37 / 49
35・レシアについて③
しおりを挟む俺はレシアをより深く知るために、レシアのことを振り返ってみる。
レシアはカナドゥサ公国の大公家で第一公子として生まれた。立場的には王子様だ。しかも、大公と公妃との間に生まれた正統なる後継者で、おそらく何もなければ、将来は大公位を継ぐことになっていたのだろうと思われる。
二つ下にライネファという弟がいたが、子供が一人だと心もとないからこその兄弟だった。現にレシアは大公位を継がなかったのだから、両親の英断だったと言っておそらく間違っていない。
俺の感覚からしても、何もおかしなことはなかった。
また、レシアには幼少期より婚約者がいた。
カナドゥサ公国内のルブッソ侯爵家の長女でネフィラシィというレシアより一つ下の可愛らしい少女だ。
大公家という出自や相手が高位貴族であったことを考えると、早くから婚約を取り決めること自体は決して不自然なものではなかったが、それでも双方ともに物心がつく前からというのは少々早く、レシアの母である公妃がナウラティスのマロナウ伯爵家出身であったため、次の公妃は自国内から迎えたいという思惑があり、早い時期からの婚約に至ったのではないかと予想できた。
真相はレシアの記憶の中に存在しなかったのだが、それに近いことを使用人が噂しているのは聞いたことがあったようだった。
幼少期のレシアは、周囲が導くままにちゃんと婚約者にも誠実に対応していた。
そもそも幼い子供同士である間は、レシアの特異性は目立たず、問題が浮き彫りになり始めたのは、やはりグローディが来てからのこと。
自分を偽らなくなったレシアとは、どうにも相性が合わなかったのだろう、婚約者の少女はだんだんと、レシアから距離を取るようになっていった。……――相性が合わなかったというか、あまりに会話が成り立たないレシアに辟易したというのが本当の所だとしか思えないのだけれども。相性云々を言っていたのはグローディで、彼がそう言うのならばそうなのだろうというのがおそらくはレシアの認識だったのではないかと思う。
それでも、レシアが学園に入るまでの1年間は違和感は覚え始めながらも交流があったようなのだが、レシアが13歳で学園に入ってからは、加速度的に、婚約者との距離は開いていった。
カナドゥサでは貴族などの上流階級の者は13歳からの6年間、学園に通う習わしがあるようだ。これはナウラティスも同じだとのこと。
レシアは決して頭が悪いわけではない。少なくとも記憶力自体はいい方だと思う。
現にこれほどいろいろなことを詳細に思い出せるのだから、それに関しては間違いないだろう。
だが、壊滅的に応用が利かず、思考にも柔軟性が欠けていた。
自然、学園での教育方法はレシアには合わず、レシアの成績はお世辞にもいいと言えるものではなく。周囲の者の落胆の溜め息は、レシアにとっての日常となる。
しかしどうもレシアはそれらを一切気にかけていなかったようだった。
勿論、グローディがそれでいいと告げたからである。
29
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる