[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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1.新しい世界

2

「…い、おい?」
誰かの声に意識を取り戻す

「大丈夫か?」
目を開けると銀髪碧眼のルックスのいい男性が心配そうに私を見ていた

「…私…?」
「少し前にこの辺りに光の柱が現れた。一体何があった?」
私はただ首を横に振る
頭が覚醒していないことだけはわかる

その時突然雨が降り出した
「とにかく場所を移す」
彼はそう言って突然私を抱き上げた

「!?」
俗にいうお姫様抱っこで思わず体が硬直する

元の世界ではアラフォーで結婚も離婚も経験した私が男に免疫がないわけではない
でもいわゆるイケメンにお姫様抱っことはいかがなものか・・・

「少しの間我慢しろ」
彼はそれだけ言うと私を抱き上げたまま走り出す
10分ほど走った先の屋敷に着くまで彼は走り続けてくれた
かなりの体力である
その間雨脚が増すと彼の外套で雨から守ってくれるというオプション付きだ

「俺の家だ。汚いけど雨ぐらいはしのげる」
そう言いながらリビングのソファにおろしてくれた

「ソファが汚れる…」
「気にしなくていい」
そう言った彼に目を向けると目の前で彼のまとう服がきれいになり濡れていたはずなのに乾いていた

魔法?
驚きながら彼を鑑定してみた

***
レイ(本名隠蔽:レイノスハーン・ミュラーリア・キングストン)
人種 人族  年齢 20歳
職業 B級冒険者  レベル 73

スキル 
インベントリ 52  
身体異常耐性 70  精神異常耐性 48  物理攻撃耐性 86  魔法攻撃耐性 57
鑑定 80(隠蔽)  隠蔽75(隠蔽)  
剣術 182  格闘術 94  闇魔法 68  時空魔法52  火魔法 85  身体強化 30  投擲 62  
料理 5 掃除 7  算術 69  読書 86
生活魔法 (火種・水球・ドライ・ライト・クリーン)

称号
ミュラーリア王家第3皇子(隠蔽)
下級迷宮を制し者  中級迷宮を制し者  上級迷宮を制し者
***

…なるほど。隠ぺいを使うと自分よりレベルが低い場合は隠蔽してることもわかるってことか
私は一人納得する

「俺はレイ、呼び捨てでいい。Bランクの冒険者だ。あんたの名前は?成人したてぐらいか?」
彼は鑑定のスキルを持っている
つまり私の事はわかった上で連れてきているはず。にもかかわらずあえて尋ねるのは鑑定と隠蔽のスキルを隠蔽している為かと勝手に理解する

そしてどうしたものかと考える
特に設定は考えていなかった。いきなり知らない世界に送り込まれた自分を怪しく思う人間は多いだろう

「…」
あえて何も答えずうつむいた

「…どこからきてどこに向かうところだったんだ?」
「…」
黙ったまま首を横に振る

「…まさかとは思うが自分のことが分からないなんてことは…」
戸惑いながら発せられた問いに小さく頷く

嘘ではない
前世の記憶はあるが今の自分の事は自分でもわからないのだから

「…マジか…」
彼は大きなため息とともにその言葉を吐き出した

「…ごめんなさい…」

厄介ごとに巻き込んでいる自覚はある
かといって突然17歳から始まった新しい人生の過去は存在しない
簡単に転生してきたと告げることも出来ない

「いや。あの光自体が尋常じゃなかったんだ。その場にいたあんたに何も起こらないはずがない」
そうは言うもののどうしたものかと考え込んでいるようだった

「あー、ステータスって頭の中で念じてみろ。少なくとも名前や年齢はわかるはずだ」

『ステータス』
頭の中で念じる

あ、生活魔法が増えてる…さっき突然きれいになったのはこれかな?
複製のスキルのおかげなのだろう

「サラサ・ミナヅキ…17歳、上級職人です」
「その年で上級は珍しいな」
「そう…なの?」
「それもわからない…か?」
その問いにただ頷く

「上級はクラフトマスターやソーサリーマスターのスキルを持っている者の職業に就く称号だ」
「クラフトマスター…あります」
「なら記憶がなくても体が覚えてるかもしれないな。他にスキルは?」
「料理、採取、掃除、算術、読書」
レイが自分の鑑定画面も確認しているような素振りをしているのに気づかないふりをして隠蔽していないスキルを読み上げた

「…普通の生活には問題なさそうだな」
「?」
「とりあえずサラサが落ち着くか記憶を取り戻すまではここにいればいい」
「そんな迷惑は…」
「ほかに何か方法が?」
遮るように問われて黙り込む

「俺は冒険者としてそれなりに稼いでる。この家には部屋も余ってるしサラサ一人増えても問題ない。自分の事もわからないサラサを放り出すのは人としてもな」
レイはそう言って苦笑する

「…ありが…とう」
そう答えながら涙があふれてくるのが分かった
自分で思っているより不安だったようだ
そんな私が落ち着くまでレイはただ黙って見守ってくれていた

「とりあえず家の中を案内しとくよ」
そう言って家の中を色々と説明してくれた

「キッチンは魔道具でそろえてあるから魔力の消費を気にせずに使えるし必要な食材があれば用意する。家の中はサラサが過ごしやすいように好きに変えてくれていい。1階のトイレと浴室はこっちで個室が4つある。2階はこっち」
エントランスから階段を上がる

「2階には4部屋、左の2部屋は空き部屋で右奥が俺の部屋だ。サラサはこの部屋を使えばいい」
レイはそう言って右の手前の扉を開けた

「…すごい…」
そこには20畳近い広さの部屋が広がっていた
左奥にベッドとクローゼット、ドレッサー等があり右奥にトイレや浴室、手前に応接セットや書斎のようなスペースがある

「明日、町の主要な場所を案内する」
圧倒されたまま無言で頷く

「少しここで休んでろ。飯ができたら呼びに来る」
レイはそう言って下に降りて行った
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