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*29・今との齟齬
しおりを挟む12の時に。俺の専属護衛となってから、グローディはずっと俺の側にいた。
他の誰よりも頼りになり、他の誰よりも正しく間違わない。
俺はただ、グローディに導かれるままに歩けばいい。
「レシア様はただお心のままにいらっしゃればよいのです」
そう言われたので俺は何を憂うこともなく心のままに振舞い、頼れることは全てグローディへと頼った。
グローディは他の者と違い、俺がわからないと聞けば、必ず答えをくれるのだ。
いつも俺の話を聞き、俺の思う通りに動き、そして俺を正しく導いた。
「レシア様。私に身を委ね、私を受け入れて下さい」
「わかった」
だからこそ俺はどんな時でも彼の指示には全て従った。だってグローディがそうするのが良いというのだ。それに間違いなどあるはずがない。
それは例えば夜にベッドの上でのことであっても。
俺はグローディが告げるまま、ただベッドの上に身を横たえ、何の抵抗もせずに彼を受け入れた。
「レシア様。私の指先に集中なさってください。痛いことや苦しいことなど何もございません。ただ、気持ちがいいだけです」
俺は頷いて、俺に触れるグローディの指の感覚だけを追う。グローディが言うとおり、魔力を帯びたグローディの指は熱く、気持ちよく。
俺はその気持ちよさを甘受しているだけでよかった。
グローディがどこに触れているだとか、自分が今どんな格好なのかだとか、そんなものは全部関係がない。グローディの指が触れる、その心地よさを一心に追うだけ。
「ぁっ……ぁっ、ぁっ……」
知らず上がっていた声も、止められることがなかったので俺はそのまま上げ続けた。
足を広げられ、体の奥深くを探られても、俺は為すがまま。
「レシア様。そのまま、体の力を抜いていてくださいね。気持ちいいことしかしませんから」
言いながらグローディは熱を持って俺を暴き、俺はグローディから与えられる気持ちよさに何処までも酔っていく。
熱くて、気持ちよくて、気持ちよくて。
「あっ、あっ、グローディ、グローディぃ……」
甘えるような声で名を呼ぶと、グローディはもっと更に強い気持ちよさを与えてくれた。その内にグローディ自身が、俺の腹の中へと身を沈めた時も、俺はただ、気持ちよくて気持ちよくて。
「グローディ、グローディっ、あっ! きもち、いぃっ! いい! もっとぉ……!」
などとねだり、揺さぶられ、思う存分、気持ちよさを味わいつくした。
「レシア様、レシア様、レシア様っ……うっ……!」
俺の腹の中は、瞬く間にグローディの熱でいっぱいになった。だが、その熱でさえも気持ちよく。
「レシア様、お感じになって下さい。ここに私の熱があります。これを、子供にするのです」
体内に注がれた熱を示され、俺はグローディの言うとおり、それを意識して子供にする。
疑問など何も感じず、気持ちよさに酔ったまま。
「ああ、レシア様、素晴らしいっ……!」
グローディは俺を抱きしめこれでもかと褒めてくれた。素晴らしいと湛え、もっと更に気持ちいいことをしてくれる。
俺はグローディはなんと頼りになるのだろうかと再認識して気持ちよさに浸った。
だってグローディは間違わない。いつも正しく俺を導いてくれる。
今までも。そして、これからも。
頼りになるだとかならないだとかいう話では、ない。
それはおそらくはグローディと元の俺との初めての時の記憶である。
覚えている限り、俺は本当に全く何の抵抗もせず、諾々とグローディに身を委ねていた。
そのまま子供まで成させられて、そこに何の疑問も抱いていない。
グローディが素晴らしいと褒めてくれ、グローディが告げた通り、彼からもたらされたものは気持ちよさだけだったから、それでよいのだと、判断していたのだろうと思う。
相変わらず元の俺の心情や何かは推測するしかなく、何を思い出したって、頭を抱えることばかりだった。
否、今も、グローディにそういう意図を持って触れられると、気持ちよさに酔ってしまって、ろくな抵抗も出来はしないのだが、今の俺はそれをいいとは全く思っていない。
ただ、お腹の子供の為に必要だというので受け入れているにすぎず、それにしたって、過剰だとすら感じている。
元の俺の記憶を、思い出してくれば余計に、だ。
相変わらず実感はわかないままだし、感覚も遠くはあったけれど、思い出した記憶の中の知識には大変、助けられていた。
ティアリィさんが言っていた通り、元の俺の記憶力は決して悪くはないのだろう。
一度思い出しさえすれば、その時の言葉や状況など、詳細なことまですぐに思い出せたし、どれもこれも覚え続けていられている。
だからこその弊害は、現状の俺自身の心情との齟齬だろう。
本当に何もかもがあり得ないのだ。だけど。
「グローディが求めているのが、あんな俺なのだとしたら、今の俺は……」
結局、俺の悩みはそこへと立ち戻っていくばかりなのだった。
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