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12.不穏な動き
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◇ ◇ ◇
レイは眠りに落ちたサラサを抱き上げるとベッドに寝かせた
少し外の空気を吸うために離れようとして服を掴まれていることに気付く
離れるのを諦めて隣に横になると、肘をつきサラサの顔をしばらく眺めていた
不安の浮かんでいた顔も今は穏やかになっていた
それを見ているレイの顔にも穏やかな笑みが浮かんでいた
「レイ…」
「ん?」
目が覚めたのかと思ったが違ったらしい
思わず笑みを零し髪をなでる
「…大好…き…」
そう零した顔は幸せそうに笑みを浮かべていた
「俺もだよ」
サラサを抱き寄せ耳元でささやく
レイは胸に顔を埋めてきたサラサを心から愛おしいと感じていた
◇ ◇ ◇
翌日、町ではギルドがこの1週間の事情を説明してまわっていた
どうりで…と納得する者
なんだ…とつまらなさそうにする者
なんてことを…と怒り出す者
様々な反応が溢れていたものの町の中にあった微妙な空気は少しずつ薄れていく
◇ ◇ ◇
そんな中、弾丸のメンバーに至ってはギルドに入るなり個室へ通され説明を受けた
「…事情は分かったが何でこんな個室で説明受けてんだ?」
カルムの率直な疑問だった
「…レイが依頼を引き受ける条件だったんだよ」
バツが悪そうにギルドマスターが言う
「依頼の事でもしお前らがサラサのために怒り狂ったら…自分の命が危ないから責任もって説明してくれって言われたんだよ」
「…」
「前もって説明できない以上サラサが傷つくリスクもでかい。それがわかった上で俺も依頼した。レイ自身最後まで渋ってたのを頼み込んで承諾させたんだ。すべての責任は俺にある」
カルムが昔からレイを大事にしていることも、カルムとナターシャがサラサを可愛がっていることもギルドマスターは嫌というほど知っている
本気で怒らせたらこの町などひとたまりもないだろう
それ故にレイが望んだのがギルドマスター直々の説明だったという
「…まぁこのタイミングでレイが乗り込んできてないってことはサラサの事も大丈夫なんだろうけど…次はねえぞ」
カルムの声には怒りがこもっていた
「もしまたあいつらをこんなふざけたことに巻き込んだら俺が相手になってやる」
「わ、わかった。もう二度としない」
ギルドマスターは何度も頷いていた
そしてギルドマスターの努力もあり不穏な噂はすぐに消えていった
◇ ◇ ◇
「あんたがこの人の彼女?」
レイとギルドの前で話していると突然声をかけられた
「あ…」
見覚えのあるその女性はレイと一緒に歩いていた人だった
「何だよ?もう依頼終わったから用は無いだろ?」
「ちょっ…レイ?」
突き放すようなそんな接し方をするレイを初めて見て戸惑ってしまう
「依頼のせいで嫌な思いしたんでしょ?」
「…」
何が言いたいのかわからず思わず身構える
「誤解しないで。辛い思いしたあんたに土産話でもと思ってね」
彼女はそう言って意味ありげに笑う
「この人依頼で私といる間ずっとしかめっ面だったのよ?」
「え…?」
「腹が立ったから無理矢理腕を掴んでたら眉間にしわ寄せて睨んでくんの!」
笑いながら言う彼女にレイが顔を背けてため息を吐く
「私それ見たら楽しくなっちゃって」
どうやら楽しげに見えたのはレイをからかっていたからだということらしい
知ってしまうとどう返していいかわからなくなってしまった
「あんた本当に愛されてるね?私はこんな男嫌だけど」
「…えっと?」
「束縛激しそうだし?ほら、今だって私相手に牽制してる」
レイを見ると彼女をずっと警戒しているように見えた
「でも私にもダーリンいるから安心してよね」
彼女はそう言って袖をまくって見せる
そこにはミスリルのブレスレットがあった
「あんたの恋人は何も言わないのか?」
「あの人も自由にやってるからね。お互いその距離感が好きでずっと一緒にいる。あ、もちろん一緒にいるときは2人の世界だけど」
そう言いながらも彼の話をする彼女は優しい目になっている
「だとしてもあんな依頼受けて大丈夫だったのか?」
「そうねぇ…そのあたりは問題ないんじゃない?2年前に結婚したけど、魔法陣出てないでしょ?」
「あぁ…そういうことか」
ようやくレイが警戒を解いた
魔法陣が何のことをさしているのかわからず首をかしげているとレイは何でもないと言いながら笑った
暫く3人で立ち話をした後、彼女はこの町を出て行った
このあとダーリンと落ち合う予定らしい彼女は『落ち合えば少なくとも丸3日はベッドから逃がしてもらえないだろうけど』と、ちょっと恐ろしい言葉を残していった
レイは眠りに落ちたサラサを抱き上げるとベッドに寝かせた
少し外の空気を吸うために離れようとして服を掴まれていることに気付く
離れるのを諦めて隣に横になると、肘をつきサラサの顔をしばらく眺めていた
不安の浮かんでいた顔も今は穏やかになっていた
それを見ているレイの顔にも穏やかな笑みが浮かんでいた
「レイ…」
「ん?」
目が覚めたのかと思ったが違ったらしい
思わず笑みを零し髪をなでる
「…大好…き…」
そう零した顔は幸せそうに笑みを浮かべていた
「俺もだよ」
サラサを抱き寄せ耳元でささやく
レイは胸に顔を埋めてきたサラサを心から愛おしいと感じていた
◇ ◇ ◇
翌日、町ではギルドがこの1週間の事情を説明してまわっていた
どうりで…と納得する者
なんだ…とつまらなさそうにする者
なんてことを…と怒り出す者
様々な反応が溢れていたものの町の中にあった微妙な空気は少しずつ薄れていく
◇ ◇ ◇
そんな中、弾丸のメンバーに至ってはギルドに入るなり個室へ通され説明を受けた
「…事情は分かったが何でこんな個室で説明受けてんだ?」
カルムの率直な疑問だった
「…レイが依頼を引き受ける条件だったんだよ」
バツが悪そうにギルドマスターが言う
「依頼の事でもしお前らがサラサのために怒り狂ったら…自分の命が危ないから責任もって説明してくれって言われたんだよ」
「…」
「前もって説明できない以上サラサが傷つくリスクもでかい。それがわかった上で俺も依頼した。レイ自身最後まで渋ってたのを頼み込んで承諾させたんだ。すべての責任は俺にある」
カルムが昔からレイを大事にしていることも、カルムとナターシャがサラサを可愛がっていることもギルドマスターは嫌というほど知っている
本気で怒らせたらこの町などひとたまりもないだろう
それ故にレイが望んだのがギルドマスター直々の説明だったという
「…まぁこのタイミングでレイが乗り込んできてないってことはサラサの事も大丈夫なんだろうけど…次はねえぞ」
カルムの声には怒りがこもっていた
「もしまたあいつらをこんなふざけたことに巻き込んだら俺が相手になってやる」
「わ、わかった。もう二度としない」
ギルドマスターは何度も頷いていた
そしてギルドマスターの努力もあり不穏な噂はすぐに消えていった
◇ ◇ ◇
「あんたがこの人の彼女?」
レイとギルドの前で話していると突然声をかけられた
「あ…」
見覚えのあるその女性はレイと一緒に歩いていた人だった
「何だよ?もう依頼終わったから用は無いだろ?」
「ちょっ…レイ?」
突き放すようなそんな接し方をするレイを初めて見て戸惑ってしまう
「依頼のせいで嫌な思いしたんでしょ?」
「…」
何が言いたいのかわからず思わず身構える
「誤解しないで。辛い思いしたあんたに土産話でもと思ってね」
彼女はそう言って意味ありげに笑う
「この人依頼で私といる間ずっとしかめっ面だったのよ?」
「え…?」
「腹が立ったから無理矢理腕を掴んでたら眉間にしわ寄せて睨んでくんの!」
笑いながら言う彼女にレイが顔を背けてため息を吐く
「私それ見たら楽しくなっちゃって」
どうやら楽しげに見えたのはレイをからかっていたからだということらしい
知ってしまうとどう返していいかわからなくなってしまった
「あんた本当に愛されてるね?私はこんな男嫌だけど」
「…えっと?」
「束縛激しそうだし?ほら、今だって私相手に牽制してる」
レイを見ると彼女をずっと警戒しているように見えた
「でも私にもダーリンいるから安心してよね」
彼女はそう言って袖をまくって見せる
そこにはミスリルのブレスレットがあった
「あんたの恋人は何も言わないのか?」
「あの人も自由にやってるからね。お互いその距離感が好きでずっと一緒にいる。あ、もちろん一緒にいるときは2人の世界だけど」
そう言いながらも彼の話をする彼女は優しい目になっている
「だとしてもあんな依頼受けて大丈夫だったのか?」
「そうねぇ…そのあたりは問題ないんじゃない?2年前に結婚したけど、魔法陣出てないでしょ?」
「あぁ…そういうことか」
ようやくレイが警戒を解いた
魔法陣が何のことをさしているのかわからず首をかしげているとレイは何でもないと言いながら笑った
暫く3人で立ち話をした後、彼女はこの町を出て行った
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