5 / 8
前世からの約束
第4話 信じられない光景
しおりを挟む
玲衣が何とか冴那弥を押さえているところに斗希と実津杞も駆け寄ってきた
「冴那弥!」
何とか腕から逃れようとする冴那弥を玲衣は強く抱きしめた
「・・・」
「頼むから落ち着いてくれ冴那弥」」
「・・・玲衣?」
突然冴那弥の抵抗がなくなった
「よかった冴那弥・・・」
実津杞がほっとしたようにほほ笑んだ
「一体・・・?」
「あんたあの人たちみたいに大木に向かって行こうとしてたのよ」
「何か心当たりでもあんのか?」
「心当たり・・・?」
斗希の言葉に記憶をたどるが何もない
「ただ・・・『早くここへ』ってずっと呼ばれて・・・た・・・?」
それすら確信がもてないようだ
「ねぇ、あれ・・・やばくない?」
実津杞が大木の方を指さして顔をひきつらせた
大木の前で10人近くの者が跪いている
片膝をつき大木に向かって敬意を払う
どう考えても普通の行動とは思えない
「何か言ってる?」
斗希が玲衣の背中に手を添えながら言った
その手からうっすらと光が出ていた
斗希の力
それは触れた相手の病気やけがを治せるもの
ファンタジーの世界では魔法で治すなどごく普通にある力
でも現代の斗希達の住む世界では未知の力でしかない
好意で治療しても気味悪がられ
頼まれて断ると逆切れされる
力につられて近寄ってきたのはネタにしようとしたマスコミと、利用しようとした権力者のみ
いつからか斗希はこの力を仲間の3人にしか使わなくなり、それ以外の人間には隠すようになっていた
「サンキュー斗希。もう大丈夫だ」
心配そうにそばで見ていた冴那弥に微笑んでから玲衣は立ち上がる
「何を言ってるのか気になるからそばに行ってみよう」
「ああ。このままじゃ状況が分からないもんな」
玲衣と斗希の後を実津杞と冴那弥がついていく
「どうかお許しを・・・」
「あの時代の事はもう・・・」
「何とか命だけは・・・」
そばに寄って聞こえたのはそんな言葉だった
「あの時代?」
「命だけは・・・?」
聞き捨てならない言葉がやけに耳に残る
それは4人共同じようだった
『生きたい。そう思っていた我らを切り捨てたのは他でもなそなた達だ』
「「「「え・・・?」」」」
突然聞こえてきた声に4人は顔を見合わせる
『我らはそなた達の愚行によって海の藻屑となった』
「分かっています。全て私たちが悪かったのです」
「でも、あの時はそれが正しいと思っていた」
「他に方法を見つけることができなかったのです」
跪く人たちと大木の会話だった
「一体何がどうなって・・・?」
実津杞は気味悪さに後ずさる
『我らの心は決まっている』
「神木様!」
「どうかお助け下さい・・・どうか・・・!」
彼らは大木に向かって『神木様』と呼びかける
「神木って・・・何の冗談?」
「あの人たちが神を信じるとか…・どう考えてもあり得ないんだけど?」
「そうだな。それに会話の内容が変だ。まるで遠い過去の事を話してるみたいだ」
「・・・でも1人や2人じゃないんだよ?それが同時に遠い過去の話しなんてする?」
4人は首をかしげながら、それでも立ち去ることも出来ずに見守っていた
『これを見ても同じことが言えるのか?』
大木がそう発した直後空中に10人弱の子供の姿が浮かんだ
「真弓!明彦!・・・直哉まで・・・」
「美紀?どうしてお前がここに?」
「助けてお父さん・・・気づいたらここに・・・怖いよ・・・助けて・・・!」
「パパ、ママ・・・!助けて!」
大人たちの声も子供たちの声も入り乱れて誰が何を言っているのかわからくなりそうな混乱が生じていた
それでも今目の前で宙に浮かんでいる子供たちが大木の前で跪く彼らの子供たちなのであろことだけは分かる
「どうして子供たちを・・・!?」
『どうして・・・?』
大木のその言葉と共に強い風が吹いた
その途端子供たちの悲鳴が響き渡る
大人たちの目の前で刃となった風に子供の体が傷つけられていた
「やめてくれ!この子たちには何の罪もない・・・!」
「頼むから子供を傷つけないで・・・」
『我らの子供たちはあの日無残に焼き殺された。あの子たちに罪はあったのか?』
「それは・・・!」
答えられるはずがなかった
そもそも罪などなかった
でも無いといえば今目の前で子供たちを傷つけるのをやめる理由はなくなる
『何度生を繰り返しても自分本位な生き方は変わらぬということか』
その声には諦めが滲んでいるように感じた
『ならばその輪廻を断ち切るまでの事』
次の瞬間大人たちが立ち上がり大木に向かって再び足を進めだす
「何だ・・・?やめてくれ・・・!」
「いやだ!これ以上進んだら・・・」
「イヤ・・・お願いだから・・・」
その言葉の意味が分からず4人はただ立ち尽くす
そして次の瞬間絶句した
「「「「!!」」」」
4人の目の前で彼らは悲鳴を上げながら崖から落ちていったのだ
とっさに崖に駆け寄って下を覗き込む
でもそこには真っ白な砂浜が広がっているだけだった
「一体何が?あの人たちはどこに・・・」
「それに浮いてた子供たちもいないわ」
信じられないことが立て続けに起こったことだけは分かる
そんな4人の周りにはただ美しい景色が広がっているだけだった
「冴那弥!」
何とか腕から逃れようとする冴那弥を玲衣は強く抱きしめた
「・・・」
「頼むから落ち着いてくれ冴那弥」」
「・・・玲衣?」
突然冴那弥の抵抗がなくなった
「よかった冴那弥・・・」
実津杞がほっとしたようにほほ笑んだ
「一体・・・?」
「あんたあの人たちみたいに大木に向かって行こうとしてたのよ」
「何か心当たりでもあんのか?」
「心当たり・・・?」
斗希の言葉に記憶をたどるが何もない
「ただ・・・『早くここへ』ってずっと呼ばれて・・・た・・・?」
それすら確信がもてないようだ
「ねぇ、あれ・・・やばくない?」
実津杞が大木の方を指さして顔をひきつらせた
大木の前で10人近くの者が跪いている
片膝をつき大木に向かって敬意を払う
どう考えても普通の行動とは思えない
「何か言ってる?」
斗希が玲衣の背中に手を添えながら言った
その手からうっすらと光が出ていた
斗希の力
それは触れた相手の病気やけがを治せるもの
ファンタジーの世界では魔法で治すなどごく普通にある力
でも現代の斗希達の住む世界では未知の力でしかない
好意で治療しても気味悪がられ
頼まれて断ると逆切れされる
力につられて近寄ってきたのはネタにしようとしたマスコミと、利用しようとした権力者のみ
いつからか斗希はこの力を仲間の3人にしか使わなくなり、それ以外の人間には隠すようになっていた
「サンキュー斗希。もう大丈夫だ」
心配そうにそばで見ていた冴那弥に微笑んでから玲衣は立ち上がる
「何を言ってるのか気になるからそばに行ってみよう」
「ああ。このままじゃ状況が分からないもんな」
玲衣と斗希の後を実津杞と冴那弥がついていく
「どうかお許しを・・・」
「あの時代の事はもう・・・」
「何とか命だけは・・・」
そばに寄って聞こえたのはそんな言葉だった
「あの時代?」
「命だけは・・・?」
聞き捨てならない言葉がやけに耳に残る
それは4人共同じようだった
『生きたい。そう思っていた我らを切り捨てたのは他でもなそなた達だ』
「「「「え・・・?」」」」
突然聞こえてきた声に4人は顔を見合わせる
『我らはそなた達の愚行によって海の藻屑となった』
「分かっています。全て私たちが悪かったのです」
「でも、あの時はそれが正しいと思っていた」
「他に方法を見つけることができなかったのです」
跪く人たちと大木の会話だった
「一体何がどうなって・・・?」
実津杞は気味悪さに後ずさる
『我らの心は決まっている』
「神木様!」
「どうかお助け下さい・・・どうか・・・!」
彼らは大木に向かって『神木様』と呼びかける
「神木って・・・何の冗談?」
「あの人たちが神を信じるとか…・どう考えてもあり得ないんだけど?」
「そうだな。それに会話の内容が変だ。まるで遠い過去の事を話してるみたいだ」
「・・・でも1人や2人じゃないんだよ?それが同時に遠い過去の話しなんてする?」
4人は首をかしげながら、それでも立ち去ることも出来ずに見守っていた
『これを見ても同じことが言えるのか?』
大木がそう発した直後空中に10人弱の子供の姿が浮かんだ
「真弓!明彦!・・・直哉まで・・・」
「美紀?どうしてお前がここに?」
「助けてお父さん・・・気づいたらここに・・・怖いよ・・・助けて・・・!」
「パパ、ママ・・・!助けて!」
大人たちの声も子供たちの声も入り乱れて誰が何を言っているのかわからくなりそうな混乱が生じていた
それでも今目の前で宙に浮かんでいる子供たちが大木の前で跪く彼らの子供たちなのであろことだけは分かる
「どうして子供たちを・・・!?」
『どうして・・・?』
大木のその言葉と共に強い風が吹いた
その途端子供たちの悲鳴が響き渡る
大人たちの目の前で刃となった風に子供の体が傷つけられていた
「やめてくれ!この子たちには何の罪もない・・・!」
「頼むから子供を傷つけないで・・・」
『我らの子供たちはあの日無残に焼き殺された。あの子たちに罪はあったのか?』
「それは・・・!」
答えられるはずがなかった
そもそも罪などなかった
でも無いといえば今目の前で子供たちを傷つけるのをやめる理由はなくなる
『何度生を繰り返しても自分本位な生き方は変わらぬということか』
その声には諦めが滲んでいるように感じた
『ならばその輪廻を断ち切るまでの事』
次の瞬間大人たちが立ち上がり大木に向かって再び足を進めだす
「何だ・・・?やめてくれ・・・!」
「いやだ!これ以上進んだら・・・」
「イヤ・・・お願いだから・・・」
その言葉の意味が分からず4人はただ立ち尽くす
そして次の瞬間絶句した
「「「「!!」」」」
4人の目の前で彼らは悲鳴を上げながら崖から落ちていったのだ
とっさに崖に駆け寄って下を覗き込む
でもそこには真っ白な砂浜が広がっているだけだった
「一体何が?あの人たちはどこに・・・」
「それに浮いてた子供たちもいないわ」
信じられないことが立て続けに起こったことだけは分かる
そんな4人の周りにはただ美しい景色が広がっているだけだった
20
あなたにおすすめの小説
婿入り条件はちゃんと確認してください。
もふっとしたクリームパン
恋愛
<あらすじ>ある高位貴族の婚約関係に問題が起きた。両家の話し合いの場で、貴族令嬢は選択を迫ることになり、貴族令息は愛と未来を天秤に懸けられ悩む。答えは出ないまま、時間だけが過ぎていく……そんな話です。*令嬢視点で始まります。*すっきりざまぁではないです。ざまぁになるかは相手の選択次第なのでそこまで話はいきません。その手前で終わります。*突発的に思いついたのを書いたので設定はふんわりです。*カクヨム様にも投稿しています。*本編二話+登場人物紹介+おまけ、で完結。
王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
使い捨て聖女の反乱
あんど もあ
ファンタジー
聖女のアネットは、王子の婚約者となり、瘴気の浄化に忙しい日々だ。 やっと浄化を終えると、案の定アネットは聖女の地位をはく奪されて王都から出ていくよう命じられるが…。 ※タイトルが大げさですがコメディです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる