言って苦笑した
「みたいだな。まさか不要と思われてるとは思わなかった」
「だね。シャノンが悩んでる感じなのは何となく気付いてたんだけどそんな内容とは思わなかった」
「気付いてたのか?」
「ふふ…いつもシアに何か言いたそうにしてたから」
「…そっか」
俺の気付かないところで気にかけてくれることがありがたい
「ありがとな」
「え?」
「あいつらを気にかけてくれて」
「それは…」
レティは照れ臭そうにうなずきながら顔を反らした
過ごしてきた環境のせいかお礼を言われたり褒められたりするのは慣れていないらしい
その仕草を見たくて必要以上に言ってることは気付かれてはいないはず…
今回の事をきっかけにシャノンは孤児院に顔をだすことが増えた
魔法を教えることで自分の知識を再確認して、新たな発見をすることに楽しみを見つけたらしい
ルークは即席パーティーを組むことで色んな冒険者の技を盗むことにした
元から持つコミュニケーション能力のおかげもあり、相手のランクは問わず様々な人と即席パーティーを組むのを通して、ルークは俺には出来ない他者との繋がりを構築することに楽しみを見いだしていた
当の俺達も2人で『弾丸』に混ぜて貰ったり、俺が父さん達と、レティが母さんたちと組んで迷宮に挑んだりするようになった
それぞれに得たものを『無限』として活動する時に共有することで互いに刺激し合うようになることをこの時の俺達はまだ知らない
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