[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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25.新しい家

4

「お姉ちゃん、メリッサお姉ちゃん来た」
魔道具が鳴り見に行ったマリクがメリッサさんを伴って戻ってきた

「メリッサさんいらっしゃい」
「おじゃまします。今日はよろしくね」
「はい。じゃぁさっそく始めましょうか」
「シア大丈夫?」
「大丈夫よ。ナターシャさんが見ててくれるから」
リビングではすでにナターシャさんがシアを構い始めていた
元々子供好きらしくマリクと同等にかわいがってくれている
いつもはマリクが独り占めしているので嬉しくて仕方ないと言っていた

「メリッサさんは絞り出し、マリクは型抜きにしようと思ってるの」
「型抜きって何?」
「マリク動物さん好きでしょう?」
「うん。動物好き」
「この動物さんの形のクッキーを作るのはどう?」
「する!」
色んな形の動物を見てワクワクしてるのが分かる

「基本は一緒だからね」
そう言って2人それぞれのペースで作業を進めていく
その合間に自分のストックのためにハーブや野菜、ドライフルーツを混ぜたものやコーヒー、ココアの味付きのものを準備する

「そうそう、マリク上手。この粉が見えなくなるまでもうちょっと頑張って」
「うん!」
小さい手で一生懸命頑張るのを見ていると頬が緩んでしまう

「どんな感じ?」
ナターシャさんはこうして時々様子を見に来る
マリクが気になって仕方ないようだ

「ママはあっちで待ってて」
そのたびにマリクに追い返されて少ししょんぼりしてリビングに戻っていく
私はコーヒーを用意してナターシャさんに出した

「なんだか寂しいわ」
間違いなく本音だ

「ふふ…でもマリクはママとパパのために頑張ってるからね。ちょっとだけ我慢してあげて下さい」
「分かってるんだけどね…」
「その気持ちはわかります。私もシアの事はずっと抱いてても足りないから」
ナターシャさんに抱っこされているシアの頬をつつくとシアは声を上げて笑う

「だからシア、ナターシャさんともうちょっと待っててね」
シアの額に口づける

「みんなも昼過ぎには戻るんだっけ?」
「クッキー楽しみにしてるから意地でも早く終わらせてくるんじゃないかしら?」
「確かに。じゃぁ私も頑張って作りますね」
そう言ってキッチンに戻るとメリッサさんが助けてという目で見てくる

「変な形になっちゃうのよ」
絞り出された生地が歪になっている

「メリッサさんもっかいやってみて?」
お願いするとものすごくゆっくり絞り出している
それは歪にもなるだろう
「ちょっとかしてもらってもいい?」
絞り出しようの袋を受け取ると1列分をテンポよく絞り出す

「こんな感じで一気に出す方がいいかも。大きさが不ぞろいなのも逆に楽しめるから」
なるほどと頷ずいたメリッサさんはさっきよりテンポよく絞り出していく
「あとはドライフルーツをこんな感じでのせるのもありかな。大きさごとにフルーツ変えれば不ぞろいなのもごまかせるし」
「それいいかも。小さめのにオレンジで…」

メリッサさんが楽しんでいる間にマリクは型抜きに入る

「マリクそれくらいでいいよ。つぎはねぇこうして…」
1つ型抜きをやって見せる

「できそう?」
「うん!」
マリクはすぐに色んな形でクッキーを作り始めた

準備の出来たものから焼き始めると少しずついい香りが漂いだした
「そろそろシアのミルクかなぁ」
2人にはそのまま続けてもらってリビングに移動する

「どうかした?」
「シアのミルクの時間」
「そっか」
ナターシャさんからシアを抱き受けソファに座る
シアはすぐに母乳を飲み始めた

「クッキーはどんな感じ?すっごい甘い香りがしてるんだけど」
「準備できたものから焼き始めてるよ」
「まさかマリクがあんなに真剣に作ってくれるなんてねー」
キッチンの方を見てナターシャさんは言う

「ママ愛されてるから」
「もぅ…サラサちゃんからかわないでくれる?」
「いつもからかわれるから仕返しです」
しばらくナターシャさんとくつろいでいた

「ほんと、いい家よね」
「なぁに突然?」
「特別な何かがあるわけじゃないはずなのにあたたかい」
うん。それは何となくわかる

「みんなが自然に集まって笑顔が溢れて…」
「マリクもシアもここで伸び伸び育ってくれると思ったら幸せだなーって思うわけ。それが自分の家だと思うとなおさらね」
前は一緒に住んでいたとはいえあくまでレイの家だった
勝手知ったるとはいえ何か思うことはあったのだろう

「だぁ…うー」
「あらシア、おなかいっぱいになった?」
ご機嫌なシアの背中を叩いてげっぷさせると手足をバタつかせる

「相変わらずのご機嫌さんねぇ?」
額に口づけるとキャッキャと笑う

「お姉ちゃんできた!」
「はーい」
ナターシャさんと笑いながらシアを預ける

「じゃぁこの残ってるのがもったいないからもう一回こねると…」
「もっと作れる?」
「当たり。これをさっきみたいにもう一度伸ばしてごらん」
「わかった」
マリクは一生懸命生地を伸ばし再び型を抜いていく
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