[完結]Believe~あなたの幸せを~

真那月 凜

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4.油断

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試合当日海莉の彼女見たさにギャラリーは信じられないほどの数になっていた
「すげーな海莉効果」
「ばーか。あんなん関係ねぇよ。言ったろ、あいつらは俺の事なんて何にもしらねぇって」
「そりゃそうだけどさぁ…」
徹は腑に落ちないように言う

「それよりお前の彼女と聖忍は?」
篤樹が海莉にのしかかるようにしてたずねた
「あ~そのうちこっち来るだろ」
「マジで?」
皆が浮き足立った時ギャラリー横の駐車場にスポーツカーが止まった
中からルックスのいい男と女が降りてくる

「何?何か撮影でもあんのか?」
「すんげぇなぁ。俺もあんなルックスだったらなぁ?」
「無理だって。それよりあの女のほうだろ?メチャ可愛くないか?」
「おぉ。可愛いっつうよりキレイ?」
ギャラリーで口々に噂される

「ばっかあんな手のとどかなそうな人より椎名のがいいって」
3人の女子がそう言ってベンチの方に駆け寄る
「椎名」
その中のリーダー格の女、香里が声をかける
「…またお前かよ」
海莉はあきれたように言う
「言ったろ?俺はあんたに興味ないって」
海莉はそう言って準備を続ける

「甘いわ。私がそれくらいで諦めるわけないじゃない」
香里はそう言うと海莉の襟首を掴むとキスをした
「嫌~!!」
ギャラリーから叫び声が響く

「海莉見せ付けんなよ」
泣き出す女子生徒をよそに男子生徒がはやし立てる

「私諦めが悪いの」
「みたいだな。でもあんた見たいの一番嫌いなタイプだし無理」
海莉は口をぬぐうとそばにあった水で口をゆすぐ

「な…そこまでしなくてもいいじゃない?!」
「気持ち悪いもんはしゃーねーだ…!」
ふとギャラリーの方に目を向けた海莉の動きが止まる

「瑞…穂…」
明らかにうろたえている

「何?」
部員が海莉の視線の先を見るとモデルのような男女がいた
「あれって…」
「聖忍…と海莉の…?」
徹がヤバイとでもいう感じで海莉を見た
明らかにうろたえているのが分かる

「え?椎名君の何?」
「まさか彼女…とか?修羅場じゃん」
囁き声が聞こえる

「やっと会えたね」
皆が見守る中瑞穂は笑顔でそう言った
誰もが予想しなかった言葉だけに静寂が広がる

「あんた何なのよ…?」
香里が声を震わせる
「…椎名がこんなにうろたえてんだから彼女なんでしょ?自分の男がキスしてるの見て何とも思わないの?!」
香里の言葉に瑞穂は静かに笑みを浮かべる

「日本語は正しく使ってほしいな。海莉はキスしてたんじゃなく一方的にされただけでしょう?」
「?」
「キスされただけ。そこに海莉の意思はないもの。それに海莉は見せつけるだけのキスをするようなくだらない人間じゃないわ」
「!」
香里の顔が真っ赤になる

「…なんかすげぇな…」
部員が呟いた

「海莉」
「?」
「向うで見てるね」
瑞穂はそう言って微笑んだ
それは全てを包み込むような慈愛に満ちた頬笑みだった

「お兄ちゃん行こ」
「瑞穂?」
驚いたのは忍である
「お兄ちゃんも知ってるでしょ?海莉が試合前に一人になりたいの」
「そりゃまぁ…」
「久しぶりだったから顔見たかっただけなの。だから海莉」
「?」
「また後で」
瑞穂はそういって微笑んだ

でも一瞬海莉と目の合った瞬間だけ笑顔が消えた
海莉はこのときほど寂しそうな瑞穂の顔は見たことがなかった

「待て瑞穂!」
海莉は思わず叫んでいた
「海莉」
忍の声に振り向くと車のキーが飛んできた
「サンキュ。瑞穂ちょっと」
海莉は瑞穂を連れて車に乗った
明らかに動揺しているのが分かる

「悪い。俺が油断した」
「…いいの。わかってる」
「…」
海莉は少しほっとしたように溜息をついた
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