[完結]憧れの場所

真那月 凜

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3.誘い

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「流華頼んでいいか」
久々に会った彗耶は照れくさそうに言った

「何を?」
「…これを亨に渡してくれ」
彗耶はそう言ってチケットを1枚流華に渡した

「明後日のプロとしての初ライブあいつに見せなきゃはじまんねぇしな」
苦笑する彗耶に流華はほっとした

亨の最後のライブ以来彗耶たちと亨は会っていない
流華が説明して亨のことは納得しているものの皆きっかけをもてずにいた
今回を失ったら皆は再び会うきっかけが無くなってしまうだろうことは予想できた

「任せて。絶対に渡すから」
流華は飛び切りの笑顔で言った

「サンキュ」
彗耶は流華の笑顔にほっとした

プロになってからのel cruceは休みなしで働いていた
もちろん流華が会える時間もほとんど無かった
デビューして3ヶ月たった今彗耶たちはブラウン管の中の有名人になっていた

「どうかしたのか?」
彗耶がうつむく流華の顔を覗きこんだ
「どうもしないよ。そーだ彗耶これ」
流華はカバンから小さな包みを取り出した

「何?」
「初ライブのお祝い。当日は会う時間なんてないと思うから」
「…開けていいか?」
「いいよ」
流華が頷くのを見て彗耶は包みを開けた

「これ…」
中から出てきたのは彗耶がずっと探していたリングだった

「この間みつけたの」
「マジかよ?お前サイコー」
彗耶の顔は本当に嬉しそうだった




ライブ当日会場に行く前に流華は亨のうちに寄った

「流華…?」
玄関のドアを開けた亨は唖然としていた
「今日予定無いよね?」
「あ、あぁ」
「じゃぁ付き合って」
流華はそう言って微笑んだ

「…ちょっとまってろ。財布取ってくる」
亨はすぐに出てきた

「どこに行くんだ?」
「彗耶の…el cruceのライブ」
流華は振り向いてそういった

「これ彗耶からの届け物」
そう言ってチケットを亨に渡した
「どうしても亨君に見てほしいって」

「…サンキュ」
亨は照れくさそうに笑った

「あいつら元気?」
「それは今日亨君の目で確かめて?」
「…そうだな」
亨は苦笑した

ライブをする県民会館はすでにファンで一杯だったがチケットの関係で2人はすぐに中に入る事が出来た
「亨君こっち」
「ここって…」
「特別席。私も久しぶりなんだ」
流華は笑顔で言った

「…流華結構いい景色見てたんだな?」
「でしょ?会場変わってもいつも最前列のど真ん中からステージを見渡すの」
そういった流華は嬉しそうだった

「でもこんなに大きいのは初めてだけどね」
「確かに」
それ以上亨は何もしゃべらなかった

本当なら自分が立っていたかもしれないそのステージをただ凝視していた
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