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5・必要なこと
しおりを挟む魔力を注ぐ? 俺の中に? それはいったいどうやって。そもそも、魔力とはいったい。
グローディジェの話を聞いてなお腑に落ちない顔をし続ける俺に、グローディジェは更に言葉を重ねることにしたらしい。より、俺に分かりやすいようにと。
「レシア様。何がわからないのです? 魔力について? それとも、魔力を注ぐ具体的な方法?」
両方、否、むしろ全てだ。
言葉にして答えずとも、グローディジェには俺の疑問は伝わったらしかった。順番に両方とも説明してくれる。
「魔力は、この世界のものならすべてが持っている物です。勿論、私も、貴方も。それなくしては生きていけません。特に子供は母体の中にいる限りは肉体を持たず、魔力の塊のまま。このお腹の中に宿っている子供も、今はまだ魔力の塊なのです。そしてだからこそ、育つのには魔力が要る」
言いながら俺の膨らんだ下腹部を示された。俺は知らず、グローディジェにとられたままの手とは逆の手で、そっとそこに触れている。
とくとくと音がする気がした。どうやら心音とは違う、だけど確かに息づいている鼓動。なるほど、この腹に入っているのは魔力の塊なのか。何故かそれについてはすんなりと納得できた。かつ、魔力の塊を子供だと言われても違和感を覚えない。
不思議だった。
「此処までは宜しいですか?」
確かめられて頷く。グローディジェは微笑んで、もう一つの方の俺の疑問も具体的に説明してくれた。……――内容はともかく。
「もう一つの魔力の注ぎ方ですが、簡単な話です。貴方の肛門に私の陰茎を差し込んで体液と共に魔力を注ぎ込むだけなのですから。それが一番的確で効果的なので」
俺は固まった。
肛門に、陰茎を、差し込む……? それはつまり、アナルセックスというものではなかろうか。
いや、確かに伴侶と言っていた。ならばセックスも当たり前にしていたのだろうとは思う。そうは思うのだけれども。
びきり、凍り付いたように動けない俺に構わず、グローディジェは更に続けてくる。
「貴方は男性なので、膣口はありませんからね。其処だけ魔法により変化させることも可能ですが、そうする意味もありませんし、注ぐ場所は肛門で問題ございません」
え、そこだけ変化させることも可能なのか。どういうことなんだ。
魔法? そんなものがあるのか? いや、魔力があるぐらいなのだから当然なのか?
何もわからない。ついていけない。
それよりも先程グローディジェは魔力を注ぐ必要があると言っていなかっただろうか。それはつまり、俺は彼とアナルセックスをしなければならないと、そういう……?
受け入れられなかった。
だって初対面なのだ。
いくらイケメンだからと言って、初対面の男とどうしてそんな行為に至れるというのだろう。しかも俺の肛門に注ぐというのだ。グローディジェの陰茎を、俺の肛門に入れて。
思わず視線が彼の股間に向かっていた。
服の上からだと大きさなどわからない。だが小さいなんてことはないのだろう、だってイケメンだし。
イケメンはきっと股間もイケメンのはずだ。
……無理だろう。
改めて青くなる俺を、しかしグローディジェはそれ以上待つつもりはないようだった。
彼はその眼差しに反してひどく強引である。
「理解しましたね? ではさっそく行きましょう」
「え?」
固まったまま血の気が引く思いをしていた俺を、グローディジェはさっと抱え上げた。
え?
俺はわけがわからないまま、俺はグローディジェに横抱きに抱き上げられていて、グローディジェはずんずんと迷いない足取りで歩いていく。
先程の部屋を出て、少し。一つの扉に辿り着くと、躊躇いなく開け放って、そして。
とさ。
降ろされたのは、どうやら寝台の上らしかった。
つまりは、今である。
グローディジェが俺の上でにっこりと笑っている。
「レシア様」
名前を呼ばれる。どうやら俺の名前らしいそれ。実感など沸かないけれど。
戸惑うばかりの俺に、グローディジェは構わない。
「言ったでしょう? お待ちすることが出来ないと。ですから……ね?」
ね? ではない。いやもう、本当に待ってほしい。切実に。
だけど当然、俺の願いは、この男には届かなかった。
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