[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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25.新しい家

3

リビングに戻るとマリクが真っ先に駆け寄ってきた
やはり待ちきれなかったようだ
その様子が可愛くて頭をなでる
シアを揺りかごにのせるとマリクが頭をなでなでしながら嬉しそうに笑った

「シアかわいい」
「ふふ…じゃぁマリクはシアお願いね」
「うん」
飽きることなくシアのそばにいるマリクに任せて私は料理の支度を手伝いに戻った

「マリクこの子も可愛がってくれるかしら?」
メリッサさんがお腹をなでながら言う

「絶対可愛がるわ」
私は根拠もないのに断言していた

「メリッサは逆に心配しなきゃいけないかもよ?」
「心配?」
「そう。マリクにその子が取られるかもしれないから」
ナターシャさんが笑いながら言う
「確かにシアのそばに一番長くいるのはマリクかも」
「えー」
私の言葉にメリッサさんが面食らう

「いいんじゃない?生まれたその時から面倒見てくれるお兄ちゃんがもれなく付いてくるんだから」
「もれなく付いてくるって…サラサちゃん?」
ナターシャさんがあきれたように言う
「それくらい助かってるってことだよ?今だってほら…」
マリクの方を見るとシアをのぞき込んでニコニコ満面の笑みだ

「…そうね。最初の頃私から離れなかったのが嘘みたいだわ…」
「それはほら、離れた場所にいても自分を大切にしてくれるって思えるようになったからでしょう?」
「まぁね。でもちょっと寂しいかな」
安堵と喜び、寂しさ色んな気持ちが入り混じっているようだ

「でもいいよね。家族ぐるみでこうやって過ごすのも、そこに子供が増えていくのも」
ナターシャさんはそう言って笑いながらリビングを見る
思い思いに過ごしながらも温かい空気が流れているのが分かる
ここに人が増えていくのは楽しみだと思う
そこに笑顔が溢れていれば最高だとそう願いながら暫く眺めていた

「さぁ、もうできるよ」
声をかけるとみんなが動き出す

「ボクここ」
マリクは自分用の椅子に真っ先に座る
レイは揺りかごごとシアを連れてきて椅子にのせた
テーブルに並んだ料理をみんな我先にと平らげていく

「本当に作り甲斐あるわ」
ナターシャさんがあきれたように言った
小山ができるほど盛られていた肉類は既になくなりつつあった

「お姉ちゃん、たこさんのからあげある?」
突然マリクが尋ねてくる
食べ物のことで言ってくるのは初めてだ

「タコのから揚げ?俺食ったことねぇぞ?」
真っ先に食いついたのはレイだ

「この前お昼に食べたんだけど…」
確かインベントリにストックしてたはず…

「あ、あった。これね」
テーブルに出す

「どうぞ召し上がれ」
「ありがとう」
マリクは嬉しそうに2つを皿に取った
流石にマリクより先に取ることはないもののみんなの視線は集中している

「みんなもどうぞ」
そう言った途端一気にお皿からなくなっていく

「なんだこれ、プリプリしてんじゃん」
「うまいなー」
皆が口々に言う

「いまだにまだ食ったことないもん出て来るとは…」
レイは驚きつつもどんどん口に入れていく
そして気づくと何故か今まで食べたもので一番おいしかったものを言い合う場になっていた


「サラサちゃんお菓子作りも出来るんだよね?」
メリッサさんがそう尋ねてきたのはいつものようにみんなで溜まっているときだった

「んーある程度は」
「今度クッキー教えてくれる?」
メリッサさんが食い気味で尋ねてくる

「いきなりどうしたんだよメリッサ」
アランさんが不思議そうに首を傾げた
メリッサさんの料理スキルは1桁だからか、何を言いだしたんだという感じにもとれる

「アランの兄弟と約束しちゃったの。今度作って持っていくって」
「…何で出来ねぇもん約束してんだ?」
「違うの。作ってみたいなーって話してたのよ。そしたら味見してやるって感じ?」
「「「「「「…」」」」」」
皆があきれる

「どうせならおいしいもの作りたいし…」
「そういうことなら一緒に作りましょう」
「ボクも」
「ん?マリクも作りたい?」
「うん。ママとパパにあげる」
その言葉にカルムさんとナターシャさんを見ると喜びで満ち足りた顔をマリクに向けていた

「そっか。じゃぁ一緒に作ろうね」
「うん」
結局メリッサさんの次の休みにクッキーを作ることになった

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