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第一章・リーファ視点
1-19・幸せな朝①
朝、目が覚める。
いつも通りの朝。でもそれは、いつもとは違う朝だった。
頭がふわふわしている。お腹の中が、義兄上の魔力でいっぱいだ。
否、義兄上の魔力は、僕のそれととてもよく似ていて、自分でも違いが分からないぐらいなのだけれど、なんだか今はそう思う。
それはきっと昨夜の行為を、僕がちゃんと覚えているからなんだろう。
そう、僕は昨夜、義兄上にお腹の中へと、魔力を注いで頂いたのだ。どうしてだか、身に覚えなど全くないのに、成ってしまった赤ちゃんを育てる為に。
「義兄上」
ふふふと、なんだか笑い出したいようなくすぐったい気持ちになって、そっと義兄上を呼んでみる。
義兄上はとっても優しくて、だけどとっても情熱的だった。
いつも熱くて硬くてものすごく大きい義兄上の立派な象徴が、まさか全部僕のお腹の中へと入ってしまうなんて。不思議だなぁと思いながら下腹部を擦った。
ここに、今はもう義兄上は入っていないけれど、寝る前までは確かに、義兄上が入っていたのだ。
とってもとってもお腹がいっぱいだった。ぎちぎちに隙間なく、全部を義兄上に埋められて、なんだか僕は体そのものを、こじ開けられたような心地がした。
それと同時に、とってもとっても気持ちよかったのは、きっと相手が義兄上だったからだと思う。
だって、あんなの。お尻の穴、お腹の中に、誰かの象徴を入れるだなんて。そんなの、僕は義兄上以外になんて受け入れたくないと思うのだ。
どうしてだろう、わからない。
でも、それはきっと、義兄上が義兄上だから。
僕のお腹には、昨日と変わらず魔力の塊のようなものが渦巻いていて、それは成りはじめた赤ちゃんで。とくん、とくんと、微か、脈打っているように感じられる。
赤ちゃん。
義兄上の魔力を食べて、昨日よりもちょっと育ったかなぁ?
よくわからないけれど、きっと育っている。
昨夜、たくさんたくさん義兄上に注いで頂いたから、魔力も今は足りているのだろう。
その証拠に、お腹の奥が、なんだかまだまだ疼いているような感じがしているけれども、それ以外はとてもすっきりしていて、魔力欠乏の気配さえない。
赤ちゃんが出来始めた最初のうちは、魔力欠乏に陥りやすいって聞いたことがあるんだけれど、今はどうやら大丈夫みたい。
よかった、と安心する。
今、何時なんだろう?
安心したら、次は今の時間が気になった。
わからないけど、多分朝で、そんなにきっと早い時間じゃなくて、その証拠に、どうも随分前に、義兄上はベッドから出ていったみたいで、寝台の上には僕一人しかいなかった。
少しだけ寂しく思わなくもない。
でも寝台には義兄上の匂いがいっぱい残っているから、僕はそれだけで大丈夫なんだ。
「義兄上」
僕はまた、ここにいない義兄上のことを、そっとそっと呼び掛けて。くふくふと、湧き上がるままに小さな笑いをこぼし、お腹を抱えるようにして丸くなった。
赤ちゃん。僕の赤ちゃん。
この子の父親が、いったい誰なのか、僕は全くわからない。でも。
僕のお腹の中にいる、僕の赤ちゃんなんだ。
育つために昨日、義兄上の魔力を食べた。そうするとまるで、僕と義兄上の赤ちゃんみたい。
それがなんだかとっても嬉しい。
しっかり大きくなるといい。ちゃんと育って、大きくなって。生まれてくるのを、待っている。だから。
僕はなんだか幸せな気持ちで、しばらくそうやって、両手でお腹を抱えたまま、くるんと小さく丸まっていた。
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