ファンタジー短編集

真那月 凜

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前世からの約束

第2話 浮島へ

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4人は海の上に姿を現したトンネルの中を走っていた
自分たちからは周りが360度見渡せるのに外からはただ普通に景色が続いているようにしか見えない
最初交代で中に入り、外から人がいることなど認識できない事は確認済みだ

「すごいよね?水の上を普通に自転車で走るとか…」
実津杞はどこか嬉しそうにそう言った

「雨が降っても、風が吹いても影響なしだもんね」
「外からはこの壁にすら触れられなかったのにな」
皆の言葉に玲衣だけが苦笑する

「ねぇ、この力ってどのくらい持つものなの?」
「さぁ」
「さぁって・・・あの島まで持つよな?」
冴那弥の問いにしれっと答えた玲衣を斗希が恨めしそうに見た
途中で力が切れるということはそのまま海に沈むということであると考えればそれも当然だ

「それは問題ない。俺が必要だと思ってればそのまま保てる」
「じゃぁなんで『さぁ』なの?」
「半年維持したことはあるけどそれ以上はどれくらい持つか知らねえ」
玲衣の言葉に3人が顔を見合わせた

「・・・お前はそう言うやつだよな」
「は?」
「何でもない。それより・・・そろそろ休憩にしないか?」
斗希が提案する

「そうだね。のどかわいたかも」
実津杞の即答に休憩することが決まる
走りながらでも水分補給くらいしているだろう とは言わない
多くを語らなくても4人は互いの思っていることを何となく感じることができるからだ

既に3日目に入っている為 皆多少の疲れが見える
「あと1時間くらいかな?」
「だな。それにしてもあの島、一体何があるんだろうな?」
斗希が前方に大きく見える島を眺めながら言うと、3人の視線も自然と島に向く

「・・・冴那弥お前?」
玲衣の言葉に斗希と実津杞が冴那弥を見ると涙を流していた

「わかんな・・・ただ何となく懐かしい感じと悲しい感じが・・・」
答えながらなんとか涙を抑えようとするが叶わない

「懐かしい感じ・・・」
「悲しい感じ・・・」
実津杞と斗希が呟くように言う

「・・・呼んでる?」
玲衣が立ち上がる
「玲衣?どうし・・・」


『そなた達は・・・』


玲衣に問おうとした時声が聞こえた
「「「「え?」」」」
4人は顔を見合わせる

「頭の中で声が・・・」
「気のせい?」


『そなた達がこの島に足を踏み入れるのを歓迎しよう』
『その道の先に特別なゲートを設けよう 島の最奥で待っている』


再び聞こえたその声に引き寄せられるように、4人は誰からともなく立ち上がり荷物をまとめて再び走り出した
これまで常に飛び交っていた会話は---無い
無言のまま、ただ浮島を見据えてペダルを漕ぎ続ける

その目はどこか虚ろで光を失っていた
どこか異常にも見えるその光景に気付く者はいない
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