[完結]Believe~あなたの幸せを~

真那月 凜

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1.手紙

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サッカーの技術を認められ名門高校2年生として3学期から転校した椎名海莉は寮生活を送っていた

「今日の練習マジキツクなかった?」
学校から寮に向かって歩く5人組の一人がため息混じりに言った
「あぁキツかった」
「何か俺自信なくなったかも…」
「そういうなって。なぁ海莉」
「え?あぁ…」
海莉は携帯のメールを打ちながら応える

「なぁお前いっつも誰にメール送ってんだ?」
「さぁ」
そっけなく言う
「やめとけよ徹、海莉には何聞いてもムダだって」
「なんだよ篤樹、お前は気になんねぇの?」
「そりゃ気になるけどさ…何てったってウチの学校で一番モテる海莉の事だしな」
「んなことないって」
海莉は苦笑する

「あるって。今日も告白されてただろ?」
「あ、俺も見た。今日のはかわいかった」
「そうか?」
海莉は首をかしげる
「おっ前おかしんじゃねぇの?」
「てか海莉ってモテんのに何で付きあわねぇの?」
「浮いた噂とかきかねぇよな?」
口々に言いあってるうちに寮に到着した

「椎名、手紙きてるぞ~」
「あ、ども」
寮長から受け取り差出人を見る
「女?男?」
覗き込んだ徹が差出人の名前を探しながらたずねる
「見んなって」
少し照れくさそうに手紙を隠した海莉に4人が顔を見合わせた

「ひょっとして…」
「彼女いたのか?」
「ん?あぁ」
海莉はあっさりと認める
「マジかよ?どんな子?」
みんな興味深々で尋ねる
「いい子だよ」
海莉はそれだけ言って笑った

「なんだよそれ~」
「なぁ、いっつもメールしてる相手って…」
「他にする相手いないじゃん」
海莉は当たり前のように言う

「はぁ~これ学校の女どもが知ったら大騒ぎだぞ?」
「何で?」
「何でってお前…自分がどんだけもててるかわかってねぇのかぁ?」
「もてるって…俺のこと何も知らんやつに言われてもなぁ…」
本当に困ったように言う

「え~けど嬉しくないか?」
「別に。本当の俺知らんやつに好かれても嬉しくないって」
「余裕の発言だな。でもマジで気をつけろよ?」
「?」
「彼女が誰かわかっちまったら彼女が危ない」
「あぁ、それなら大丈夫だよ。地元にいるから」
「甘いな。ココの生徒は全国から集まってんだから」
「そうそう。とにかく気をつけろよ」
「わかった。じゃぁあとでな」
「おう」
海莉は自分の部屋で手紙を読み始めた



Dear海莉

元気ですか?
寮生活にはもう慣れた?
人付き合いの上手い海莉のことだからもう友達に囲まれてるのかな?
私は相変わらずの毎日を送ってるよ♪
ただ、海莉のいない右側にはまだ慣れることが出来ないけど…
あ、責めてるんじゃないよ?
だってサッカーは海莉の夢だから。
それに私はサッカーしてるときの海莉が大好きだから。

1つニュースがあるんだ^^。
明日から律ちゃんとバイト始めることにしたの。
ほら、駅前の雑貨屋さん。あそこで2人募集してて今日律ちゃんと面接行ったら、何と通っちゃいました^^
あの店は海莉とよく行った店だからすごい嬉しいよ。
明日から律ちゃんと2人頑張るね!
お金溜まったら海莉のいる町に遊びに行きたいな。
そしたら海莉のサッカーしてる姿見れるもんね♪

そうそう。この間いいなって思う言葉見つけたよ。
『The smiling face should exist continually』
この言葉見つけたときね、離れてても海莉がずっと笑顔でいてくれたらいいなって思ったの。

それじゃ今回はこの辺で。
サッカー、思いっきり楽しんでね!
From瑞穂


「…あいつらしいな」
読み終わった海莉は思わずつぶやいた

「ん?」
ベッドに横になっていた徹が体を起す
「いや。何でもない」
「なんだよ~。ラブレターにいいことでも書いてあったのか?」
「そんなとこ。サッカー思いっきり楽しめってさ」
海莉は苦笑する

「ふ~ん…俺の彼女なんか『会いたい』しか言って来ないぜ?参るよマジで」
「そいやいつももめてんな」
部屋での電話の会話を思い出す

「あぁ。頑張ってねって言ってくれたのはこっちに来る直前だけ。いざ来たら何で置いてくの?とか会いに来てとか…無理だっての…」
徹はため息混じりに言う
「お前の彼女はマジでお前の事応援してんのな?羨ましいよ」
「あいつは強いから。俺なんかよりずっと」
「お前だって強いじゃん?色んな意味で」
「いや、あいつがいなかったら俺はとっくにサッカーやめてたよ」
静かに言う海莉に徹は首をかしげる

「…昔さ、足を複雑骨折した事があるんだ。大会の1週間前に」
「まじで?」
「あぁ。先輩からは責められるしそばにいた奴等も離れていった。そんな状況に嫌気が差して荒れてバカばっかしてたんだけどさ、あいつ何にも言わないんだよ」
「…俺だったらお前を責めるな」
「だろ?実際回りの人間には責められた。コーチや連れには殴られるし親も呆れてた。なのにあいつはただ黙って俺の後付いて来て、何も言わずに俺のする事見てたんだ」
「…なんで?」
徹は首をひねる

「俺も理解できなかったよ。でもそれをいい事に馬鹿な事続けてさ…あいつに八つ当たりしたり、やりきれない気持ち抑えるためだけにあいつ抱いたりもした」
「最低じゃん」
「だな。でもあいつはずっとそばにいた」
「…」
「けどさ、ボールが蹴れるまで回復した時あいつが言ったんだ。『やっと皆に謝れるね?』って」
「…」
「笑っちまうよな。それまで散々色んなやつに責められて殴られたりしてきたけど、その何よりもあいつの言葉が効いた」
海莉はそういって苦笑した

「怪我した瞬間からさ、俺自分がとんでもない迷惑掛けてる事は分かってたんだ。でもそれまで俺の生活の中心だったサッカーできなくなってその事で周りにも迷惑掛けてさ…」
海莉は視線を外に移した
「結局謝りたくてもボール蹴れないのが現実で苛立ちだけが大きくなってさ」
「…それわかるな」
「そんなのを全部あいつは見抜いてたんだなって思うとさ、あいつの為にもちゃんと筋通さなきゃなって思ったんだ。それにあいつマネージャーしてたから、俺の事で色々言われてたはずなのに俺が戻りやすいように色々手回してたみたいでさ…だからあいつがいなかったら今の俺はないんだ」
「お前らよっぽど信頼しあってんだな」
徹はため息混じりに言う

「俺もその半分でもいいから信じてもらいたいよ」
「そりゃお前次第じゃねぇの?」
「あ、ひでぇ」
徹の言葉に二人は笑い出す
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