[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
262 / 317
98.訪問者

1

しおりを挟む
「いらっしゃいませー」
ランチタイムが落ち着いた頃合いで扉が開いた
入ってきたのは1人の年配の男性
彼は店内を見回したもののその場から動こうとしなかった

「お好きな席にどうぞ」
「あ、いや、失礼…つかぬことをお尋ねしますが、こちらにフロックス・グリシーヌという方がおられるとお聞きしてきたのですが」
「フロックス、ですか?」
知り合いかしらと首を傾げながらロキを見る

「あぁ、医局長か」
伺う様に男性を見たロキがそう口にした

「な…クロキュス様…?!」
ロキは驚愕の表情を浮かべた彼に苦笑する

「もう様は不要ですよ。ジルコット殿」
「あ、いや…確かにそうですな。既にあの国は亡びたに等しい今、あの国の全てに意味はない。では私の事も殿は不要です」
ソンシティヴュが関係なくてもカクテュスの王族だけど…

「承知した。あぁ、紹介しますよ。俺の嫁でオリビエ」
「初めまして」
「こちらこそ初めましてですな。ジルコット・チャーム、ソンシティヴュでは医局長をしておりました」
「まぁ、では例の感染症の際にフロックスに協力いただいた方?」
「おや、そこまでご存知で?」
ジルコットは驚いたように言う

「ここは田舎なので話題が少ないんですよ。どうぞ中へ」
このまま入り口で話し続けるわけにもいかないのでテーブル席に案内した

「ロキ、フロックス呼んでくるからお相手お願いね」
「悪いな」
「気にしないで」
私はそう言ってジルコットに会釈してから屋敷の方に向かう
今日はサロンで本を読むって言ってたはず…
今朝聞いた予定を思い出して真っ先にサロンを確認した

「よかった」
「え?」
フロックスは驚いた顔を向けて来る

「フロックスにお客様が来てるの」
「客?俺に?」
心当たりがないんだが、とでも言うように首を傾げる

「ジルコット・チャーム」
「おぉ…医局長か」
「その様子だと約束してたの?」
「いや、約束って程のものでは無いんだけどな。王宮で別れる時に落ち着いたら顔を出してくれと言ってあった」
「そうだったんだ。今カフェでロキが相手してるんだけど来れそう?」
「ああ。行くよ」
フロックスは本をしまって立ち上がる

「確か称号なしの方なんだよね?」
「ああ。王宮を出る時はカクテュスの知り合いを訪ねると言ってたはずだ」
「気さくな方だよね?」
医局長というイメージが自分の中の物と一致しない
どちらかと言えば堅苦しい、気難しいイメージしかもっていなかったから

「そうだな。ある意味貴重だと思うよ」
「え?」
「ソンシティヴュで王宮の医局長だからな。本来なら称号持ちが付く役職」
「確かに…そういう意味ではよく医局長になれたね?」
その立場にいるだけでも風当たりは強そうだけど…

「腕は確かだからな。王族特有の病を初見で見抜いたと聞いてる」
「王族特有…そういうのあるんだね~」
別世界の話だとしか思えない…って実際私にとってここは別世界なんだけど
そんな話をしている間にカフェに着いた

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
ファンタジー
「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

処理中です...