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『~~~~~♪』
携帯が鳴っていた

「睦美・・・」
表示された名前を見て電話に出る
「はい」
『どうしたのよ?今日サボり?』
明るい声がする

「睦美・・・」
『何、どうしたのよ?』
涙声に気付いた睦美は心配そうに尋ねる

『今日の講義終わったから今から行くわ。すぐ行くから!』
睦美は返事も聞かずに電話を切ってしまった
そして言葉通り20分もしないうちにやってきた

「どうしたのよ?」
部屋に入るなり尋ねる
「睦美・・・私琉稀さんのこと好き・・・」
「志帆・・・」
「ずっと気付かない振りしてた。自分が誰かを好きだなんて認めたくなかったから・・・」
志帆は部屋の隅でうずくまる様にして座っていた

「・・・ねぇ、私はずっと志帆が琉稀さんに惹かれてるの気付いてたよ?単なる照れ隠しだと思ってたけどそうじゃなかったの?」
睦美は志帆の正面にしゃがみこむ
「志帆ってすごいモテるのに誰とも付き合わないじゃない?それは琉稀さんが好きだからだって思ってたけど違うの?」
「・・・」
志帆は黙り込む

「言いたくないなら無理に言わなくてもいいけど誰かに話すことで志帆が楽になるならいくらでも聞くよ?」
睦美はそう言って微笑んだ
「睦美・・・」
志帆はその睦美の笑顔にすがりつくように話し出した




「・・・私高校の頃付き合ってる人がいたの。中学からの腐れ縁でいつも一緒にいて・・・高1の誕生日に告白されてからずっと付き合ってた」
「・・・」
「優しくて、強くて皆から好かれてて・・・ずっと一緒にいれると思ってた。彼が・・・愁が大好きだった。愁がいれば他に望むものなんて何もなかった・・・!」
「志帆・・・」

「本当だったら愁もここにいたはずなの。大学は違ったけど、お互いの親に許してもらってこの部屋で一緒に住む事決まってた。でも・・・2人で卒業旅行に行った日、愁は私の目の前で道路に飛び出した子供を庇って死んじゃった・・・」
「・・・!」
睦美は息を飲んだ

「消えてしまうくらいなら大切なものも大切な人も欲しくない。ずっとそう思ってきたの。あんな思いはもう二度としたくないから・・・だけど・・・」
「気持ちは止められない・・・よね?」
睦美が覗き込むようにして言う

「4年間一人で必死で生きてきた志帆はすごいと思う。でもね、人は一人じゃ生きられないよ?」
「・・・でもやっぱり私は一人だよ」
「志帆・・・」
「琉稀さんね、瑞穂さんとは別れたけど大切な人がいるんだって。それに・・・」
「それに?」
「怖いの私の中の愁は絶対に消えないから・・・」
志帆の声はかすれていた
睦美はかける言葉を見つけることが出来なかった

ずっと閉じていた心が開きかけたとき、その相手には大切な人がいた
そして臆病な志帆の心は再び閉じようとしていた

「ごめん睦美。明日からちゃんと行くから・・・」
「私に気を使う必要なんてないよ。だから無理だけはしないで」
睦美にそう言われて志帆は無言で頷いた
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