48 / 61
本編
24.穏やかな時間②
しおりを挟む
「既成事実を作って取り入ろうとしてたんだろうな」
「…」
「使用人に金を掴ませて入り込んだり、呼ばれた席でクスリ仕込まれたりかな。まぁクスリなんて効かねぇけど」
その言葉にようやくこれまでの謎が解けた気がする
そんなことが日常的に起こってれば気の休まる時がないはずだ
『ずっと張りつめた精神でやってきたレオンを癒してやってくれ』
初めてミカエルに会った時に言われた言葉が頭を過る
あれは全てを分かっていて零された言葉なのだろう
「女の人を異常に避けるのも、外で何も口に入れないのも…使用人を置かないのもそのせい?」
「ああ」
なんてことだろう
そんな辛い状況でレオンは一人で耐えてきたんだ
そう思うとやり切れない気持ちが溢れてくる
「例のパーティーの後、ミカエルが俺の立ち位置をはっきりさせてくれただろ」
「うん。中立で政治的なかかわりを持たないって宣言してたやつだよね」
「ああ。おかげで俺を取り込む価値がなくなったし、お前との事も国が後ろ盾になったから手を出せなくなった。お前に手を出すってことは国に手を出すと同義になったからな」
そう言うレオンの顔には安堵が見える
「だから…少しは気が楽になった?」
「一応な。ただ、警戒し続けてきた時間が長い分簡単にはいかない」
申し訳なさそうに言うレオンの髪をなでる
「それでもいい。レオンが普通の生活を送れるようになってきたならそれでいい」
「お前らしいな」
伸ばされた手が頬に触れる
「こんな穏やかな時間が持てるとは思ってなかった」
「そう?」
「子どもの頃からずっと望んでたけど、決して手に入らなかったものだからな。こいつらには絶対あんな思いはさせたくない」
「そうだね。何があっても守りたい。どんな時でもこの子たちの為に動きたい」
「ああ」
「これからもっとたくさんの幸せを作って行こうね」
あの日、自分の為に出来る仕返しはした
無駄にされた長い時間の正当な補填もさせてもらった
もっと懲らしめてやることも出来たけどそんなことをしても私たちの時間は戻らない
辛かった日々がなくなるわけでもない
だから私たちに価値を見出した元家族を切り捨てることで終わりにしたのだ
「マリエルの事も絶対守るよ」
そう言いながら首に回った手に引き寄せられる
2年前に、あるきっかけでヨハンとは和解した
もう会うことは無いだろうけど元気にやっていればいいと思う
残念ながらレクサとシャロンとは平行線のままだけど、その後あの人たちがどうなろうと私には関係ないことだ
ただ、この先顔を合わせたり、関わることがあったとしても幸せだと胸を張って言える自分でありたい
心からそう思った
END
*******
これにて本編完結です。
この後番外編にすすみます!
「…」
「使用人に金を掴ませて入り込んだり、呼ばれた席でクスリ仕込まれたりかな。まぁクスリなんて効かねぇけど」
その言葉にようやくこれまでの謎が解けた気がする
そんなことが日常的に起こってれば気の休まる時がないはずだ
『ずっと張りつめた精神でやってきたレオンを癒してやってくれ』
初めてミカエルに会った時に言われた言葉が頭を過る
あれは全てを分かっていて零された言葉なのだろう
「女の人を異常に避けるのも、外で何も口に入れないのも…使用人を置かないのもそのせい?」
「ああ」
なんてことだろう
そんな辛い状況でレオンは一人で耐えてきたんだ
そう思うとやり切れない気持ちが溢れてくる
「例のパーティーの後、ミカエルが俺の立ち位置をはっきりさせてくれただろ」
「うん。中立で政治的なかかわりを持たないって宣言してたやつだよね」
「ああ。おかげで俺を取り込む価値がなくなったし、お前との事も国が後ろ盾になったから手を出せなくなった。お前に手を出すってことは国に手を出すと同義になったからな」
そう言うレオンの顔には安堵が見える
「だから…少しは気が楽になった?」
「一応な。ただ、警戒し続けてきた時間が長い分簡単にはいかない」
申し訳なさそうに言うレオンの髪をなでる
「それでもいい。レオンが普通の生活を送れるようになってきたならそれでいい」
「お前らしいな」
伸ばされた手が頬に触れる
「こんな穏やかな時間が持てるとは思ってなかった」
「そう?」
「子どもの頃からずっと望んでたけど、決して手に入らなかったものだからな。こいつらには絶対あんな思いはさせたくない」
「そうだね。何があっても守りたい。どんな時でもこの子たちの為に動きたい」
「ああ」
「これからもっとたくさんの幸せを作って行こうね」
あの日、自分の為に出来る仕返しはした
無駄にされた長い時間の正当な補填もさせてもらった
もっと懲らしめてやることも出来たけどそんなことをしても私たちの時間は戻らない
辛かった日々がなくなるわけでもない
だから私たちに価値を見出した元家族を切り捨てることで終わりにしたのだ
「マリエルの事も絶対守るよ」
そう言いながら首に回った手に引き寄せられる
2年前に、あるきっかけでヨハンとは和解した
もう会うことは無いだろうけど元気にやっていればいいと思う
残念ながらレクサとシャロンとは平行線のままだけど、その後あの人たちがどうなろうと私には関係ないことだ
ただ、この先顔を合わせたり、関わることがあったとしても幸せだと胸を張って言える自分でありたい
心からそう思った
END
*******
これにて本編完結です。
この後番外編にすすみます!
11
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
拝啓。私を追い出した皆様へ! 化け物と噂の辺境伯に嫁がされましたが噂と違い素敵な旦那様と幸せに暮らしています。
ハーフのクロエ
恋愛
公爵家の長女のオリビアは実母が生きている時は公爵家令嬢として育ち、8歳の時、王命で王太子と婚約して12歳の時に母親が亡くなり、父親の再婚相手の愛人だった継母に使用人のように扱われていた。学園の卒業パーティーで婚約破棄され、連れ子の妹と王太子が婚約してオリビアは化け物と噂のある辺境伯に嫁がされる。噂と違い辺境伯は最強の武人で綺麗な方でオリビアは前世の日本人の記憶持ちで、その記憶と魔法を使い領地を発展させて幸せになる。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる