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第一章・リーファ視点
1-5・想像と手段
二人はとっても楽しそうに笑っている。
僕は少しだけ不思議に思った。
ああ、あの人、この国に入れたんだなぁって。あと、妹じゃなくて、お姉さんの方なんだなって。
うちの国は守護結界に覆われているから、他国の人だとそもそも入国できない人が多いんだ。
僕の周りにいる人は当たり前に国内にいる人ばかりだから、なかなか実感できないんだけど、兄様が言うには、国の外にいる人の中で、害意や悪意を全く持っていないって言う人は、それだけでそれなりに珍しいんだって。皆いろんなしがらみを抱えているんだよって。
勿論、いないわけではないし、むしろ、入国できるってことは、それだけでその人はとっても信頼に足る証拠になって、一種のステータスみたいなものにもなっているらしい。
特に頻度高く国を跨ぐとなると、商人や冒険者なんかが多いから、余計に信用は大事なんだそうだ。
そんな調子だから、属国とは言え、他国の王族なんかも入国できない人が多くて、国内、それも王宮で他国の高い地位にいる人を見ること自体がとっても珍しかった。
そして、ドゥナラル公国は、今義兄上と一緒にいる第一公女様じゃなくて、その妹さんの方が、義兄上に熱を上げていたはずで。
属国には数年に一度、皇帝や皇后、あるいは他の王族が視察に訪れることになっていて、この間の視察の時、僕も義兄上についていったんだ。
その時にお会いした妹である公女様は、一目見た時からあからさまに義兄上にとっても好意を抱いたようだった。
隣にいた僕は、どうしてだか何度も睨まれたからよく覚えている。
だから、お姉さんの方なんだなって言うのが意外だった。きっと妹さんの方は入国できなかったんだろうとは思うのだけれども。
公女様と義兄上は、とっても中が良さそうだった。
僕はこうして義兄上が誰かと仲良く並んでいる姿を初めて見たんだ。
ついうっかり、僕は想像してしまった。
今、義兄上に伴侶はいないけれども、いつか義兄上も誰かを伴侶とするんだろうなって。
あの公女様かもしれないし、違うかもしれない。でもいつかきっと誰かとは結婚する。
それはきっと僕じゃない誰かだ。
寂しかった。
その想像は、とってもとっても僕を寂しくさせた。
僕は考えてみる。
寂しくなくなるには、どうすればいいだろうか。
結婚したらきっと子供が出来るだろう。そしてその子供のことだって、僕にしたみたいに愛情を持って育てるんだ。
だったら、僕にも愛情を注げる相手がいればいいなって思った。
それこそ、子供とかね。
子供を作るにはどうすればいいんだったかなぁ、確か、体内に注がれた魔力を子供にするんだ。
注がれるのはお腹が多いんだったはず。
幸いにしてと言えばいいのか、どうしてかわからないけれど、僕の魔力はお腹に集まっていることが多くて、意識しなくても今もそこには魔力が満ちている。
だから、こうやって満ちている魔力が他の人から注がれたものだったら、それを子供になるようにすればいい。
子供を望みながら魔力を練るんだ。
僕はほんの思い付きで、試すようにやってみる。
子供が欲しいって思いながら、魔力を練った。
勿論、こんなことに意味がないことはわかっている。だから、これはただの戯れで。
だって、子供を作るには絶対に他の人の魔力が要る。他の人に魔力なんて注がれたことがない僕のお腹の中には、当たり前だけど僕の魔力しかない。
だからこうして魔力を練ったって子供になんてならない。
その、はずだった。
なのに。
僕はすぐに気付いた。
気付いて、そして混乱した。
え、どうして、なんて。
わけがわからない。
だって僕のお腹の中の魔力は、今、確かに子供になり始めていたのだから。
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