【完結】前世を思い出した身ごもり公爵令嬢は過保護な溺愛国王から逃れたい

愛早さくら

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23・今度こその決意

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 私自身、あまりに流されすぎだろうとは思っていた。
 だけどそれは、これまでの間に私自身の体があまりに陛下に慣らされすぎていて、かつ、陛下のことが好きだからなのだと認識していた。
 それがまさか、子供を宿していたが故であっただなんて。
 否、もちろん、体が慣らされすぎているのも、陛下のことが好きなのも本当で、母体の習性ゆえだけのものではないとは思う。だが、同時におそらく、それらの影響は大きいのではないかとも考えられた。
 子供には魔力が要る。それは仕方がないことだし、わかってもいる。
 それでも昼間からだなんてことだけは控えてもらわなければ。でなくば私自身が羞恥心で死んでしまいそうだ。
 陛下と会う前は、あれほど伝えようと心に決めていたというのに、結局は触れられて流されて、ちっとも伝えられないまま、私は陛下の行為に溺れてしまった。
 情けなくて堪らなかった。

「フィア様……」

 泣きそうな気分で顔を歪める私の背を、リダが気づかわしげに擦ってくれる。
 労りに満ちた彼女の手のあたたかさが、なんだかひどく心強くて。

「リダ」

 何度目か、彼女に縋りついてしまおうと思った。その、瞬間のことだった。

「おい、女。フィアから離れろ」

 聞こえてきた鋭い声に、私とリダは体を強張らせた。
 耳に馴染んだ美声。にもかかわらず、今はひどく厳しい。記憶を探っても、私自身はあまり聞いたことのない声音だった。

「へい、か……?」

 声が聞こえてきた方を見る。
 いつの間に入室していたのか、陛下の寝室とつながっている扉を開け放って、陛下がそこにいた。
 動揺しすぎていたせいだろうか、扉の開く音に気付かなかった。
 と、言うか、陛下は今まさかリダのことを、女だなんて称したのだろうか。

「ああ、フィア、すまない、怖い声を出してしまったね。ただ、そこな侍女がどうも君に必要以上の近さで接しているようだったものだから」

 私が目を見開いてびっくりしていることに気付いたからだろう、陛下がきつくリダを睨みつけていた眼差しをすぐさま緩めて、私へと慈しむ視線で告げてきた。
 言い訳だと感じる。
 否、そうだった、元々陛下はリダのことを快くは思っていないのだ。理由は今、陛下が告げた通り、リダと私があまりに親しすぎるから。
 私は自分の眉根が、きつくぎゅっと寄ったのを自覚した。
 リダは私の大事な侍女である。実家である公爵家から、王宮へと居を移す時にも我儘を言って着いて来てもらった。
 幸い、リダ本人も元よりついてくるつもりだったと聞いて安心した記憶がある。
 私が一番心を許している侍女。
 そんな彼女を、今、陛下は排除しようとしたのだろうか。
 前世を思い出したことを、陛下に知られていたと理解した今、私は表情を取り繕う必要性を全く感じなくなっている。
 だからこそはっきりと、気分を害したことを表情で物語る私に、陛下はへにょりと情けない顔をするばかりだった。
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