[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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10.居場所

2

2人が楽しんでいる間に、私は他にも簡単なものをいくつか作らせてもらい勝手に満足する
「ただの紙からこんなに色んなものができるとはな…」
最後には呆れた顔でレイが言う
散々楽しんでたくせに呆れないで欲しい

「サラサちゃんこれ、前のしおりと同じ扱いでいいか?できればこの作ったのも置いといてくれ」
「そんな大したものじゃないけど…フランさんに任せるね」
そう言うとフランさんは大喜びしていた
フランさんには4つになる息子さんがいるからさっそく一緒に遊ぶのだろう
娯楽の少ないこの世界でこうやって楽しみが増えるのなら悪い気はしない
ただ、紙が手頃ではないこの世界では町の子供たちに折り紙を広げるのは難しいかもしれない
高ランク冒険者の家族や貴族から少しずつ広まることはあるかもしれないけど…

「ありがとフランさん。楽しかった!」
「ああ。また寄ってくれ」
満面の笑みで送り出された

「…本当、お前のいた世界は色んな楽しみがあったんだな」
しみじみというレイに思わず笑う

「でも魔法や剣はなかったよ?私に取ったら魔法の方がすごいもの」
それは偽りない気持ちだった
物語の中のものでしかなかった魔法を自ら操るのだから当然だ
こうなったらいいのにと想像していた事を今の私はたいてい形にすることができる
もっともそれはチートスキルのおかげだけど

「次は商会ね」
「はいはい」
答えながらレイは私の肩を抱き寄せる
いつの間にかそれが当たり前になったなーとしみじみ思った

「レイは向かいのカフェで待ってて?」
商会の前までくると私はレイにそうお願いした

「何で?」
「何でも。ダメ?」
まっすぐ目を見て尋ねるとレイは折れる
「わかったよ」
頭をなでてからレイは向かいのカフェに入っていった

私はそれを確認してから商会に足を踏み入れる
会長を呼んでもらい自分の口座からお金を少し引き出した
「珍しいですね?いつもはレイさんが全てお支払いされるのに」
会長は遠慮しながらもそう尋ねてきた

「今日買うものはレイへのプレゼントに使うものなんです」
「なるほど。では私どももお手伝いさせていただきます」
会長は笑顔でそう言ってくれる
必要なものを伝えるとスタッフがすぐに取ってきてくれたおかげであっという間に買い物が完了してしまった
私はその間会長と話をしていたと言うよりは、集めてもらっているものをどう使うのかと質問攻めにあっていた

持ってきてもらったキャンドルが白い棒状の1種類しかなかった為、インテリア性のあるものを作ってみるのもいいかもしれないと呟いたとたん食いついてきたのは言うまでもなく、手軽に出来そうな花をあしらう作り方を説明しておいた
色付きのものもあったらいいなと思うけど染料が思いつかなかったため伝えていない
布を染める染料があるのだから今度話を聞きに行ってみようと決めた

「助かりました」
「こちらこそ楽しませていただきました。キャンドルはいつものようにこちらで処理しておきますね。レイ様とよいお時間をお過ごしください」
笑顔でサラッという会長とスタッフに見送られて商会を出るとカフェへ向かった

「おまたせー」
つまらなそうにコーヒーを飲んでいたレイの向かいに座って同じものを頼む

「欲しいものはあったのか?」
「あったよ」
満面の笑みで返ししばらく他愛のない話を楽しんでいた
レイは何を買ったのか聞き出そうとしていたけど適当にごまかした
こんなことは初めてだからかかなり気になってるみたいだけど…

「この後はどーするんだ?」
「ん…買物は終わったから家でレイとまったりする」
「本当、欲がないな」
「そんなことないよ?レイの時間を独り占めしてる。すごい贅沢なわがままじゃない?」
そう言って笑うとレイはため息をつく

「だから欲がないって言ってんだよ。ほら行くぞ」
レイはコーヒーを飲み終えているのを確認して立ち上がると先に精算を済ませに行ってしまう

「相変わらずなんだから…」
私はつぶやきながら後を追った



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