[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
20 / 317
8.晩餐

1

しおりを挟む
「足りないものはおいおい準備すればいいし…とりあえず今は食事の支度が最優先事項って感じかな?」
「そうだな。つっても俺は見てるだけだけどな」
手伝うのはいいが何も作れないからなと念押しされた

「ふふ…じゃぁ味見くらいは手伝ってもらおうかな」
私は笑いながらそう言い、ロキと一緒にキッチンに向かった

「その親子にはいくら払うんだ?」
「これまでと同額の7万シアの予定よ」
「7万ね…」
「ジョンの10万にしても7万にしても低すぎるのは分かってる」
「だったら…」
ロキはもっといい値を付ければいいだろうという顔をした

「増やすのは簡単だけど多分不信感しか持たないと思うの。それに同じ7万でもそこから家賃で4万消えてたみたいだからその分余分に手元に残るでしょう?」
「…」
だからその額で充分だなんて思わないけど

「ジョンと話してる時に、ジョンは少なくとも10万は自分一人の額だと主張したそうだったから一旦そこに設定しただけ。ウーはまだ10歳だからこれから考えるわ」
「一旦?」
「これから少しずつ上乗せするのは簡単なことでしょう?まずはここに留まってもらうことの方が重要かなって」
留まりさえしてもらえれば、これからのかかわり方次第で何とでもなるはずだから

「確かにいい人材は簡単に出会えるものじゃないな」
「そういうこと。それにこれまでに見た事の無い額を手にして壊れていく人をたくさん見てきたから」
それが自分の身うちだと目も当てられない
その先に待っているのは崩壊という言葉のみなのだから

「オリビエ?」
少し感傷に浸ってしまっていたらしい

「何でもないよ。ロキこれ味見て」
小皿に少し入れてロキに渡す

「これは?」
「クリームシチュー」
「うん。初めて聞くけど美味いな。ミルクスープに似てるけどもっと濃厚」
ロキはそう言って小皿を返してくれる

「外は結構冷えるみたいだからね。あとはほうれん草のソテーと根菜のフリッター、肉団子とパンくらいかな。みんなが何をどれくらい食べるかわからないから大皿に盛って出そうと思うんだけど…?」
ポカンとこっちを見ているのに気づき首を傾げる

「どうかした?」
少しの不安を含んだ問いかけにロキは苦笑した

「初めて聞くもんばっかで味の想像がつかない。わかるのはパンくらい?」
そういえばここは自分のいた世界と違うんだったと今さらながら実感する

「…一通り全部味見て」
私はフリッターを小さく切り分けてからほうれん草のソテーと肉団子と一緒に皿にのせ小さなフォークと一緒に渡す
食器やカトラリーはかなり豊富に揃えられていた

「ほうれん草のソテーはバターで炒めたもの。フリッターは卵の中に刻んだ根菜が入ってるの。肉団子は…オークをひき肉にして玉ねぎなんかと一緒に味付けして丸めたもの…かな」
簡単に説明するとロキは口に運んでいく

私はロキが1口ずつ味わいながら食べるのを緊張しながら見ていた
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
〜花が良く育つので「緑の手」だと思っていたら「癒しの手」だったようです〜 王都の隅っこで両親から受け継いだ花屋「ブルーメ」を経営するアンネリーエ。 彼女のお店で売っている花は、色鮮やかで花持ちが良いと評判だ。 自分で花を育て、売っているアンネリーエの店に、ある日イケメンの騎士が現れる。 アンネリーエの作る花束を気に入ったイケメン騎士は、一週間に一度花束を買いに来るようになって──? どうやらアンネリーエが育てている花は、普通の花と違うらしい。 イケメン騎士が買っていく花束を切っ掛けに、アンネリーエの隠されていた力が明かされる、異世界お仕事ファンタジーです。 ※本編を加筆修正する予定ですので、一旦一部公開とさせていただいています。 *HOTランキング1位、エールに感想有難うございました!とても励みになっています! ※花の名前にルビで解説入れてみました。読みやすくなっていたら良いのですが。(;´Д`)  話の最後にも花の名前の解説を入れてますが、間違ってる可能性大です。  雰囲気を味わってもらえたら嬉しいです。 ※完結しました。全41話。  お読みいただいた皆様に感謝です!(人´∀`).☆.。.:*・゚

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

闇の王と菫青石の宝珠〜侯爵令嬢ですが、失踪した兄を捜すついでにイケメンだらけの騎士団に潜入して、魔物討伐も行って参りますっ!〜

藤原 清蓮
ファンタジー
ここは、魔法や精霊が存在している世界。ガブレリア王国。 ある日、魔物討伐を専門とする騎士団所属の兄・アレックスが失踪した。その失踪には、800年前に起きた隣国の魔女との争いが関係していた。それを知った双子の妹・アリスは、兄の行方を探すため、双子の友達である神獣と共に、男装して騎士団に潜入する―― 壮大な王道ファンタジー、開幕!! 毎日18時頃に公開予定! ※本作品は、一人称ですが、主人公だけでなく、サブキャラ目線もあるため、苦手な方はご了承ください。 タイトルに(side〜)と書いてあるものは、そのキャラクター視点で、無記名の場合は主人公・アリス視点となります。 ※ゆるふわ設定です。生暖かく見守って頂けると幸いです。 ※カクヨムにて2023年4月に公開スタートし、完結済み。1万PV突破作品! ※表紙絵は、Xの企画にて常葉㮈枯様に描いていただいた、主人公アリスとアレックスのミニチュア画です。

【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
ファンタジー
「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

処理中です...